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母のエプロン

私は母にこれまでたくさんのエプロンをプレゼントしてきた。

一番最初は、母の日だった気がする。

子どものお小遣いで買えるのはたかが知れているので、あまり喜んでもらえなかった記憶がある。
(そういうのを容赦なく顔に出すタイプの母である)


それ以来、母の好きなエプロンのタイプは、肩ひもは落ちてこない太めのものとか、後ろでリボンで結ぶタイプではないものとか、両側にポケットが付いているものとか、シワになりにくい素材のものとか、そういうことを教えられた。


母は保育士だったため、仕事で多くのエプロンを必要とした。

だからこそ、いろいろこだわりもあったらしい。


私は、しまむらでキャラクターもののかわいいエプロンを見つけて買うのが好きだった。

私だったら絶対着られないようなかわいすぎるものでも、「おばさんでも保育士なら顔に似合っていなくても自信持って着られて、着ればそれなりにそれらしく見える」という特権が母にはあるため、私が着たい気持ちを母に託してプレゼントしていた。

母が仕事を辞めたあとは私の趣味のひとつがなくなったようで、少しさみしかった。



介護が始まって母にプレゼントしたのは食事エプロンだった。

食べこぼしがとても多くなってしまい、服も床も汚れてしまうために購入した。

ドラッグストアでは安価な介護用の食事エプロンが売られているが、私が働いていた病院で患者さんが同じものを使っていたため、母を「患者さん」として見たくないと思い、ネットでいくつか調べてから購入した。

私が購入したものは、機能としては、食べこぼしがキャッチされるポケットが付いているし、撥水性もあって汚れが少ない場合はサッと拭き取るだけでもよかった。

もちろん洗濯もできるからお手入れも簡単だった。

そして何より重視したのは、「いかにも介護用の食事エプロン」に見えないことである。

エプロンを付けるとまるでスカーフを巻いているような、いわゆるだまし絵が描かれていて、テーブル越しに見ても、そういう服を着ているように見える。

母は70代前半とまだ若いし、介護用エプロンを付けることで一気に「患者さん」や「おばあちゃん」に見えてしまうのが、私にはまだ受け入れられなかった。

だからこの買い物は大正解だった。

外食に行けるようになってからはお店でも付けたが、まったく違和感がなく使えたのもよかった。



最近では食べ方がだいぶきれいになってきて、食事用エプロンを付けることもなくなってきた。

そして先日、私はまた新たなエプロンを母にプレゼントした。

そのエプロンはキャラものでもなく介護用でもなく、いわゆる家庭用の無地のエプロン。


母は仕事を辞めるときに若い保育士さんにエプロンのほとんどをあげたらしく、家にはもう数枚のヨレヨレのエプロンしか残っていなかった。

最近はヘルパーさんとのお料理も楽しみにしているし、食後の食器洗いは母の役割になっている。
ヘルパーさんとの記事↓

だからこれからもきれいなエプロンで家事を楽しんでほしいと思う。


もちろん母好みのエプロンを熟知しているため、すぐに選べたし母も喜んでくれた。


あと何回、母にエプロンをプレゼントできるかな。

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