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同人誌の組版を一太郎からInDesignに乗り換えてみた。


はじめに

※このnoteは同人誌、および二次創作の話題を扱います。
※上記が気になる方はスルーしてください。

前回の記事、「初同人誌と成長した同人誌3冊の装丁」をたくさんの方に見ていただきありがとうございます。

初サークル参加にもかかわらず3冊の新刊を用意し、それぞれにノベルティまでつけるという攻めた頒布内容でした。
しかし自ジャンルがかなり落ち着いた長寿ジャンルということもあり、当日はまったりゆっくりと頒布することができました。

大きな失敗やアクシデントもなく一日楽しく過ごすことができて、満足した初サークル参加となりました。(また次の記事で初参加のことをまとめたいと思います)

そんな楽しかったイベントの余韻に浸っていたのも束の間、今度は自カプABのB中心オンリーが5月のスパコミで開催されるのがすでに決定していました。

当然私はそのオンリーに絶対参加したい!と意気込み、イベントの余韻もそこそこに次の原稿執筆にとりかかりました。ちなみに今回はちょっと控えめにアンソロへの寄稿と2冊の新刊を予定しています。

どうした一太郎

原稿に勤しんでいたある日、一太郎へ完成した原稿を流し込みいつものように組版を行っていました。
アンソロへの提出用ということでB5三段組みで組版をしています。経験がない版型でしたが、優しい方から頂いたテンプレートを駆使し一旦組んでみることにしました。

夏目漱石著『こころ』より 普通の三段組みの紙面に仕上がっている。

うん、なんの問題もないですね。
こちらフォントが一太郎標準搭載の「游明朝」で組版を行っています。

游明朝も癖がなく、非常に使いやすいフォントで文句はないのですが、個人的にこのABというカプは「源暎こぶり明朝」で制作するのが常だったのでこちらのフォントに変更しました。

するとどうでしょう。

夏目漱石著『こころ』より おいおいどうしたんだいこれは。

うん?どうした一太郎。
さっきまで普通だったじゃないか一太郎。
(※文章始まりの部分はタイトル用の設定がされているので、画像二枚とも若干文字が詰まっていますがこれは正しい仕様です。)

なぜかフォントを源暎こぶり明朝に変更すると組版が途端にバグりました。

いくつか手持ちのフォントで試してみたのですが、組版がバグるフォントとバグらないフォントがいくつも混在しており源暎こぶり明朝だけがおかしいわけではないことが判明。

TTFとOTFの違いかと思い、どちらの形式も保有している「しっぽり明朝」でも検証したのですが結果は……

どっちの形式でもバグりました。なんでやねん。

組版バグ以外にもバグ、発生。

ここで私は若干心が折れかけたのですが、前述のバグはフォントを游明朝にしていれば起きない問題でしたのでフォントはそのままにしよう…といつも通り一太郎からPDFで書き出しを行いました。

B5に塗り足しありなのでサイズは188mm×263mmです。

一太郎の設定 ちゃんと合ってるね。

よし、書き出しができました。
ちゃんとフォントが埋め込まれているのか、文字化けや組版崩れがないか確認をしましょう。

PDFのプロパティ画面

サイズ変わっとるやないかい。

買い切りの弊害

なぜかPDF書き出しをするとサイズが変わってしまう一太郎。
色々と調べた結果、書き出しの際に選択している用紙サイズが悪さをしていることが判明。

書き出しがA4設定になっていたため、A版の縦横比率に勝手にリサイズされていたようです。とのことで一応解決はしたのですが、この解決方法に辿り着くまでに私は二日ほどかかりました。

しかも前回はB6を書き出しして何も問題なかったのに、なぜかB5では変わってしまうという謎現象(上記のA4設定が原因ならB6書き出し時にも比率が変わってないとおかしいのです)。

そして私の使用している一太郎は2022の買い切り。
この2022年バージョンは2025年2月10日をもってサポート終了。
つまりサ終しています。

これがもし仕様ではなく一太郎2022のバグだとしたら、今後一切、まったく、絶対に修正されることはありません。なぜならサ終しているので。
買った当初は買い切りってありがたいなあ、ずっと年額払い続けなくていいって管理が楽だなあ、とか考えていましたがこれは致命的な欠点でした。

また一太郎は歴史の長いソフトなのに(だから、かも)サポート体制が絶妙に整っていません。上記のバグ以外にも操作で困って解決方法を検索しても出てくるページの日付が2007年とか目ん玉が飛び出すぐらい古い情報ばかりで役に立たないのも以前から気になっている点でした。

InDesign、使っちゃう?

はじめにでもお話しましたが、私は5月のイベントに向けてアンソロだけでなく2冊の新刊も頒布する予定です。

ということは最低でもあと2冊の組版はしなければならないということ。
個人で出す本なのでサイズはB6。以前の通りに制作すればこちらでサイズ変化バグは起こらない(はず)なのですが、アンソロの組版で疲れ果てていた私はあるソフトの名前を思い出しました。

そう、InDesignです。(以下インデザ)

もともと表紙制作でillustrator(以下イラレ)を使用していた私は、当然インデザの存在は知っていましたし使ってみたいという気持ちがありました。
というか原稿を作るにあたって、複数の会社のソフトを使ったりデータをいったりきたりさせるのは予期せぬバグを引き起こす可能性があって嫌だなあ、とすら思っていました。

インデザは独特な操作や組版の用語の違い(文字のサイズはptではなくQという単位を使うなど)がありますが、基本的なUIなどはイラレを使っていた私にとってそこまで大きな壁ではありませんでした。

とりあえず一か月だけ使ってみよう、ということで月額利用でサブスクを契約。組版を触ってみましたが、すごい。とにかく分かりやすい。

一太郎は用紙設定ひとつとっても、ノドや小口の数値を弄るだけで全体のレイアウトが鬼崩れするということがたびたびありましたが、インデザではそのようなことはまったく起きません。

自動的に調節してくれる機能も痒い所に手が届く仕様で、例えば一ページのなかに何行文字が入るのかという設定を弄ると自動でノドや小口を良い感じに調節してくれます。
また開始ページ入力するだけで自動で奇数・偶数ページなのかを判定し、ノドが勝手に左右に振り分けられます。

結構ガチガチにソフト側で調整してくれるので、一太郎のほうが自由度が高い…と思いきやそうでもありません。
イラレに近いフレキシブルな機能も兼ね備えていて、レイヤーを追加し文字の上に文字を重ねたり、画像の挿入もお手の物。

なにより親切だ~と思ったのは、外字の入力がめっちゃ簡単なことです。
!?やあ゛などの外字がいちいち外字機能を起動しなくても、自動で文字を判別し候補を出してくれるのです。特殊な記号だけでなく、一部の旧字体なども出してくれるようで便利さにびっくりしました。

実際にインデザで組んでみた

というわけで新刊1冊目をインデザを使用して組版してみました。
もう、何回でも言いますがとにかく設定が簡単。あれだけ一太郎で困ってた「なんでここの数値変わると他のところまで変わるんだよ!?」みたいなのが一切ない。

インデザについて調べたとき「良くも悪くも操作に対し操作通りの結果しか起こらないので、何か変なこと(組版の崩れなど)が起きたら原因が特定しやすい」と言われていたのですが、本当にその通りです。
いや、ていうか普通ソフトってこうあるべきなんですけど…。

あれだけウンウン言いながら一太郎でやっていた組版、まさかの半分以下の時間で完了。
かかった時間についてはイラレを元々触っていたので経験値がかなりあった、というのが大きいような気がしますが、それを抜きにしてもインデザは視覚的に分かりやすいデザインなので少し触れば誰でもすぐに使いこなせると思います。

といっても一太郎にだって良いところはある

インデザべた褒めの私ですが、とはいえ一太郎は今後も使うと思います。

え?組版はもうインデザでやるんでしょ?
変なバグも起きるし、じゃあ一太郎もう使う意味なくない?

実は一太郎には私が愛用している組版以外の機能があります。
それは「校正機能」。文章内の日本語の間違いを修正してくれるのです。

ざっとあげるだけでも誤字脱字、衍字、同音異義語の間違い(意思と意志、自身と自信など)、送り仮名の間違い(有〝り〟難いなど)、遠回しな表現(~していられた→~していた)などなど

日本語に特化しているというレベルをはるかに超えて優秀すぎる機能です。普通に読んでいても気がつかない細かい間違いまで校正してくれます。これは国産ソフトでないとできない機能だなあと常々思っています。

誤字脱字は何重もの人力でのチェックをすり抜けて生まれてくる生き物、というのは小説を書いている人の間では有名なお話です。
しかしこの一太郎の校正を使えば、そのままだとちょっと恥ずかしいレベルの誤字脱字はほとんど抹消してくれます。

さすがに同じような表現が連続で使われている、とかさっき椅子に座ったのにまた座ってる、とかの話の矛盾は指摘してくれません。そこは人力でチェックが必要です。

といっても自分で校正する段階にはいったときにその手の誤字脱字に振り回されず、内容の修正のみに注力できるのがめちゃくちゃ良い。

さいごに

今回、インデザへの乗り換えが思ったよりスムーズにいきすぎて拍子抜けしています。サブスクの年額は一太郎1本分よりちょっとお高いですが、常にアップデートされている安心感は格別です。

また頻繁に同人誌を作らない方は一か月だけ、という使い方もできるのでなんなら一太郎よりも安く済むかもしれません。

私の場合は今後、文章が完成したら一太郎に流し込み→校正機能で校正→自力での矛盾チェック・推敲→もう一回校正機能で校正→インデザで組版→入稿という流れで原稿を作っていくことになりそうです。

どちらにもそれぞれの良さがあるので、同人誌を書かれる方は自分のスタイルに合わせてソフトを選んでみてはいかがでしょうか。

それでは次回は1月のイベントの振り返り記事を投稿するつもりですので、よろしくお願いします。

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