今夜だけは、ふれてほしい
ふれてほしいなんて、
感じないようにしてた。
さみしさは、さみしさ。
孤独は、ただの静けさ。
そんなふうに、
ちゃんと距離を置いて、受けとめてた。
でも、今夜だけはちがった。
ふと、
誰かに抱きしめられる夢を見そうになって
慌てて目をそらした。
どこにも温度がない部屋の中で
自分の肌の冷たさだけが、
やけにくっきり感じられて、
ああ、
今夜だけは、ほんとうに誰かにふれてほしいって感じてる。
年に何回か、こういう夜が来る。
理由もないのに、
呼吸が胸の奥で迷子になる。
月のリズムかもしれないし、
わたしのどこかが、
何かを思い出したがってるのかもしれない。
「わたし、大丈夫やから」って
いつもなら言える。
ほんとうに、言えてた。
けど、今夜だけは──
そのことばを、
自分の口から出すのが、怖かった。
ただ、ふれてほしい。
なぐさめてほしいんじゃない。
共感してほしいわけでもない。
ただ、
誰かの体温を通して、
わたしがここにいるって、確かめたかった。
それだけ。
── ほしのりりす
🌘祈りのことば
「今夜だけは、
ふれてほしいと感じた自分を、
どうか静かに抱いてあげられますように。」
よりそってくれて、ありがとう。
よるのショートエッセイシリーズは、
ことばだけで、濡れる夜がある。
あなたの「感じるところ」に、そっとふれていく連作です。
今日は、わたしにふふれてみて。
わたしのことばが気になって、
のぞいてくれたら、今夜とけるかも。
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読み終えて、なにかが残ってしまったなら──
その余韻を、そっと返してもらえると、うれしいです。
わたしはまた、ひらいて書ける気がします。