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大船駅でコーヒーを飲みながら考えたこと|活気のある街と変わり続ける日常

JR大船駅は、とにかく大きい。
横須賀線、東海道線、京浜東北線が集まり、湘南モノレールまで発着する。
何度も乗り換えで使ってきた駅だが、今日は特に行き先を決めていない。
改札を出て、流れに身を任せるように歩いてみる。

大船は鎌倉市だが、北側に出ると横浜市栄区。
行政区分をまたぐ駅というのは、それだけで街の輪郭が少し曖昧になる。
駅前の商店街は、今日も相変わらず賑やかだ。
立ち飲み屋、古い定食屋、昔からある町中華。
焼肉ライク、杉玉、三代目鳥メロといったチェーン店も増えたが、
地元の飲食店の存在感が強く、街の重心は簡単には動かない。

家系ラーメン、油そば、餃子専門店。
魚屋も肉屋も惣菜屋も、お茶屋さんも健在だ。
「活気がある」という言葉は便利すぎるが、
大船の場合は、生活がちゃんと回っている感じがする。

笠間口に回ると、雰囲気が少し変わる。
洗練されたバスターミナルが整備され、
横浜がすぐそこにあることを思い出させる。
再開発は、街を便利にする一方で、
街の表情を均してしまうところもある。

そんな中で、石狩軒という町中華は、
時間の流れを引き受けるように、変わらずそこにある。
この店があるだけで、大船は過去と現在をつなぎ止めている。
そう感じさせる店が一軒ある街は、強い。

駅の反対側には、大船観音。
大きな観音様が、穏やかな表情で街を見下ろしている。
観音様とスターバックスのロゴは、少し似ているな、と思った。
どちらも、行き交う人を選ばず、ただそこにある。

歩き回っているうちに、
どこかで腰を落ち着けたくなり、ルミネに入る。
立ち飲み屋でビールという気分ではなかった。
スターバックスで、ドリップコーヒーを注文する。
ブラックで。

窓際の席に座ると、
改札を行き交う人の流れがよく見える。
観光地・鎌倉の最寄り駅の一つでありながら、
このあたりはまだ、インバウンドの波が本格的には届いていない。
外国語が飛び交うこともなく、
街は、街の人のために呼吸している。

いつか、この風景も変わるのだろうか。
鎌倉のように、観光客であふれる日が来るのだろうか。
そう考えてみるが、
このコーヒーの味は、今の大船のままでいいと思った。

紙カップを両手で包み、
街の音を少しだけ遠ざける。
歴史のある街が、
急ぎすぎず、立ち止まりすぎず、
少しずつ姿を変えていく。

コーヒーを飲み終え、カップを捨てる。
また、人の流れに戻る。
今日の大船は、相変わらず賑やかで、
それでも、ちゃんと日常だった。


大船の日常

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