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【私小説】未知#3

気づいたときは、

その場のコンクリートの上に

仰向けになっていて、

目の前には、しゃがんだタケモリ、

その後ろには

生徒会のメンバーが立っていて、

真希を囲んでいた。


タケモリは、真希の肩を持ち、

必死に「いきをしろ」と言った。

いきってなに? 

何のことだかわからない。


すると、また、

「いきをしろ」と叫ぶタケモリ。

2回目でようやくいきの意味を

思い出した真希は、

ラジオ体操の最後のように、

ゆっくり、息を吸って、吐いた。


と同時に、

それまで無だった感覚が動き出し、

背中に激痛が走った。


背中の痛みに顔を歪めながら、

数回いきをしていると、

担架がどこからともなく用意され、

真希はそれに乗せられた。


年配で小柄な保健室の先生が

担架の先頭で、

「1、2、1、2、……」と

ハキハキと号令をかけて運ぶが、

その先生だけ身長が低いために、

真希の頭の片側が下がっていく。


すると、

見かねた体育の女の先生が

「先生代わります」と言って代わり、

真希の頭も下がらなくなった。


体育の女の先生は、

「熱が出るかもしれないから」と、

氷の入ったビニール袋を

真希の頭にあてた。


事故を聞き

パニックになる職員室で

真っ先に氷を用意したのは、

体育の先生らしい

冷静で的確な機転だろう。


担架は、保健室を通り越し、

職員室棟の廊下を

一直線に走り過ぎて、

事務室前の職員玄関で

床に降ろされた。


玄関ロビーの真ん中で

担架に寝かされた真希を、

何重もの輪になった先生たちが

見下ろしていた。


その輪をかいくぐるように

「うちのクラスの生徒です」と、

聞き慣れた太い声で、

担任のオオツが

真希の視野に飛び込んできた。


オオツは、

真希と目が合っても

声をかけることなく、

その場にいる先生すべてに

聞こえるようにか、

何度も何度も

「うちのクラスの生徒です」

を繰り返していた。


体操着だから

名前はゼッケンに書いてある。



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