30年近く聴いてきた、サイケデリックトランスの出会いとピュアトランスを初めて聴いた時の恍惚感
最初に断っておきたいが、私はクラブやレイヴパーティーに行って騒ぐタイプではない。どちらかというと根暗なゲームオタクである。
音楽を他人にススメた時、一体どの程度の人がちゃんと聞いてくれるだろうか?
メタルが好き、バラードが好き、ヒップホップやローファイが好き、多種多様な人がいる中で、サイケデリックトランスのようなコアな音楽に触れて
”この音楽をもっと聴きたい!”と思う人は10人にススメて1人が感じてもらえれば十分であると思う。さらには、そうした記事を見てくれる人はそれ以上に少ないと私は思っている。
だけど、それに出会うまでには私自身のストーリーが沢山あったので、今回は前回までのジャンルからガラっと変えて、サイケデリックトランスに触れるまでのあらすじを記憶をたどりながら時系列で書いていこうと思う。
YMO、Underworld、Aphex Twinなどのテクノミュージックとの出会い
中学生のころ(1994~1996)アンダーワールドのdubnobasswithmyheadman(ダブノーベースウィズヘッドマン)や、エイフェックスツインのSelected Ambient Worksなど名だたるテクノの名盤を、従兄の影響を受けて聴いていたのが、この30年間サイケデリックトランスを聴き続けてきた原点(厳密にはゲーム音楽や後述するYMOであるかもしれないが)である。
元々、他の記事でも紹介しているがゲーム、特にファミコンのリアルタイム世代だったため幼少のころからゲーム好きで、意識せずともゲーム音楽というのが耳に入ってくる小学校生活だった。
ある瞬間から”こういうゲーム音楽ってどういう種類になるんだろう?”みたいな疑問を持つようになった。
親にそのことを投げかけてみると”YMOの音楽に似ているよね”という漠然とはしているが、核心をついた答えをくれたのは今でも記憶している。
私はYMOの事が気になった。しかし当時はネットなどなく、CDショップで直接聞けばよかったものを、そういう考えに至らず友達の家に遊びに行ったときに、友達のおじさん・おばさんに聞いてまわったりと子供ながらに情報収集の真似事みたいな事をしていた(結局、小学校6年生の運動会の踊りでRYDEENがかかり、YMOの音楽だと知る事になる)
YMO - Rydeen
YMOはイエロー・マジック・オーケストラの略で、坂本龍一・細野晴臣・高橋幸宏の3人からなる日本のテクノユニット。
それからしばらくして、中学1年か2年か(記憶があいまいだが)北海道の親戚のところへ遊びに行くことになり、そこで従兄がたまたま車中のカセットテープで聴いてた音楽(アーティストは覚えておらず)の電子音を聴いて”これだ!”と思ったのが2回目の出会いの「テクノ」だった。
しかし、そのときはゲーム音楽やYMOのようにメロディアスではなく、ただ淡々と同じリズムを繰り返すミニマルテクノ(同じフレーズを繰り返す音楽)には違和感を感じたのが記憶にある。
しかし、そのリズムと調和するかのようなビートになんとなく心地よさを感じていた。
帰り際、従兄が私にくれたものこそ、ダブノーベースウィズヘッドマンとSelected Ambient Works、海外のテクノのコンピレーションアルバム1枚だった。
ちなみに、この貰った3枚のアルバムの中で一番聞いたのはSelected Ambient Worksであるが、ダブノーベースウィズヘッドマンのノリの良い音楽もとても気に入っていた。
Underworld - Dubnobasswithheadman
全体的にテクノに歌を付けたものが多く、ハウスともブレイクビーツとも取れるようなトラックが多い。
Aphex Twin - Selected Ambient Works 85-92
4:53辺りで始まる"Tha"というトラックは特にお気に入りだ。
そして別れ際に”東京の神保町というとこに行けば情報を聞けるんじゃないか?”という言葉ももらった。
従兄はテクノに関して、当時の私なんかより全然知識はあったが東京には行ったことが無いような事も話してた記憶がある。
※その当時以前、およそ古くは戦前戦後からだと思われるが、神保町は老舗書店やレコードショップが多く並び、現在でもサブカルの聖地として有名な場所である。
若者の街”渋谷”や”秋葉原”にこうしたマニアックなレコードやCDが集まりそうにも思えるが、やはり”神保町を語らずして渋谷や秋葉原は語れない”というのが私の見解である。
パリピな若者が渋谷に集まり、オタクが秋葉原に集まる。その原点がまさに神保町にあるのだ。
余談だが、従兄は去年胃がんで旅立ってしまった。
若いころから酒に溺れた生活だったが、こんなにも早くに逝去されるとは思わなかった。あの車中で聞いたテクノのアーティストを聞けずじまいだったのもそうだが、もっとテクノについて語りたかったと本当に悔やんでる。
Aurora BorealisのThe Milky Wayとの出会いと、神保町で買ったサイケデリックトランスのアルバム
中学のときは、新しくCDを買うようなことはあまり無かったが
高校に進学してから、バイトを始めるようになった事で色々なジャンルのCDを買いあさる事が増えた。
近所のHMVなどは有名な邦楽や洋楽くらいしか置いていなかったが、それでもDJ HUNDAやDJ 19、The Prodigy、Orbital、電気グルーヴなど国内外問わずにテクノを聞いては自分の好みの音楽を追い求めていた時期だった。
DJ HONDAやProdigyに関して言えば、テクノからはやや距離もあり
”好みではないかな”と思うような”失敗”もあったが、それでもこの時期に彼らの音楽を聴いた事で、今の自分の”好み”の音楽に直結しているのは本当に感謝している。つまり、今考えれば最初から失敗では無かったのである。
この頃にはスーパーユーロビートやダンスマニアなど往年のコンピレーションアルバムが出てきたおかげで、数年前よりテクノミュージックが耳に入ることが多くなってきた。
高校3年生くらいの夏ごろ(1997年くらい)東京の神保町のCDショップまで行った時に、とあるCDが目に留まった。そのアルバムは完全に英語だけで、日本語は書いておらず、明らかに”海外のアルバム”とわかるものだった。
そのアルバムの名前は憶えてないのだが、どうもUKテクノのコンピレーションアルバムだったと記憶している(数年後にそのアルバムは手放してしまったのでアルバム名は全くわからず)
帰宅してから、そのアルバムを聴いて最後から2番目のトラックに入ってた
Aurora BorealisのThe Milky Wayという音楽に衝撃を受けてしまったのだ。
専門用語はよくわからないが、その曲のビート全てに酔いしれ、さらに音楽にストーリーがあると感じた。何度もリピートして聴いたし、とにかくカッコイイ!自分の探してたものはこれだ!と強く思うようになった。
その音楽と似たようなものを探したいと強く求めるようになり、再び神保町へ行って探し回るのだが、その前にちょっと聴いてみてほしい。
Aurora Borealis - The Milky Way
早速、このUKテクノのコンピレーションアルバムCDを持って神保町を駆け回った。といっても数軒回っただけなので、せいぜい半日ってところだろう(記憶はあまりないが)
最初に回った店の幾つかは、私が「このCDと似たようなジャンルを探してます」と言っても、店員の誰一人として聴いてくれなかったし興味もなさそうだったが、ある古い個人経営のような店(CD屋というよりレコード屋だった)に訪れた時に”CD貸して、ちょっと聞いてみようか”と言ってくれた。
おじさんは、古い洋楽(ピンクフロイドやビートルズの最初の方のアルバム、いわゆる”サイケデリックロック”が好きだった様子)に造詣深かったようで、色々話してくれたがこのロック関係の話について私は正直覚えてない(笑)
おじさんは7~8分はあるThe Milky Wayを最後まで聞いてくれた上でこう話してくれたのを覚えてる。
”テクノだね。キックがカッコイイね。でもこの曲は全く知らない、でもお兄さんにおすすめのアルバムは今用意できるよ”
そう言ってくれた上で、天井までレコードが敷き詰められた小さな店内の一角にあるCDコーナーの中からアルバムを3枚ほど持ってきてくれた。
Avex TraxからリリースされてるPURE TRANCE Vol.15, 16とスーパーユーロビーテクノというファンキー調なイルカの絵が描かれたCDだった。
”知り合いの皿回しが買っていったCDでさ、本人も気に入ってたんだよ”
ちなみに皿回しとはDJ(ディスクジョッキー)の事である。レコードを回す様子からそう言われてたらしい。
おじさんは”1枚どれか買ってみる?”と私の年齢から推測できる財布事情を気にした上で購入を促してくれた(そんな気がする)
しかし、おそらくはおじさんの予想にも反して
「全部買います」
そう言って私は1枚2500円前後のCDを3枚購入した。
とにかく、全部聞いてみたい。帰宅するまでの約1時間半が待ち遠しく感じた。さらには、この時購入したPURE TRANCE Vol.15(Psychedelic Trance Techno Selection)がその後の人生に大きな影響を与えることとなった。
身体が震えるほどの驚異的な恍惚感
帰路についた私は早速、CDをオーディオに入れて聞き出した。
最初に入れたアルバムはPURE TRANCE Vol.15である。
Slinky WizardのLunar Juice (Hallucinogen Moon Strudel Mix)というのが
1トラック目に流れ出す。
”これまで聴いてたテクノとは違う、何かドロドロとした感じだ”
というのが最初の印象だった。
付属のCD帯にもサイケデリックトランス(ゴアトランス)特集と日本語で書いてあった。※この当時はサイケデリックトランスもゴアトランスも一緒くたに扱われてたため、しっかり分別されるようになったのは少なくとも日本国内では後の話である。
Slinky Wizard - Lunar Juice (Hallucinogen Moon Strudel Mix)
こうしたゴアトランスは聞き始めのうちに”カッコイイ”と思えるなら、おそらくダウンテンポの方がその人に合ってると思う。
私はどちらかというと、もう少し早いBPMの方が自分に合ってるため、この曲を聞き始めた時はそこまで”カッコイイ”とは思えず、最初のイメージは先述したように”ドロドロした感じ”であった。
そして、3曲目のトラックに入った時に私の中の”何か”が湧き出すような感じがした。Mandra GoraのWicked Warpという曲だった。
最初のLunar Juiceより、よりテクノっぽいフレーズを繰り返す曲調に
アルバムをオーディオに入れてから初めて”カッコイイ”と思った曲を見つけた。この曲について、作った人について知りたいとも思ったが、説明書を読んでもなんか変な漫画があるだけで(失礼な)作った人の事が説明されてるわけではなかった(見逃したか、覚えてないだけかもしれないが)
Mandra Gora - Wicked Warp (Remix)
水野純子さんが描いた漫画「ピュア・トランス」とミャクミャク様
唐突に話が脱線してしまうが先述した変な漫画とは、PURE TRANCEのアルバムVol.11から最後のVol.20までの付属説明書に連載された水野純子画伯の漫画「ピュア・トランス」で、その後単行本にもなっている。
Avex traxのCD、『PURE TRANCE』のvol.11-20のブックレットに掲載された後、イースト・プレスより単行本として刊行されている。
最後の世界大戦で荒廃したために人類が移住した地下世界を、延命カプセル「ピュア・トランス」による過食症の治療施設「センター102」の院長や看護婦を中心に描く。作者独自のかわいらしく、かつグロテスクな表現が特徴。単行本は全1巻で、水野純子のデビュー作。
主要な登場人物は全員女性であり、男性はほとんど登場しない。皆愛らしく描かれてはいるが、グロテスクな描写が数多くあり、そのインパクトの大きさから一部で人気を博している。

またここで1つ余談が、大阪万博EXPO2025に於いて、公式キャラクターであるミャクミャク様を見た時に私は”あ!ピュアトランスまんまじゃんこれ!”と思ったものである。
その思いが、水野純子氏に届いたかどうかはわからないが、本人も気になっていたようで、氏自らが描いたミャクミャク様がファンの間でも話題になったようだ。
あれこれ悩んだ挙句、マザー&ベビー・ミャクミャク様を描いてみましたよ!🍼ミャクミャクきぐるみの写真を見ましたが、脚部分のたるみ具合がとても好みでした。☺️
— Junko Mizuno 水野純子 (@Junko_Mizuno) July 27, 2022
Making fan art of 2025 Osaka Expo mascot is trending in Japan so I decided to join in!✨#ミャクミャク colored in #adobefresco pic.twitter.com/jDtOx9B2mm
氏は現在イギリスで活動中のようで、個人展なども定期的に開催されているようである。
さて、元の話に戻ろう。
PURE TRANCE Vol.15を聴きながらオーディオの前でずっと座り、他の事をしようとも思ったが、意識がアルバムの方に行ってて何もできなかった当時の思い出がある。それほど私にとってこのアルバムとの出会いは大きなものだった。
そして、このアルバムの中でも最大のメイントラックとも言うべき曲が流れだした。7番目のトラックに収録された曲だ。
それはCosmosisのPsychofunkという曲で、出だしから強い恍惚感というべきかサブリミナルミュージック的というべきか、形容が難しいが、とにかく”カッコイイ曲じゃないか!”と、全身に悪寒… いや、ポジティブな鳥肌が走った記憶が今でも鮮明に残っている。
Cosmosis - Psychofunk
この曲は実際アルバムに収録されていた曲とは少し違い、2:28 - 2:54までのフレーズは原曲には収録されていない、つまり作り直された曲という事だ。しかし、これはこれでカッコイイので今でも思い出の曲でもあり、お気に入りの曲の1つである。
こうして、PURE TRANCE Vol.15を聴き終えた私は、イメージではあるが強い光というか”ようやく出会えた”といったようなものを感じたものである。
ちなみに、それから不思議と今までに自分から音楽を作ろうと思った事は一度もない。これは後になって導き出した自分なりのアンサーになるが、私の両親はかなりの文系である。両親が文系であることから、私自身が音楽を作ろうと思うより、この分野の知識知見を多く積み重ねたいと思う先天的な文系脳であったのだと私は考えるに至ったのである。
30年聴いたサイケデリックトランスはここで終えることは当然なく、現在の年齢で言えば人生の折返し地点に立っているが、これから死ぬまで… というより最後にベッドに入り自分から音楽を聴けなくなるまで私はこの分野を聴いていくのは当然だろうと、当たり前のように今の自分の生活に馴染んでしまっているのも、また先天的な”何か”なのだろうと思っている。
最後に
他の2枚のアルバムについても語っていこうと思ったが、長くなってしまうため一旦ここでこの記事は終了にする。
また、スーパーユーロビーテクノについてはアルバムは現在も持っているが、あまりにマニアックなシリーズであったためネットで情報が出回ってない事を考えると記事に出来ない可能性も否定できないので、もう少し考えながら紹介をしていけたらな、と考えている。
その後の自分は他のピュアトランスも買っていくことになり、そうした記事は今後も通常の記事として書いていきます。
また、この30年間までに聴いてきた、カッコイイと思った曲は500を優に超えるため、こうしたオススメというか自分で超絶カッコイイと思ったサイケデリックトランスやゴアトランスの紹介については有料記事にしてみようと考えています。ご理解のほど、よろしくお願いします。
(最後はなぜか敬語?)
それでは!
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