Episode 97 数値でカイゼンできません。
「見える化」という言葉があります。
トヨタ式カイゼンで語られる「QC手法」で多く登場する言葉です。
良い情報も悪い情報も正確に職場内で共有化して実態を客観的に把握する方法で、良いも悪いも見せることで、何が出来ていて何が出来ていないのかをみんなで共通して理解しようとする方法です。
最近では工場などの生産現場だけではなく、その他の業種や部署でも広く使われるようになりました。
ただ、安易に「見える化」を実施すると、ありとあらゆるものが数値化されてしまうんですね。
間違えた使い方をすると悲劇が起こることもあって…。
例えばですよ、営業マンの売上成績を見える化する…って話です。
トップセールスを叩き出す営業マンはそれで良いでしょう…営業畑で出世して、部下を束ねて行けば良いワケですから。
でも、成績下位の営業マンはキツイ…売れない実績を正面から指摘されるわけで、この現実にはかなり凹むハズです。
そもそも「見える化」とは、工場で生産される製品の「品質のバラツキ」をどのように一定にして向上させるか…を、考えるためのツールであって、基本的には「対物ツール」なのです。
営業マンの成績を見える化して成功するとすれば、それは上司部下の強固な信頼関係と上司による部下の完璧なフォローが必要です。
成績下位の営業マンの売上が低迷する理由とその対策を一緒に考えて、共に歩いてくれる上司であれば…もしかしたら成功できるかも知れません。
対人関係で行き詰まりを感じていた私は、その一方で物差しの管理が得意でした。
流石に部下の実績を模造紙で壁に貼るようなことはしませんでしたが、頭の中では部下を私の物差しで測っていたのは間違いありません。
ましてや反応をみて相手の表面的な気持ちを理解するのでやっとやっとの私です、そこで人物の特性を見るようなスキルは備わっていないワケです。
「見える化」しようと思ってしていたわけではありませんが、私の思考特性で部下を「人間」というひとつの物差しで「見える化」していたように思います。
残念なことに、モノに対しての数値管理は一流で、組織の状態がどうであれ結果の数字は出るのです。
同じ「見える化」でも、こっちはそれなりなのです。
そしてこのアンバランスが、自己肯定感の低下を招く大きな引き金となって私を襲うことになるのです。
