祖父の原爆絵本を語り継ぐ【第7回】祖父が残した“糊付け原稿”の絵本たち
小学生だった私に、祖父がくれたのはホチキス止めとビニールテープで製本された手作りの絵本。
「火のトンネル」「もえるびょういん」――それは祖父の「伝える」使命のかたちだった。
祖父・坂口便は、原爆意識調査かで、子どもたちが、原爆について知らないことに衝撃をうけ、
沈黙の壁を破り、執筆により、被爆の実態を伝え始めました。
ある日、小学生だった私に、祖父は一冊の“絵本のようなもの”を手渡してくれました。
原稿用紙に書いた文章を鋏で切り、台紙に糊付けしてレイアウトされたもの。
そしてそれは、ホチキスで丁寧に綴じられ、背表紙にはビニールテープが貼られた手作りの製本でした。
タイトルは――「火のトンネル」「もえるびょういん」。
祖父がデザインしてレタリングしたタイトルが描かれていました。

まだ挿絵もなく、文章だけのその絵本は、静かで、やさしく、それでいて強く語りかけてくるものでした。

祖父がくれたその絵本のお話は、『ナガサキの原爆読本・初級用』に収録されていました。
当時書いた原稿で雰囲気を見るためか、下書きだったかはわかりませんが、
私にとっては、祖父の手作りの大切なプレゼントでした。
孫のひとりに向けてくれた「語り継ぎ」のバトンでもあったのだと思います。
その時はまだ、祖父の深い思いや背景まではわかっていませんでした。
でも、糊付けされた原稿の一文字ずつから、
「ここには、大切なことがかかれている」
――そんな気持ちだけは、ちゃんと伝わってきたのを覚えています。
あれから時がたち、祖父の残した絵本たちは、今も私の手元にあります。
そして今度は、私が「語り継ぐ」番なのかもしれません。
本編は長くなりますが、次に、そのままのかたちで、文章を載せようと思います。
📕次回
祖父の原爆絵本を語り継ぐ【第8回】
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