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初同人誌と成長した同人誌3冊の装丁


はじめに

※このnoteは同人誌、および二次創作の話題を扱います。
※R-18作品を扱います。(具体的な画像や内容はありません)
※上記が気になる方はスルーしてください。

お久しぶりです。
今日は今から数年前に出した(ほぼ)初めて製作した同人誌と、2026年の現在制作した同人誌を見比べてその成長をお話したいと思います。

2022年 初制作「異類婚姻譚」

実物画像がありませんでした…。

印刷所…STARBOOKS様
・サイズ…A5
・ページ数…28P
・表紙…アートポスト_180K
・加工…マットPP加工
・本文用紙…淡クリームキンマリ_90K
・遊び紙…前1枚 ミランダ_空100K

仕様

学生時代、友人とごくごく身内でオリジナルの同人誌を制作したことはありますが、ひとりで本格的な同人誌を制作するのは初めてでした。
なので初心者に優しいと評判のSTARBOOKS様で作ることに決定。

このとき「装丁」という単語は私の中に(ほぼ)存在せず、おおむね標準的な仕様の同人誌に仕上がっています。

のですが、今見返すと反省点まみれの同人誌です。

反省点その1 表紙がシンプルすぎる

私は実のところ、小説よりも前からずっと絵を描いていました。とはいえデジタル絵はおろか、そういったソフトやガジェット(ペンタブなど)すら手元になく、アナログ一筋でした。

なので表紙にイラストをおくことは選択肢になく、とりあえず2022年時点ではまだまだ無名だったCanvaを使用して表紙を制作。

このときの私は圧倒的にインプットが不足、というかインプットしなければならないという意識すらなく、とりあえずタイトルとR-18の表記だけいれとけばええか!という考えでした。

そのため本当に無味無臭すぎる、というか表紙だけ見ても何のカップリングなのかすらわからないブラックボックスのような作品に仕上がりました。
今見たらシンプルを通り過ぎて〝無〟のデザインには頭を抱えます。

反省点その2 遊び紙が分厚すぎる

とはいえ装丁のその字も知らない私でも、「遊び紙なるものを同人誌には入れられるらしいぞ」ということは知っていました。
なのでSTARBOOKS様のサイトを見て回ってビビッときたミランダを遊び紙に入れたのですが…。

遊び紙が本文の厚みに対して硬すぎたのです。

こちら記載のあるとおり斤量(紙を1,000枚重ねた時の重さ=紙の分厚さを表す単位)が100K、つまり100kgとやや厚めの紙です。

対して本文は28P。
背幅3ミリにも満たないまさに〝薄い本〟

この結果、完全に本文の硬さに負け、表紙の下にもう一枚表紙があるみたいな仕上がりの本になってしまいました。

斤量100Kの遊び紙自体は珍しいものではないですし、ミランダ自体はキラキラしていて本当に可愛い紙なのですが、完全に私の同人誌の厚みには合っていませんでした。

斤量100K以上の遊び紙を使うときは、最低でも本文が50Pぐらいあるとかなり「遊び紙らしい」使い方ができたんじゃないだろうか、と思います。

反省点その3 組版、ギチギチすぎ

まずは画像をご覧ください。

A5二段組み ぼやかしてますが、隅から隅までギッチギチなのがわかる

この異類婚姻譚はA5サイズ二段組みという小説同人誌としてはもっとも標準的でもっともポピュラーなスタイルで制作したのですが、どうやら私の文体とはかなり相性が悪かったようです。

私の文章はかなり地の文が多く、セリフが少なめ。また改行もやや少なめ~少ない部類だと考えています。

その結果、一行の文字数が少ない二段組み、さらに一太郎のきまるスタイルという便利機能に全ツッパで細部の調整をしなかったこともあり、一面文字文字文字!!というあまりにも迫力のある紙面になってしまいました。

ごく少部数しか販売しなかったのですが、本当に読みにくい組版だっただろうな…と買ってくださった方には申し訳ない気持ちです。

2026年 1冊目「Just the Two of Us.」

そして時は経ち4年後の2026年。(厳密には制作したのが2025年で発行自体は2026年1月です)

Y2K~ヴェイパーウェイブをイメージ。

印刷所…ツクヨミ印刷所様
・サイズ…B6
・ページ数…100P
・表紙…シェルルックNツインスノー_180K
・加工…なし
・本文用紙…淡クリームキンマリ_90K
・遊び紙…前後1枚 新アトモス_サファイア90K

仕様

illustratorを使い始めて3作品目の表紙。
宇宙が舞台の作品なので、グラデーションで銀河っぽい感じを表現。表紙の紙もシェルルックNというほのかにキラキラした紙を使用しました。

シェルルックNは控えめなキラキラが特徴なのですが、濃い色を乗せたせいで白抜き以外はかなりキラキラ感が失われました。もっと紙の良さを活かす場合は淡い色合いか白多めだと良いかもしれません。

本文については100Pということで迷った結果、淡クリームキンマリの90Kを使用したのですが、快適に読めるのに本当にギリギリ許される硬さになりました。そのせいでページ数の割にちょっとだけ重いです。

ネット上では「淡クリームキンマリ90Kは100P以下がおススメ」と言われていますが、個人的には80Pを超えるぐらいでも72.5Kで良いと思います。
背幅がしっかり欲しい場合は90Kでも良いと思います。

2026年 2冊目「熱帯夜」

モダニズム~ポストモダンをイメージ。

印刷所…ツクヨミ印刷所様
・サイズ…B6
・ページ数…76P
・表紙…サガンGA_スノーホワイト170K
・特色…黄色の部分は特色ゴールドを使用
・加工…マットPP加工
・本文用紙…タブロ‐FS_65.5K
・遊び紙…前後1枚 ビオトープGA-FS_ポルトブラック60K

仕様

今回制作した3冊の新刊のうち、最も表紙に気合が入っています。
紙面の半分以上を占めるクソデカタイトル本を作ってみたい、という夢があり、せっかくなのでタイポグラフィにも挑戦した意欲作。

表紙のサガンGAはかなりざらつきのある、画用紙のような紙です。それにマットPPをかけると革のような手触りになる、という情報を見かけたのでやってみましたがこれが大正解。

シックで落ち着いた印象でモダニズムをイメージしたデザインと相性が良く、派手さはないが目立つ、という不思議な仕上がりになりました。

また本文にはタブロというタブロイド紙(外国の新聞)をイメージした、灰色の変わった紙をチョイス。これもまた程よいレトロ感があり、全体的な本のイメージをまとめてくれました。

かなり灰色がかった紙面。

軽い紙ですが裏透けがほぼなく、めくりやすい、印刷再現性も良好、なのにそれなりの厚みがあり背幅が出せる、と良い紙でした。ただ、灰色の感じは雰囲気が出ますが本の内容によってはノイズになりかねない主張の強さなので、安易におススメできる紙ではないかな…という感じ。

そして表紙ですがこちらは今後の反省もいくつか。
サガンGAという紙はどうやら斤量の割にかなり柔らかい紙らしく、重たい色かつベタ面で印刷したこと、そしてPP加工をかけたことが原因で届いた時点から若干反っていました。

しかしサガンGAは印刷ハゲを起こしやすい紙でもあり、PP加工必須または推奨されている印刷所がほとんどです(後から調べて知りました)。なので若干の反りはこの紙を使う以上しょうがないかな~という感じです。

2026年 3冊目「September」

文芸雑誌をイメージ。

印刷所…ツクヨミ印刷所様
・サイズ…B6
・ページ数…148P
・表紙…パルルック_トワイライト185K
・特色…真ん中の画像部分、文字部分に特色ホワイトで白押さえを使用
・加工…マットPP加工
・本文用紙…淡クリームキンマリ_75.5K
・遊び紙…前後1枚 ファーストヴィンテージ_ブルーグレー69K

仕様

3冊目は内容が一番長く、そして一番シリアスなお話になりました。シリアスな本の表紙ってどうやって作るんだ…?と悩み、一番作成に時間がかった表紙でもあります。

ボツ案。ポップ過ぎてシリアスな内容に見えなかった。

パルルック_トワイライトという表紙に使いたい紙は決まっていたので、大胆に余白を大きく残し、紙の良さを活かすデザインに最終的に落ち着きました。

しかし私はパルルック_トワイライトという紙のことを甘く見ていました。この紙は黄色~ピンクへ偏光するかなり主張の強い紙なのですが、この「下地が黄色い」ということをあまり考えず、薄いグレーの青色で入稿した結果…。

死ぬほど色が緑に転びました。

元データ。ちゃんと下地は青い。

上の元データを見ていただけると、もう、青の色は一体どこに行ったのか…というぐらい緑色です。

冷静に考えれば分かる話で、黄色と青色を足したら緑色になる。
それだけのことです。

細かい要因としてはCMYKでのデータ作成時に、グレーがかった青という微妙な色を使用してしまったことが挙げられます。そもそもK以外のCMYが混色したグレー~茶系の色はブレやすいらしく、おそらくそこを考慮しなかったのが原因。(個人的な考察です)

失敗もありましたが、パルルック_トワイライトという紙は本当に可愛らしい紙で、傾けるとマットPPでも充分にじらじらと偏光し、控えめなきらめきが癖になります。

ただし偏光系・メタル系の紙にありがちですが、非常に傷つきやすい紙でPP加工必須とのことです。
マットPPでは偏光ながらも落ち着いた印象になるので、シリアスだからといって偏光・メタル系が使えないわけじゃないぞ!と声を大にして言いたい。

ギチギチ勢必見! B6一段組みはいいぞ。

主題です。

2022年の初制作から大きく変わったのはサイズです。
A5二段組みからB6一段組みにしたことによってかなり紙面の印象がすっきりしました。

実物はこちら。

B6一段組み。 余白が大きめなこともあってギチギチ感がかなり解消された。

組版
・文字サイズ…9pt
・字数…43文字
・行数…18
・字間…0pt
・行間…6.1pt
マージン
・上…21mm
・下…24mm
・ノド…18mm
・小口…14mm

組版とマージン(余白)設定 3冊すべて同じ

組版についてはかなり満足で読みやすく仕上がったと思います。文字サイズはギリギリまで8.5ptか9ptか迷いましたが、せっかく一段組みにしたのに文字が小さいのでは本末転倒ということで9ptにしました。

結果9ptで大成功。本当に読みやすく、くせのない紙面になりました。

また一段組みのおかげで程よく紙面下部に余白があり、ギチギチ感はほぼないといっても良いと思います。

B6は一段組みと二段組み、実はどちらもいける万能サイズです。
B6二段組みといえばあの西尾維新先生の「化物語シリーズ」が一番有名で、西尾先生のギチギチ文字(誉め言葉)でも問題なく読むことができます。

結局は好みによるところが大きいのですが、程よく余裕のある紙面が良いならば一段組みをおススメします。

メリット

B6一段組みのメリットは何といっても文字ギチギチ勢にとってはかなりゆとりがあり、圧のない紙面になるという点です。
私の文章の書き方は3年前と大きく変わっていませんが、それでもサイズと組版を変えるだけでかなり印象が変わりました。

またB6サイズはA5サイズより一回り小さく、なろう系などの商業小説でも使われることもあり、一目で小説と分かりやすい利点があります。

それでいてA6(文庫サイズ)よりは大きいため、表紙にイラストを描いていただいたときなどは大きく見せることができます。

デメリット

B6の圧倒的デメリットはやはり対応している印刷所が少ないということです。一応2026年現在、対応している印刷所は徐々に増えているのですが、それでも特殊裁断扱いになったり、ノベルセットなどでA5かA6しか選択肢がないこともしばしば。

以下、今回B6小説を制作するにあたって大変お世話になったトッコノ様のnote。どの記事もすごくわかりやすくまとめられているのでおススメです。

上記のこともあり、二次創作界隈ではB6小説は圧倒的に母数が少なく、組版やマージンについてこれといった情報が少ないこともデメリットです。

また二段組みで文字を詰め込めない関係上、ページ数がかさみやすいです。
とはいえA6(文庫サイズ)に比べれば1ページに入る量は多くなるので、そこまで影響は大きくないと思います。

おまけ ノベルティしおり

名刺サイズ。使用している紙はそれぞれの本の表紙と同じというちょっとしたこだわり。

今回時間があったのと、どれも通しで読むには少々多い文章量だったのでノベルティのしおりを作りました。

それぞれの本の表紙を名刺サイズにデザインしなおしています。

しおりサイズといえば、の細長い長方形で作りたかったのですが、本の表紙と同じ紙を使用したいというワガママが叶えられるのが名刺サイズしかなかったので断念しました。

届いたしおり。ちっちゃくて可愛い。

しかし実際届いてみると、まるで制作した同人誌がそのままちっちゃくなったような可愛らしい仕上がりで、名刺サイズのしおりも悪くないかも?と嬉しくなりました。

さいごに

今回新刊3冊、総ページ約300P越えとなかなかの量を、表紙からもくじ、中扉、奥付にいたるまで自力で制作しましたが、illustratorというソフトのおかげで最後まで難なく入稿することができました。

文字がギチギチというのは悪いわけではないですし、SNSでは文字ギチギチのほうがお得感がある、という意見も見かけます。が、やはり初めて手に取っていただけたときに圧倒的文字量の真っ黒な紙面というのは予想以上に購入のハードルが高いです。

少しサイズと組版を変えるだけでここまですっきりと読みやすい紙面になったので、今後も新刊2冊をつくる予定ですがB6一択だな、と思っています。

もし「なんだか自分の小説本、読みづらい…?」という方はサイズを変えてみるというのも手かもしれません。

B6同人誌はいいぞ!

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