藤沢駅でコーヒーを飲みながら考えたこと|住みやすい街と行き先のわからなさ
国内屈指の住みやすい街、藤沢。
そう言われることの多い街だが、実際に歩いてみると、その言葉の輪郭は意外と曖昧だ。
JR藤沢駅は、いつも人が多い。
東海道線と小田急江ノ島線がぶつかるターミナル駅で、江ノ電の始発駅でもある。
湘南の玄関口として、通過する人も、降りる人も多い。
小田急江ノ島線は、この藤沢でスイッチバックする。
鉄道に詳しくない人でも、進行方向が変わる瞬間には気づく。
観光で江の島に向かうカップルが、
「あれ?反対になった?」と小さく笑う。
そんな何気ない場面が、藤沢らしい。
今、藤沢駅は工事の真っ最中だ。
小田急とJRの乗り換えをしやすくするための再整備。
工事現場の仮囲いには、完成後のイメージ図が貼られている。
きれいで、わかりやすくて、少しだけ未来の匂いがする。
この街は、まだ変わるつもりらしい。
駅周辺は、すでに大きく姿を変えつつある。
さいか屋は閉店し、フジサワ名店ビルも幕を下ろす。
小田急百貨店は様変わりし、OPAはどこか元気がない。
少し前には、イトーヨーカドーも閉店した。
買い物の導線が、街から少しずつ消えていく。
それでも、駅前は人であふれている。
改札を中心に、四方八方へ人が散っていく。
今はまだ、流れが定まらない感じがするが、
完成すれば、人の動きも変わるのだろう。
ビッグカメラだけが、変わらぬ存在感を放っている。
湘南の玄関口に、家電量販店。
少しちぐはぐだが、藤沢という街を象徴している気もする。
住みやすいのか、住みにくいのか。
その答えは、人によって違うのだろう。
少し歩くと、新しい藤沢市役所の庁舎が見える。
子育てしやすい街。
そう胸を張れるだけの設備と仕組みは、確かに整っている。
駅には、日大藤沢高校の全国高校サッカー出場を祝う横断幕。
少子化の時代に、
この街から、また世界へ羽ばたく選手が生まれるのだろうか。
サッカーかもしれないし、野球かもしれない。
あるいは、まったく別の道かもしれない。
改札を行き交う人たちを見ていると、
誰もが何かに向かっているようで、
実は、どこに向かっているのか分からないようにも見える。
それは、今の自分と、少し重なる。
街も、人も、人生も、
思っているほど行き先は決まっていない。
藤沢という街は、そのことを、賑やかさの中で静かに教えてくる。
果実園リーベルのショーケースに並ぶケーキは、
どれも美味しそうだった。
少し迷って、歩道橋を渡り、サブウェイに入る。
アイスコーヒーを注文する。
紙カップを手に、外に出る。
甘いものではなく、苦味のある選択。
それが、今日の気分だった。
藤沢駅前の喧騒の中で、
コーヒーを一口飲む。
さて、これからどっちに向かおうか。
海か、内陸か。
それとも、ただ家に帰るだけか。
藤沢は、そんな問いを自然に投げかけてくる街だった。
