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氷河期世代AD、テレビの片隅で。#29余談「今なら完全アウト企画!縛られる人探してます!」

当時のテレビ業界には、

今思うと

「なんで放送できたんだ?」

という企画がたくさんあった。

今回はその中から、

特に印象に残っているものを二つ紹介したい。

まず一つ目。

「どちらが正しい縛り方でしょう?」

というクイズ企画だ。

縄師の先生に来てもらい、

二人の女性を縛る。

そして、芸人さんたちに

どちらが正しい縛り方か当ててもらう。

今思い出しても、

なかなか攻めた企画だったと思う。

企画上、

縛られる女性が二人必要だった。

ロケ場所は渋谷。

ところが、

ロケ開始三十分前になっても、

女性の一人が来ない。

電話も出ない。

完全に飛ばれた。

するとディレクターが言った。

「何とかしろ」

何とかしろと言われても、

渋谷に縛られたい女性がそんなにいるとは思えない。

でもADなので、

何とかするしかない。

僕はセンター街へ向かった。

そして女性に声を掛け続けた。

「突然すみません」

「今、縛られてくれる女性を探してまして……」

今思う。

完全に怪しい。

たぶん相手も意味が分からなかったと思う。

ほぼ職務質問案件である。

でも、

奇跡的に協力してくれる女性がいた。

ロケは無事成立した。

今でも思う。

あの時協力してくれた女性は、

いったい何者だったのだろう。


そしてもう一つ。

歌舞伎町のハプニングバーへ潜入する企画があった。

今なら確実に放送できない。

そもそもハプニングバー自体が、

かなりグレーというか、

ほぼアウトである。

なぜ企画が通ったのかは分からない。

でも通った。

そしてロケも行った。

芸人さんを連れて店へ行くと、

店の人が常連さんを何人も集めてくれていた。

店内では、

そこかしこでハプニングが起きていた。

もちろん、

そんなものはテレビで流せない。

だから放送では、

芸人さんのリアクションが中心だった。

そして無事オンエアも終わった。

ところが数日後。

その店が警察に摘発された。

僕らは本当に知らなかった。

でも、

タイミング的に少しだけ申し訳ない気持ちになった。

もしかしたら、

日本で最後にテレビ取材を受けた

ハプニングバーだったのかもしれない。

こうして振り返ると、

昔のテレビは本当に自由だった。

自由すぎたとも言える。

今ならコンプライアンス的に完全アウトだ。

でも、

あの時代だからこそ生まれた番組も、

たくさんあったのだと思う。

たぶん、

もう二度と放送できない。

でも、

ちょっとだけ面白かった。


#テレビ業界 #創作大賞2026  
#お仕事小説部門 #実話


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#30 (余談) 「6kgの焼き鳥!1人で全部食えよ!!」



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『氷河期世代AD、テレビの片隅で。全話まとめ』

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