【読書記録】「ブルーローズは眠らない」をただただ語りたい
はじめに
1980年代のパラレルのような世界観を舞台にしたマリア&漣シリーズの第2弾。
前作「ジェリーフィッシュは眠らない」では、未知の技術で造られた新型飛行船がテーマだったが、今作は不可能の代名詞である青いバラ「ブルーローズ」が作品の根幹となっている。
あらすじ
ジェリーフィッシュ事件後、閑職に回されたフラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣。ふたりは不可能と言われた青いバラを同時期に作出したという、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査することに。ところが両者と面談したのち、施錠されバラの蔓が壁と窓を覆った密室状態の温室の中で、切断された首が見つかり……。『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾
市川憂人著。
初出は2020年。
相変わらずのアメドラのような世界観とテンポ感で、さくさくと進んでいく話。
今でこそ、青っぽいバラはそれなりに実用化されつつあるが、この時代に遺伝子改良によって作られた青バラを巡る殺人事件が起きる。
ネタバレなし感想
本作は現代の青いバラに関わる殺人事件を描く「ブルーローズ編」と、過去にあった事件を描く「プロトタイプ編」が交互に語られる。
その中で、少しずつ事件がリンクしていく。
被害者である博士や神父、青いバラなど、まるで過去の事件を追体験するように、現代の事件と繋がっていく。
そして「ブルーローズ編」で謎の日記が見つかり、その日記の中で「プロとタイプ編」の事件が、1年前に起きた事件である、と判明する。
本作の肝は、この交互に起きる事件が、不思議な繋がり方をしている点だろう。
現代では青いバラの製作者である博士が、温室の密室の中で殺され、「プロトタイプ編」でも博士は殺されたと日記に書かれている。
この二つの事件がどの様につながっていくのか、というのが見どころだろう。
ネタバレあり感想
なんというか、かける手間暇のわりに、リターンが見合ってないというか、もっと出来たんとちゃう?と思わないでもない。
本作は殺人事件というより、「偽装殺人」(あるいは嘱託殺人)のような感じで、「密室」だけど被害者が実は犯人なので、あんまり密室になってない、という感じのトリック。
温室のトリックも、植物の蔦で窓が開けれない、という密室だったが、実際は開けられるように上手いこと成長させてた、というもの。
かなり面倒というか、別に密室にこだわる必要ないような…というのが一番の感想。
「プロトタイプ編」で一家を襲った犯人に復讐する為、「ブルーローズ編」で似たような事件を起こしたら犯人ビビるやろ、という感じの事件。
うーん、復讐のわりに回りくどいというか。
ラストはなんかいい感じに終わったけど、結果的に特に関係のない研究者も犠牲になっちゃってるし、もうちょい復讐方法は考えた方がよかったと思う。
とはいえ、まあその辺はミステリ的には仕方ない部分かもしれない。
今作はややマリアたちが大人しいというか、あくまで狂言回しに徹しているような感じだった。
特に漣に関しては、ほぼ単なる助手的な感じで、もう少しキャラのある動きが欲しかったかな、といったところ。
ミステリ的には前作に比べると少しスケールダウンしたかな、といったところ。
地味に叙述トリックも使われているが、大ネタが少し弱かった。
とはいえ、全体的にクオリティの高い作品ではあるので、この世界観が好きな人はぜひとも読んでください。
前作の感想はこちら↓
