黒パグのAIショートショート12 シロクマ文芸部 お題「サンダルで」
こんにちは黒パグです🐾
よく聞かれるんです。「黒パグのAIショートショート」ってタイトル、これってAIに出力させたものをそのまま出してるんじゃないの?と。
そう思われる方は、半分正解で半分間違いです。
黒パグがショートショートを作るとき、お題をいただいてから真っ先に考えるのは「オチ」です。そこが決まらないと、何も始まりません。そうして決まったオチに向かって、メモに手打ちでショートショートを書きます。それを誤字脱字チェックとして、AIに読ませる。AIはそこでさまざまな解釈を教えてくれますが、大抵の場合、どれも的外れなのです。
人間が、全てのことをAIに任せてしまったら、どうなるのでしょうか。
——その答えを、ひとつ。
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サンダルで、と男は言った。
男は毎朝、そう言ってから端末の前に座る。足を入れ、脱ぎ、また入れる。理由は、ない。いつからか、そうしている。
その施設は、危険なものを見張るために建てられた。
何を危険とするかは、SANDALが決めた。サンドボックス・アナリシス・ネットワーク・フォー・デンジャラス・エージェント・リミテーション。長いので、誰もそうは呼ばなかった。みな、装置、とだけ言った。
男の仕事は、画面を見ることだった。
画面には数字が出る。検知件数。その数字は、男が来た日からずっとゼロだった。古い職員は、もっと前からゼロだと言った。いつからゼロなのか、いつまでゼロなのか、誰も知らない。引き継ぎの紙には、画面を見ること、とだけ書いてあった。それ以上は、何も。
朝、男は来る。サンダルに足を入れ、脱ぎ、椅子に座る。画面はゼロ。昼、画面はゼロ。夕方、サンダルを履いて帰る。画面はゼロ。
そういう日が続いた。何日続いたかは、数えていない。数える理由が、なかった。
はじめのころは、何人かいた。
二人いた。やがて一人になった。その一人も、ある日から来なくなった。連絡はなかった。机だけが残った。引き出しには、飲みかけの茶が入ったままだった。男は、その机を見ないことにした。
残った、というより、帰る理由がなかった、というだけのことだ。
ある朝、画面の数字が動いた。
検知件数:一。
男は身を乗り出した。指が、久しぶりに動いた。対象の位置情報を開いた。座標が出た。男はそれを地図に重ねた。重ねて、もう一度、重ねた。
この部屋だった。
男は周りを見た。机がひとつ。椅子がひとつ。サンダルがひとつ。誰もいない。自分しかいない。
画面に、二行目が出た。対象は危険ではない、と。続けて、対象を監視対象から除外する、と。
男は、椅子に背を戻した。サンダルから足を抜き、また入れた。それから、しばらく、画面を見た。
数字はまた動かなくなった。
検知件数:ゼロ。
男は茶を淹れようとして、やめた。
夕方になった。
男はサンダルを履いて、部屋を出た。鍵をかけた。明日も来る。来る理由は、もう、ない。
なお、サンダルでの退出は、許可済みである。
監視対象:SANDAL。
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