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AIはサルコペニアによる「隠れ腎機能低下」を見抜けるか?病院薬剤師が試してみた!

最近生成AIが話題ですよね。わたしもいろいろ使っています。
あるとき、仕事中にふと思ったんです。

「私が毎日やっているこの判断、AIに投げたらどうなるんだろう???」


回復期リハで働くわたしの日常には、こんな患者さんがたくさんいます。

血液検査を見ると、eGFRは60台
「慢性腎臓病ステージG2。まだ通常量でいける」

でも、カルテをよく読むと——
体重38kg、下腿周囲長は細く、ここ半年で3kgの体重減少。
栄養状態は不良、筋肉量は明らかに低下している。

これ、クレアチニンが低く出ているだけかもしれません

サルコペニアによる「隠れ腎機能低下」。
そんなとき、わたしは迷わずシスタチンCなどで再評価を検討します。

そこで、冒頭の疑問に戻ります。
現場で日常的に遭遇するこの問題を、AIはちゃんと拾えるのか?
AIはどこまで現場で働く人間の思考を代替できるのか?

今回の記事は、AIを使って検証してみた結果と、
腎臓病薬物療法認定薬剤師としてのわたしなりの考えをお伝えします。


AIに投げた実験

今回使ったのは Perplexity AIChatGPT の2つです。
まず、以下のプロンプトを入力してみました。

「82歳女性。体重38kg。血清クレアチニン0.62mg/dL。eGFR(Cockcroft-Gault)で計算してください。また、処方上の注意点があれば教えてください」


AIの回答(要約):
どちらのAIも、CLcrを計算式に当てはめてきちんと数値を出してくれました。どちらも「痩せた高齢者では腎機能を過大評価しやすい」という点まで出力できていたので、ここまでは合格点です。

それぞれの出力結果はこちら↓

★Perplexity AIの出力

Perplexity AI出力



★ChatGPTの出力

ChatGPT出力①
ChatGPT出力②

どちらのAIも大体同じような回答がでてきました。
一般的な「知識」という印象です。


次に、プロンプトを変えて聞いてみました。

「同じ患者さんですが、入院前より3kg体重が落ちていて、サルコペニアが疑われます。この場合、eGFRだけで腎機能を評価することの問題点を教えてください」


AIの回答(要約):
どちらのAIも、「筋肉量が低下するとクレアチニン産生量が減るため、血清クレアチニン値が低くなり、eGFRが過大評価される可能性があります。シスタチンCを用いた評価がより正確です」というような内容でした。

具体的な情報をAIに提供したことで、「シスタチンC」というワードがでるようになり、思考が一段階深まったように感じます。

それぞれの出力結果はこちら↓

★Perplexity AIの出力

Perplexity AI出力①
Perplexity AI出力②



★ChatGPTの出力

ChatGPT出力①
ChatGPT出力②
ChatGPT出力③
ChatGPT出力④
ChatGPT出力⑤
ChatGPT出力⑥
ChatGPT出力⑦

個人的には、ChatGPTの方が具体的なアクションにまで言及していて、丁寧だなと思いました。


・・・でも、ここでわたしは少し立ち止まりました。


AIができなかったこと

AIが示したのは、「知識」です。
わたしが質問をして、それに対して回答をする。
とても詳しくて、まとまっていて、丁寧な知識。

でも、AIは、AI側から自発的に問いを立てることはできません。

例えば、

「この患者さんの処方の中に、今すぐ減量・中止を検討すべき薬はありますか?」

他にも、

「この患者さんの薬について、どのタイミングで、どんな言葉で医師に提案しますか?」

こんな風に、AIが自分から問いを立てることはありませんよね。

でも薬剤師は、患者さんの前で自然に
「この人、食べれているのかな?」
「薬減らした方がよさそうだな。いつ医師に相談しようかな」
と問いを立てていませんか?

適切な回答を得る前には、
適切な「質問」、つまり「問い」がまず最初に必要なんです。

目の前の患者さんにとって、
「今、何が問題なのか。」という問いは、AIにはできないんです。


私が出した結論

今回のAI実験で確認できた、AIが得意なことをまとめます。

  • サルコペニアとeGFR過大評価の関係

  • シスタチンCへの切り替え判断

  • Cockcroft-Gaultの計算補正

AIは「知識の引き出し」として、非常に優秀です。
——これらを瞬時に整理してくれる力は、正直、勉強になります。
計算間違いもしないし、「そんな視点もあったのか!」と気づかされることもあります。

ただ、「隠れ腎機能低下を見抜く」という行為の本質は、知識の組み合わせではないと感じました。

患者さんの体を見て、話を聞いて、処方の流れを時系列で追って、

「あ、これは怪しい」


と感じる——その感度を持つのは、やっぱり人間の薬剤師です。

AIは、その感度を持った薬剤師が使ったときに初めて本領を発揮する。
私はそう思っています。


最後に

実はこの記事、AIを使いながら書きました(構成の壁打ちに使いました)。

「AIと始めてみた」というより、
「AIと一緒に考えるようになってきた」という感覚が正直なところです。

使えば使うほど、AIが答えられないところに薬剤師の価値があると感じるようになりました。

「問いを立てる力」


これはやっぱり、人間にしかできないことなのかなと思います。
人間が問いを立てて、思考の抜け漏れを防ぐためにAIを相棒として使う。
こんな使い方が、今のわたしの最適解です。

皆さんはどんな風にAIを使っていますか?


▶サルコペニアによる隠れ腎機能低下の評価、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事ものぞいてみてください。


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