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​100本の深紅のバラをもらった  だってその日は…




いつもと違う朝

「お母さん、明日の朝は何時に仕事行くの?」

お正月あけの連休に帰郷してた長男が
前の晩こう聞いてきた。

「明日? 7時に出るよ。」
どうやら孫も気にしていたらしい。


翌朝、いつもと変わらない支度をして、
でも気持ちはちょっぴり前かがみで…。

7時。
玄関を出ようとしたら、
そこには家族全員の姿。

「行ってらっしゃい!」

その一言と、
みんなの温かい眼差しを見たら、
私の視界はうるうるとにじんでしまった。

まだ家を出る前だというのに、抑えきれない感情が涙となってあふれ出たのだ。

​「もう、朝から泣いてる~!
これじゃきっと1日中泣いてるね。」

最近涙もろい私をよく知る長女が、
笑って送り出してくれた。


​重みの中に感じた、信頼の証

​日中、私はたくさんの方々にお会いした。

これまでずっと支えてくださったお客様、
そして共に歩んできた仕事関係の方々。

いつもの仕事だけど今日は特に心を込める。

感謝の言葉を伝えると、
返ってきたのはそれ以上の、
あふれんばかりの優しい言葉だった。

​「こちらこそ、ありがとう!」

「あなたのおかげで助かったよ🩷」

「寂しいよ…どこかで会えたら良いね…」

​その一言一言が、私の胸に深く突き刺さる。
泣かないようにと必死に堪えたけど、

皆さんの笑顔を見るたび、
鼻の奥がツンと熱くなっていた。

​そして夜。
いつもの掃除と事務処理を終え、
帰宅の途につこうとしたその時。

信じられない光景が目に飛び込んできた。

眼前に差し出されたのは、
燃えるような深紅のバラ!🌹
それも、100本という圧倒的な花束だった。

​100本のバラを贈られたのは、
人生で初めてのことだ。

大号泣。

受け取った瞬間、
そのずしりとした重みにとても驚いた。


それは単なる花の重さではなく、
これまで築いてきた信頼や、
共に汗を流した時間、
そしてみんなの心が形になった重みだった。

私が所属する団体の、長野支部の上司たち。
私は自営業ではあるが、

彼らの手厚いバックアップ体制のお陰で、
5年間を無事に全うできた。

上司はご自身の仕事を終え、
松本から車を飛ばして来てくれたのだ。


「ああ、
私はこんなにも大切にしてもらってたんだ!」

そう思った瞬間、
感謝でまた涙が止まらなかった。

​家族という、帰るべき場所

​バラたちの香りに包まれ帰宅すると、
家族、そして5年間を支えてくれた夫が待っていた。

脳出血から帰還した夫

この仕事を始める2年ほど前、
夫は脳出血で倒れていた。

幸い朝の自宅でだったため発見が早く、数ヵ月の入院とリハビリ生活でまた自営業に復帰できた。

でも手術のできない部位の出血だったので、
復帰は奇跡だと医師から言われた。

後遺症はほんのわずか。

生かされた命、
これからも大切にしていこう。


自営の夫が倒れたから、
この家は私が支えるしかなかった。


私が始めたことは高齢者のお世話をする仕事。
開業した頃は慣れなくて15時間労働も当たり前の日々だった。

夏は炎天下の外仕事だし、
冬は積雪時ももちろん運行する。

高齢者の代わりに重い荷物も運ぶ。

それまで事務しか経験が無かった私は、
1年目で夏前に熱中症になりかけた。


それを心配した夫が、毎朝6時出発で私の仕事の準備をしてくれるようになった。

自分の仕事の前に手伝って、
朝食を食べに戻り仕事に出る。

私が仕事を終えて拠点に帰ると、
自分の仕事の後手伝いに来てくれる。

私の顧客が多い金曜は、
自分の自営業を休んで毎週手伝ってくれた。

夫はよく冗談を言い、
独居老人が困ってる鍵とか電球を
すぐ直してあげるので、

いつの間にか
おばあちゃんたちのアイドルになっていた。
(アラカンでもなれるのね!)

彼が話しかけると、
嬉しそうに答えるおばあちゃんは
まさしく乙女そのもの!🩷✨

そんな毎日のサポートが無ければ、
私は完走できなかっただろう。


そう言えば数年前、
私が第二腰椎を骨折したとき。

私が伺わなきゃご飯を食べられない高齢者もいる。命にかかわる事態だ。

熟慮の末、夫はその3ヶ月間、
自分の仕事を休みこの仕事を代行してくれた。

私はもちろんだが、お客様の命がつながった! 
感謝してもしきれない。



本当はこの仕事を、
もっと続けなければいけなかったと思う。

でももう年齢的に、体力的に限界だった。
夕方になると腰が痛くて、
立っているのがやっとになっていた。

重い荷物を運んだり、長時間の立ち仕事・運転も腰に大きな負担となった。


お客様は年々物忘れがひどくなり、ご自身より私の方がそのかたの好みを覚えている。

認知症のせいか怒りっぽくなり、泣き出したり愚痴を言ったりのお年寄りが増えてきた。

「お母さん、お父さん」と話を聞いてあげる。

お子さんは遠くにいて逢えないんだものね。
私が話を聞かなきゃ、みんな辛いよね…



私の仕事を体験しに来た若い男性は、

「本当に大変な仕事ですね…僕にはできない」
と言って帰っていく。

この仕事は「想い」が無ければできない。


でも、それを承継してくれる人が現れたので、
私はバトンを渡すことができた。
本当に有り難い。

とても濃い5年間だったなぁ…


帰宅後夫の顔を見た瞬間、
張り詰めていた糸が切れた。

「パパ、今まで本当に、本当にありがとう!
お陰でここまでやって来られました。
パパのお陰です。」

泣きながらお礼を言う私を見て、
彼もまた、静かに涙を流していた。

お互いそれ以上は言葉にならなかった。

感謝を分かち合ったあの時間は、これまでのどの会話より深く心に刻まれている。

子供たち、孫たち、そして愛犬!

​涙をぬぐって振り返ると、
長女がぎゅっと抱きしめてくれた。

彼女の温もり、背中に回された手の優しさ。

いつもそばにいて励ましてくれた長女。

私は「疲れた」とか「大変だった」とか、
なるべく言わないようにしてたけど、
顔色をみてずっと察してくれてたと思う。

夫の病気で路頭に迷いそうになり、
私がこの仕事を決断したとき。

それは同時に彼女の試練の始まりでもあった。

開業日から私は朝6時台に仕事を始め、
夜9時過ぎに帰宅することもあった。

ご飯の支度はもちろん、家事一切ができない。

長女はフルタイムで働き、
2人の男児は平日サッカーをやっている。
土日はほとんどが試合の生活。

家族5人だしスポーツをする子供たち、
身体も作らなきゃならないから、
帰宅後の夕飯作りは大変だっただろう。

大家族でユニフォームの洗濯に明け暮れる朝晩、忙しかったであろう。

よくやり遂げてくれた。
本当に有り難かった。
感謝でいっぱいだ!💝

そして長男や孫たちがとびきりの笑顔で、
「お疲れ様!」
「頑張ったね!」
と声を上げ祝福してくれた。

長男が珍しく4日も実家にいたのは、
このためだったのか!
そのさりげない思いやり、本当に嬉しかった。


彼も次女も私の仕事を手伝ってくれたことがあり、大変さを知っているので、
いつも身体を気にかけてくれていた。
心からありがとう!💖


疲れて帰っても、
孫たちの笑顔や話に元気をもらい、

noteの画像モデルであるラテ色のチワワに癒されてきた日々。



みんなのお陰でやり遂げられた。

賑やかな笑い声の中、
夕食に並んだのは私の大好物、
お寿司だ。

みんなで囲む食卓は、
どんなレストランより豪華で、
どんなご馳走より心を満たしてくれた。

​最後のピース:ピンクと黄色の輝き

​これだけでも、
もう十分すぎるほどの幸せだった。

胸がいっぱいで、
「これ以上の喜びなんてない!」
と本気で思っていた。

​ところが、夜も更けてきた頃。

子供たちがいたずらっぽい笑顔を浮かべて、
さらなるサプライズを運んできてくれた。

それが、前回の記事でお話しした、
あのピンクと黄色の花束だったのだ。


このバラは、結婚後初めて夫婦で里帰りした次女が選んでくれていたらしい。

3日前に帰っちゃったけど、
心は置いてったんだろうな…

親思い、家族思い、そんな子だもの。

案の定、次女から電話がかかってきた。
家族がそろった瞬間だった! ✨✨


仕事関係の方からいただいた、
威風堂々とした100本のバラ… 🌹

それはもちろん、私の誇りであり、宝物だ。


でも、子供が私の好きな色を知ってて、
私に合わせ選んでくれた花束を持ったとき、

私の心のパズルが
最後の一片で埋まったような気がした。

本当に本当に嬉しかった! ✨✨


用意してくれた​お祝いのケーキを切り分け、
「美味しいね」と笑い合う。


甘いケーキの味と、
バラの香りが混ざり合うリビングで、
私は夢の中にいるような心地だった。

​一日中、泣いて、笑って、また泣いて。

こんなに心が激しく揺さぶられ、
同時に凪のように穏やかになれた日はなかった。

​結びに代えて


​朝の家族の見送りから始まり、
100本のバラに包まれた夜、

夫の涙、子供たちとのハグ・笑顔、
そして夜に届いたピンクと黄色の煌めき。

すべてが光の粒のように繋がった、
素晴らしい1日。

​なぜ、
これほどまでに皆が優しくしてくれたのか。
なぜ、こんなにも温かな涙があふれたのか。

​その理由をお伝えします。
(もう、お気づきですよね)

​その日、私は自営業を引退しました。

​5年間、
私の仕事と人生を支えてくださったすべての皆さまに、心からの感謝を捧げます。



また、忙しくストレスもたまる仕事でしたが、
このnoteに出逢え、記事を作ることが私の癒しでもありました。

皆様の優しいコメントに、
毎日心が温まっていました!

だからnoteに関わるすべての皆様にも
お礼を申し上げたいんです。


幸せなフィナーレを、
本当にありがとうございました!

​これからは、
いただいたバラのように彩り豊かな、
新しい毎日をゆっくり歩いていこうと思います。

                ローザ🌹


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​ローザ「何があっても大丈夫」をつくるエッセイと生きるヒント 応援やチップ、いつもありがとうございます!頂いたチップは、あなたに有益な記事をお届けするための活動費に使わせて頂きます🍀素敵な1日をお過ごし下さいませ🌹