木と星と池塘と ~星景~|尾瀬
山小屋の扉を静かに開ける。
暗闇に吸い込まれるように木道を歩く。
そこには澄んだ夜空とこぼれ落ちた光の粒が待っていた。
しばらくの間、私が十勝(北海道)と同じように深く愛し、通い続けている「尾瀬」で出会った風景をお届けします。
澄んだ空
20時半。
寝静まった山小屋を抜け出すと、冷ややかな夜気が頬をなでます。
木道を歩くたび、「コト、コト」という自分の足音だけが湿原の闇に吸い込まれていきます。
見上げれば、そこには澄んだ、無垢な空が広がっていました。
尾瀬の夜
群馬、福島、新潟の三県にまたがる広大な湿原、尾瀬ヶ原。
そこは、気が遠くなるような年月をかけて積み重なった泥炭が作り出した、天上の楽園です。
ミズバショウが咲き乱れるこの場所も、夜の帳が下りれば、全く別の表情を見せてくれます。
静 夜
風は止み、雲はどこか遠くへ消え去ってしまったようです。
今夜は、驚くほど静か。
時折、音もなく流星が空を裂く。
そのたびに、宇宙の鼓動を間近に感じるような錯覚に陥ります。
暗闇に目が慣れてくる。
湿原の中に、ぼんやりと浮かび上がる影がありました。
それは、湿原に独りで立つ一本の木。
遠く離れた街の明かりが、淡いスポットライトのようにその姿を照らし出しています。
足元には、雪解け水で満たされた池塘と呼ばれる池が佇んでいます。
カメラを据え、シャッターを切る。
数十秒の自然との対話の時間。
カメラの液晶に現れたのは、肉眼では捉えきれなかった光景でした。

夜空の星たちが、水面に零れ落ちている。
空と地上の境界が溶け合い、どちらが本物の宇宙なのか分からなくなるような反転した世界。
夜の光
カメラという道具は、ただ景色を記録するだけのものではありません。
それは、私たちが普段見過ごしている「世界の美しさ」を再発見するための、特別な眼鏡のようなものです。
もし今、あなたがカメラを手に取ることを迷っているなら、あるいは自分の写真に何かが足りないと感じているなら、一度、夜の静寂の中に身を置いてみてください。
そこには、あなたにしか見つけられない光が必ず待っています。
次は、あなたがその「宇宙」を切り取る番です。
今回紹介した写真の撮影時の設定は、下記の記事の無料部分で紹介しています。
