人生をデザインする仕事
今年初の台風が過ぎ去りました。
風の音が静かになった朝。
庭の枇杷が色づいているのを見つけて、一つ手に取りました。
柔らかな皮をむき、そのまま口に運ぶ。
採れたての実には、どこか季節そのものを食べているような感覚があります。
忙しくしていると見過ごしてしまいそうな変化ですが、こうして季節は少しずつ進んでいるのでしょう。
そんな朝にふと、作業療法士として歩んできた時間のことを思い出しました。
今日は少し、その話を書いてみようと思います。
これまでの記事では、スピリチュアルや象徴の話が中心でしたが、私自身を形づくっているものの一つに、作業療法士として過ごした時間があります。
私はこれまで、回復期、循環器、訪問、急性期、一般病棟、療養病棟と、さまざまな領域を経験してきました。
昨年、体調を崩したことをきっかけに、自分の生き方を本格的に見つめ直す時間が生まれました。
病院という組織の中で働き続けること。
その先にある未来。
そして、自分は本当はどんな生き方をしてみたいのか。
そんな問いが、少しずつ大きくなっていったのです。
病院や施設の仕事が嫌いになったわけではありません。
むしろ、多くのことを学ばせてもらいました。
ただ、一度
「組織に依存しない生き方をしてみたい」
と思ってしまったら、その思いを見なかったことにはできませんでした。
作業療法士という仕事は、よく「その人らしい生活を支援する仕事」と言われます。
けれど私にとっては、
「人生をデザインする仕事」
だったように思います。
退院後にどんな生活を送りたいのか。
何を大切にしたいのか。
どんな未来を望んでいるのか。
身体機能だけではなく、その人の人生そのものを見つめる仕事でした。
だからこそ、患者さんの「やりたい」を後押しできた時は本当に嬉しかったのです。
そして同時に、自分自身の人生についても考えるようになりました。
患者さんのため。
家族のため。
誰かのため。
そうして一日が終わる。
それは尊いことです。
けれど、その生き方だけが正解なのだろうか。
私自身は何を望んでいるのだろうか。
そう問い続けた結果、
「もっと自由な働き方や生き方を模索してみたい」
という思いが生まれました。
けれど振り返ってみると、作業療法士として大切にしてきたことは、今も変わっていません。
私は今も象徴を読みます。
詩を書きます。
誰かの話を聴きます。
自分の経験を言葉にします。
そこから何を受け取るかは相手の自由です。
何かのヒントになるかもしれないし、ならないかもしれない。
ただ、その人が自分の人生を見つめるきっかけになれば嬉しいと思っています。
リハビリ職もそうでした。
私たちは主役ではありません。
患者さんの人生を生きることはできません。
だからこそ黒子のように寄り添い、その人が歩き出すのを見守る立場でした。
それは今も変わらないように思います。
人生を決めるのはいつだって本人です。
転職も。
引っ越しも。
結婚も。
誰かに決めてもらうことはできません。
リハビリの現場では、そのことを何度も教えられました。
七十代から絵を始め、九十歳で賞を受賞した方。
肺気腫で在宅酸素療法を続けながら、八十代でInstagramに作品を投稿していた方。
「もう遅い」という言葉が通用しない人生に、私は何度も出会いました。
患者さんを支える立場でありながら、実際には私の方がたくさんのことを教えてもらっていたのだと思います。
様々な人生に触れ、様々な感情を共有できた時間は、今では私の宝物です。
その経験があったからこそ、私は病院の外の世界にも興味を持つようになりました。
最近は、自分が何者なのかを説明しようとすることを少しやめました。
作業療法士。
カードリーディングをする人。
詩を書く人。
そのどれも間違いではありません。
けれど、本当のところはもっと単純です。
私はただ、
こんな生き方をしてみたいと思ったのです。
花を見て立ち止まり、
象徴を読み、
言葉を綴り、
誰かの人生に耳を傾ける。
そんな生き方をしてみたい。
そう思い、
今、その道を歩きはじめています。
理由は後からいくらでも語れるのかもしれません。
けれど人生は案外、
「やってみたい」
から始まるのだと思っています。
そして、そんな小さな「やってみたい」を応援すること。
それもまた、私にとっての
「人生をデザインする仕事」
なのかもしれません。
月灯りの図書館より
もし、この頁の続きを読みたくなったなら。
私が進む道を見失い、
立ち止まることになった頃を振り返った記録。
なぜ私がタロットを脳の訓練として捉えているのかを綴った記録です。
どちらも、
この本へ続く小さな通路のような蔵書です。
そして、
人生の岐路に立たされた時、
出口を見つけるきっかけとなった
サビアンシンボルについて。
もし興味があれば、本棚をもう少し歩いてみてください。
