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小説【love my life 〜我が人生を愛す〜】


小説【love my life 〜我が人生を愛す〜】


著者 
七海 文(ななみあや)


私は石塚優(いしづかゆう)

正義感強く、笑顔が可愛いだけの

どこにでもいる普通の女の子。

そんな優も恋をしていた。

どんな人の心も掴んでは離さない、

明るい人気者で、

人誑し(ひとたらし)の、
天竺龍(てんじくりゅう)に、
恋をしていた。


彼の周りは、優から見て、

とても眩しかった。

そして彼の隣には、

高校生にしては、

大人びている咲山彩夏(さきやまあやか)がいた。


彩夏は龍の恋人だった。

彩夏自身も、

人を惹きつけるものを持っている。


優はそんな二人を羨んで見ていた。


目立つ存在ではある、

神野逞人(かみのたくと)は、

いつも群れていない。

優とは、

どうでもいいことを、

話すぐらいの級友に過ぎなかった。


ただ、優にとって、

逞人は、どんな時も、

変わらずに優しい人だった。

優の無意識のなかで、

彼には心を許していたのだろう。


逞人の、

人を信じ切らないその複雑な瞳を、

優は嫌いにはなれなかった。


優も誰も彼もを、

信じて生きているわけではない。

 

あの夏。

龍と逞人は、

問題児の先輩らと一緒に、

町内で警察沙汰のトラブルを起こして、

謹慎になってしまう。


優はそんな彼らに呆れつつも、

欲望のまま、流れるように、

暴れることができる彼らが、

本当は羨ましかった。


何故なら、優は、

感情を抑えていく日々を過ごしていた。


謹慎中、 

親に丸坊主にされた、

心弱ってる天竺龍から、

メールが来るようになる。

いつも威張ってるくせに、

気まぐれに頼ってきた……。


その度に、

切ない恋心を刺激される。

好きだとは言えない。

言ってしまったら、

私の全てが、

壊れてしまう。


あいつはあの子を愛してる。

 

誰のものでもなかった、

あの頃のあいつに、

会いたいと、

泣いていたことを、

誰も知らない。 


今日もまた、

幸せそうなあいつと、

あの子を見てしまった。


誰も悪くはない。  


悪いのは、

このねじれた醜い感情の奥に、

静かに、

突き刺さったままの冷たい現実。


この現実が、

優の心を、

ゆっくりと、

蝕んでいく。


嫉妬と憎悪。

慣れない感情を、

麻痺させる為に、

校内のトイレで、

激しい感情を抑えつけていた。


トイレから出たら、 

そこで起きていた事の全てを、

見透かしているような、

怖い顔の逞人がいた。


逃げるように、

教室に向かっていく。


放課後、

誰もいなくなった教室で、

逞人に声を掛けられる。


そこで、

制服ポケットに忍ばせていた、

カッターナイフが、

見つかってしまう。


思わず優は叫ぶ。

「ねえ、返してよ。

生きる意味を確かめる為に、

感情を抑える為に、 

死に近づかせながら、

生きている感覚を、

取り戻したいから、

切ってるの。

返してよ。

他人を傷つけるよりはマシなの!!」と泣き出す。 


逞人は何も言わずに、

優を強く、優しく、

抱きしめてくれていた。


彼は傷ついてる人間の痛みを、

既に知っている人だった。


卒業式の日の夜。

天性の人誑しの龍へ

「大嫌いだけど、ずっとずっと大好きでした。3年間、ありがとう。さよなら。」

返事を求めない、

精一杯の愛と皮肉のメールを、

送りつける。


龍の連絡先を着信拒否。

スマホの電源を切る。


翌日、

街の目立たぬような場所にある、

TATTOOのお店に入っていく。


この春、
優は社会人になる。


明るすぎない

薄暗い部屋に通される。


簡単には気づかれぬように、

足首の内側に、

【Love my life】と

英文を彫ってもらう。


我が人生を愛すると、

自分に誓うために彫る。


人に魅せるためではなく、

自分に誓うために。


自分の内面も外側も変えていく。


気持ちの上で、

生まれ変わる。

そう、祈りながら、

痛みを受けて彫った。


私を愛してくれないあいつへの気持ちを、
断ち切るために。


足首に刻みつけたlove my lifeが

弱かった私を、

支えてくれている。


学校という、

限られた世界にいた時は、

向こう側があることを、

意識することさえも、

出来なかったのだ。


この先は、

自分を愛して、

誰のものでもない、

我が人生を愛していくと決めた。


そして、

傷だらけの左手首に、

自らキスをした。


人から愛されたがってばかりの己に、

さよならした。


誰が何と言おうと、

気持ちの上で、

私は生まれ変わったのだ。


限られた世界の向こう側にいる喜びを、

噛み締めながら、

生きていくのだ。


社会で揉まれていくことは、

もう、わかっている。


この新しい自分を愛しながら

前に進んでいくだけ。


そして、

誰よりも強く、 

誰よりも弱い、

私の全てを、

見透かしていたであろう逞人の存在に、

未来を感じ始めている。



love my life

〜我が人生を愛す〜 No.2 

七海 文〈ななみ あや〉


私は石塚優。


左足首には、

love my lifeのタトゥーが、

刻みつけられている。

このタトゥーが、

刻まれたからといって、

急に強くなれたわけではない。


ただ、少しだけ、

強くなれた気がしただけ。


御守のように、

孤独な心を、

支えてくれてはいる。


あれから、

誰にもまともに会っていない。


あんなに恋焦がれていた、

天竺龍が、

生きてるのか、

死んでるのかも、

今は何もわからない。


それぐらい、

私は遠い場所にいる。


社会人として、

多忙な日々を、

過ごしている。


それで良かったのか、

良くなかったのか、

それさえもわからない。


あまりにも

この遠さが

寂しくて悲しくなる。


あの頃の人達、元気かしら。

そう思いを馳せることしか出来ない。


私は、

天竺龍のどこが好きだったんだろう。

どこを見ていたんだろう。


ふとした時に触れた

天竺龍の手の肌触りが、

なんか好きだった。


多分、私が男だったら、

天竺龍を親友にしていた。


周りをちゃんと見ていて、

誰かが一人にならないように、

さりげなく、

気にかけられるところが、

大好きだった。


私はその優しさに

いつも救われていた。



love my life

〜我が人生を愛す〜 No.3 

七海 文〈ななみ あや〉


私は石塚優。


神野逞人と、

いつものように、

居酒屋で飲んでた時の夜。


お前の中には、

まだ、龍がいるよね。 


そう逞人が、

吐き捨てた言葉に対して、

何にも

言い返せなかったことが悔しい。


こんなにも近くにいる逞人にも、

そう思わせてしまうほど、

私の中にいる、

天竺龍が小憎らしい。


天竺龍そのものが憎いわけじゃない。


否定しきれなかった。

逞人を軽く睨んでしまった。


私の弱さと強さを、

いつも、

見透かしてくる逞人が、

たまに怖い。


何故、逞人は、

私を見透かしてしまうのだろうか。


私は逞人の色々あった過去を、

深くは知らない。

触れないようにしているのに。


ねえ、逞人の中にも、

まだ咲山彩夏がいるよねと、

言い返したかったけど飲み込んだ。

何度もこの言葉を飲み込んできた。


逞人は、

何も言い返してこない私を、

わかっている。


私が龍を見ていた頃、

逞人も彩夏を見ていたことを、

私は知っている……。


今の私は、もう、

逞人しか見ていないはずなのに。


逞人は、

それでも、

私を包み込んでしまう。


私は包み込んでくれる逞人が

嫌いじゃない。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.4

七海 文

〈ななみ あや〉


​今日も、

石塚優は生きてます。


​自分自身と、

我が人生を愛していくと、

誓ったあの日から、

変われただろうか。


変われたとは言い切れない。

それでも変わっていけたと思う。


​今も私の傍には、

愛すべき存在、

神野逞人がいる。


​逞人は、

相変わらず、

遠い目をしている。


人を信じ切らない、

複雑な瞳は変わっていない。  


​いつか、逞人は、

手の届かない遠い存在に

なってしまうだろう。


​だから、

私は刹那的に、

逞人を愛している。


​終わりがあることを、

覚悟しながら、

日々を過ごしている。


​それでも、

逞人の優しさに、

甘えてしまう自分が怖い。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.5

七海 文〈ななみ あや〉



私は石塚優。

何とか生きています。


逞人を、

刹那的に愛していく。

そう決めてから、

眠れない夜が増えた。


どんなに、

紛らしても、

誤魔化しても、

それでも眠れない。


眠るのが怖い。


このまま、

寝てしまったら、

世界が変わってしまいそう。


どこまでも、

お前はバカだな……。

そんな逞人の呆れた顔が、

浮かんでくる。


会いたい。

ただ、
それだけのことなのに、

そんな簡単なことが

私は言えない。


そうして、

眠れない夜を、

いくつも、いくつも、

重ねていく。


自分から会いたいと

言わない私に

俺に会いたくないのと

逞人に言われてしまう。


そういうわけじゃないと

誤魔化した。


本当は会いたいに、

決まっている。

そう言いたかったのに、

言えなかった。


何で、

素直になれないんだろう。

自分が歯痒くて、

ムカつく。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.6

七海 文〈ななみ あや〉



石塚優です。 

何となく生きてます。


逞人に、

時々、お前が、

何を考えてるのかわからないと、

言われてしまった。


いろんなことを考えてはいる。


逞人を、

刹那的に愛していくと、

そう、決めていることは、

私だけの秘密。


その意思を、

逞人は、

勘付いてしまったのかもしれない。


逞人のその容易く、

人を信じない遠い目が、

刹那的に彼を愛していくことを、

私に決めさせていた。

そのことに、

逞人は気付いていない。


私は私の.

目の前にいる逞人しか.

信じてない。

私の前にいない逞人のことなんか

知らなくてもいい。

どうでもいい。

裏切られてもいい。


それらを含めて、

覚悟した上で、

私は逞人を好きになったのだ。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.7

七海 文〈ななみ あや〉


石塚優です。

なんやかんや、

生きてます。


逞人の前にいても、

私はいないほうが良いのかな。


私は、

ここに、

いていいのかな。


そんなことを繰り返している。


逞人に、

それを聞くのも、

なんか、

違う気がする。


本当の私は、
ここにいたい。


強がりな私は

きっと、

逞人に突き放されたら、

すぐに消えてしまうと思う。


私は可愛いことが

何一つ言えない。


きっと、

天竺龍を好きだった時から、

そこは、

変われていないのかもしれない。


私が羨んでいた咲山彩夏は、

男の子が喜ぶ言葉を、

たくさん、

知っていた。


私は、どう、頑張っても、

彩夏みたいにはなれなかった。


逞人を、

好きになってから、

天竺龍を思い出さなくなった。 


それだけ、

逞人の存在は、

強かった。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.8

七海 文〈ななみ あや〉


石塚優です。

ちゃんと、

生きているつもりです。


刹那的に、

逞人を愛していくと、

決めてから、

逞人が、

前より遠くなった。


逞人の考えてること、

思っていることが、

わからなくなってきた。


私が、

消えようと思う前に、

逞人が、

私の前から、

消えてしまうかもしれない。


どうすれば良いんだろう。


私の前から、

いなくならないで、

そんな、

可愛いことが

言えたら、

どんなに良いだろう。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.9

七海 文〈ななみ あや〉


石塚優です。

何とか頑張って生きてます。


言いたいことを、

すぐに、

飲み込んでしまう私の癖に

逞人は苛立っていた。


大事なことも、

言えなくなっていることにも、

怒っていた。


お前は 

俺に何を求めてるの?

何がしたいの?


やっぱり

黙り込んでしまう私。


まだ、お前は、

俺を信じていないよね。

悲しそうな眼をしていた。


はじめて、

逞人を、

傷つけてしまった事を自覚した。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.10

七海 文〈ななみ あや〉


逞人の、

悲しそうな瞳を、

より一層、

悲しませてしまった。


はじめて、

逞人に、

申し訳なくて、

泣いてしまった。


少しだけ、

素直になった私は、

逞人の背中を、

抱き締めて、

ごめんと呟いた。


聞こえてるのか、

聞こえてないのか、

わからないけど、

私を責めなかった。


信じるから……。

そう私は呟いた。


逞人は、

本当かよと言いたげに私を見た。


信じたいから、

信じるしかないでしょ。


逞人は、

相変わらず、

全部は信じ難いだろう。


信じてもらえるように、

頑張るのも、

何か、違う気がするけど。


逞人から離れたくない。

それが私の本当の気持ち。


逞人は、

少しだけ

柔らいでいた。


もう、

刹那的に愛そうとした私を

責めなかった。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.11


今日も石塚優は、

ギリギリに生きてます。

 

逞人を、

刹那的に愛することを、

やめた。

やめたというか、

逞人を信じたいから信じてる。


逞人も、

変わらずに、

傍にいてくれてはいる。


どこまで私を、

信じてくれているのかまでは、

わからない。


手探りの中で、

逞人との人生を歩んでいる。


天竺龍と咲山彩夏が、

結婚したという話が、

優の元に届いた。


ああ、

やっぱり、

二人はそこに、

向かっていったんだね。


私はちゃんと納得していた。


分かりきっていることだけど、

最初から、

天竺龍は、

あの子のものだったと、

強く、強く、 

思い知らされた。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.12



石塚優です。

生きていて良かったです。


天竺龍を好きになった頃の、

遥か遠い昔のことを

思い出していた。


あの冷たい現実と、

いつも、

闘っていた日々を

思い出していた。


ああ、逞人は、

大きな心で、

私を包み込んでくれてた。

あの時からずっと………。

そして、今も、

離れないでいてくれてる。


もう、離しちゃ駄目だ……。

この人の隣で、

ずっと笑っていたい。


love my life

〜我が人生を愛す〜 No.13

七海 文〈ななみ あや〉



神野逞人です。

石塚優の恋人です。

いつかは夫になろうと思っています。

しかし、まだ、あいつが、

俺を信じるまでは、

伏せておきます。


確かに、遠い過去、

咲山彩夏を愛していました。

しかし、もう、終わった。

もう、戻れないし、戻らない。

本当に、咲山彩夏はいい女でした。


優は、自分には、

何もないと思っているが、

ちゃんと、

人を惹きつけるものはある。

あいつはそれを自覚していない。


あいつは、

俺の心を、

最初から癒していました。

ちゃんと俺を、

1人の人間として認めて、

接してくれていた。

今の俺を肯定してくれていた。

否定しなかった。

そこに俺は救われたんです。

本人は、

当たり前のようにしていたけれど……。

あれは、なかなか、

出来ることではない。

俺の過去も壊さないでくれた。

思い出には、

勝てないことも、

わかっていたのだろう……。


だから、俺も、

天竺龍を、

まだ好きだった優を、

否定しなかった……。


男としても、

天竺龍の良さは、

わかっていた。


あいつが、

天竺龍のことで、

苦しんでいたときは、

俺も同じように、

苦しかった。


何も言えなかった……。


傍にいることしかできなかった。



love my life

〜我が人生を愛す〜 No.14

七海 文〈ななみ あや〉



石塚優です。

これからも、

しっかり、

生きていきます。


私の左手首の傷跡も、

左足首のlove my lifeのタトゥーも、

傷ついてきた私の心も

否定しなかった

あの人の隣にいることが、

どんなに幸せなことか、

やっと、
わかった気がするの。


神様に怒られるだろうけど、

私は永遠の愛を信じてはいない。


だけれども、

神野逞人という人間そのものは、

信じています。

信じさせてください。


これからは、

神野逞人と共にいる、

我が人生を愛していきます。


I will love you and my life………


the end



love my life〜我が人生を愛す〜

著者

七海 文〈ななみ あや〉




✩love my life

〜我が人生を愛す〜

最後まで読んで頂き、

ありがとうございます。

完結させて頂きました。

七海 文〈ななみ あや〉



〈あとがき〉

この世にいる 

全ての恋する人たちへ

誰よりも自分を信じて下さい。

自分を愛して下さい。

そして人を愛して下さい。

あなたたちの幸せを

祈っています。

素敵な巡り合いがありますように。

本当に心が辛い時は、

心療内科、専門家、プロに、

頼って下さいね。


最後まで、読んで頂き、

ありがとうございました。


著者

七海 文

(ななみ あや)


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#物書きと小説家を目指しています
#人の心と魂を癒したい






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