追伸、雨の底から
「雨の日の紫陽花は、誰かの涙を吸って咲くんだよ」
そう言って笑った君の指先は
僕のものじゃなかった
使い古したビニール傘
ぶつかる肩の距離が
もどかしくて愛しくて
わざと遠回りしたっけ
君の隣にいるあいつを
憎めたら楽だったのに
僕に向けられる
その純粋な「友情」が
何より残酷で
喉まで出かかった
「行かないで」を
雨音の中に放り投げた
飲み込んだ言葉の数だけ
胸の中に水が溜まっていく
土砂降りの愛を
僕はひとり浴びている
君にとっては
ただの通り雨だとしても
紫陽花が青く 青く
毒のように色づく頃
報われない恋は
泥にまみれて腐っていく
君がくれた優しさは
僕を殺すためのナイフだった
「君に会えてよかった」なんて
綺麗な嘘で閉じないで
真っ白なまま
枯れてしまいたかった
君の好きな色に
染まってしまう前に
雨に打たれて 震える紫陽花
明日になれば
また違う色を選ぶんだろう
さよならさえ
たださよならさえ
奪われたこの部屋で
僕は一生
降り止まない空を見上げてる
雨が上がれば
君はあいつの元へ行く
ぬかるんだ道に
花びらが散って
僕の恋だけが
誰にも見つからず
藍色の底へ
沈んで消えた


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