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【保育AI実践ガイド #1】保育記録をAIに手伝ってもらうには?

AIに「記録を書いて」とお願いする前に、伝えてほしいことがあります

一日の保育が終わってから、保育記録を書く。

子どもたちが帰ったあとに、

「今日は何があったかな」

と思い返しながら文章にする。

大切な仕事ですが、忙しい中で毎日続けるのは簡単ではありません。

そんなとき、生成AIに、

「今日の保育記録を書いて」

とお願いしたくなるかもしれません。

AIは文章を書くことが得意です。

でも、私たちは、

AIに保育記録を考えてもらう必要はない

と考えています。

AIにお願いしたいのは、

保育者が見たことを、文章として整理すること。

です。


保育を見ていたのは、AIではありません

例えば、こんな出来事があったとします。

5歳児。
積み木で高い塔を作っていた。
途中で何度も崩れた。
それでも作り直していた。
最後は友だちも一緒に作っていた。

文章としては、まだメモです。

でも、この中には大切なものがあります。

何度崩れても作り直したこと。

途中から友だちと一緒に取り組んだこと。

そして、その姿を見ていた先生がいること。

これらはAIが見つけた出来事ではありません。

保育者が、その子を見ていたから残せた出来事です。

ここが、AIを保育記録に使うときの出発点だと思います。


AIには「文章を整える仕事」を手伝ってもらう

では、先ほどのメモをAIに渡してみます。

例えば、こんなお願いをします。

次のメモをもとに、保育記録として読みやすい文章に整理してください。
メモに書かれていない出来事や、子どもの気持ちを勝手に追加しないでください。

5歳児。
積み木で高い塔を作っていた。
途中で何度も崩れた。
それでも作り直していた。
最後は友だちも一緒に作っていた。

すると、例えば、

積み木を使って高い塔を作る姿が見られた。途中で何度か崩れる場面もあったが、そのたびに作り直していた。途中から友だちも加わり、一緒に積み木を組みながら塔を作っていた。

というように整理できます。

新しい出来事を考えてもらったわけではありません。

先生が残したメモを、読みやすい文章に整えてもらっただけです。

これなら、AIは保育者の代わりではなく、

文章を書く作業を助ける道具

として使えます。


「いい感じに書いて」だけでは、少し危ない

AIに、

「この内容で、いい感じの保育記録を書いて」

とだけお願いすると、もっともらしい文章を補ってしまうことがあります。

例えば、

「達成感を味わっている様子だった」

「友だちとの協調性が育っていることが感じられた」

といった文章です。

実際に先生がそう感じたのであれば、記録してもよいでしょう。

でも、

AIが文章として自然だから付け加えただけ

なのであれば話は別です。

AIは、その場にいませんでした。

子どもの表情も、

声の調子も、

友だちとの距離感も、

見ていません。

だからこそ、

事実と解釈をAIに勝手につなげてもらわない

ことが大切です。


まずは「事実」をメモしてみる

AIを使う前に、先生が長い文章を書く必要はありません。

例えば、

  • 何をしていた?

  • 何が起きた?

  • 子どもはどう行動した?

  • 周りの子とどんなやり取りがあった?

  • 先生は何を感じた?

このくらいを、短い言葉で残してみます。

例えば、

外遊び
虫を見つけた
最初は一人で見ていた
「みんな来て」と友だちを呼んだ
4人くらい集まった
図鑑を持ってきて調べ始めた

これだけでも十分です。

きれいな文章を書くのは、あとからAIに手伝ってもらえます。

大切なのは、

先生にしか見えなかったことを残すこと。

です。


AIに頼むときの基本形

保育記録を整理してもらうなら、例えば次のように頼めます。

以下は、今日の保育中に私がメモした内容です。
保育記録として読みやすい文章に整理してください。

【お願い】
・メモにない出来事を追加しない
・子どもの気持ちを勝手に推測しない
・事実と保育者の考察を分ける
・保育者が確認しやすい簡潔な文章にする

【メモ】
(ここにメモを入力)

これが唯一の正しい頼み方というわけではありません。

園で使っている記録の形式によって、お願いの仕方は変えて構いません。

大切なのは、

「AIに何をしてほしいのか」と「何をしてほしくないのか」を伝えること

です。


子どもの名前は必要?

ここで、「保育AI安心ガイド #1」で考えたことも思い出してみてください。

AIに文章を整理してもらうだけなら、

必ずしも子どもの名前が必要とは限りません。

例えば、

「○○ちゃんが積み木で……」

ではなく、

「5歳児が積み木で……」

でも文章は整理できます。

利用するAIサービスや園のルールにもよりますが、

名前を書かなくても目的を達成できるなら、書かない。

という考え方は、実践するときにも大切です。


AIが作った文章を、そのまま記録にしない

AIが文章を作ってくれると、

とても自然に見えることがあります。

だからこそ、最後に必ず先生が読み返してください。

例えば、

  • 実際に起きたことと違っていないか

  • AIが勝手に内容を足していないか

  • 子どもの姿を決めつけていないか

  • 自分が伝えたかったことと合っているか

  • 園の記録として適切な表現になっているか

を確認します。

そして、

「少し違うな」

と思ったら直してください。

最後に記録を完成させるのは、保育者です。


AIを使うと、記録が薄くなる?

「AIで記録を書くようになると、先生が子どものことを考えなくなるのでは?」

そんな心配もあるかもしれません。

使い方によっては、その可能性もあると思います。

だから私たちは、

考えるところまでAIに任せない

ことが大切だと考えています。

子どもの姿を見る、気づく。

残したいと思う、振り返る。

ここは、保育者が担う。

そのうえで、

文章を整理する部分をAIに手伝ってもらう。

そうすれば、

AIによって保育を考える時間を減らすのではなく、

文章を書く負担を減らして、振り返る時間を残す

という使い方もできるはずです。


今日、試してみるなら

いきなり園全体で始める必要はありません。

まずは、個人情報を含まない架空の例などを使って試してみてもいいでしょう。

  1. 子どもの姿を短いメモにする

  2. AIに「内容を追加せず整理して」と頼む

  3. 出てきた文章を自分で読む

  4. 事実と違うところがないか確認する

  5. 自分の言葉に直す

この5つを試してみるだけでも、

「AIに記録を書かせる」のとは少し違う使い方が見えてくると思います。


保育AI実践室の視点

保育記録で一番大切なのは、

きれいな文章を書くことではないと、私たちは考えています。

その日に見た、

子どもの姿を残すこと。

そして、

そこから子どもの育ちを振り返ること。

AIがどれだけ文章を書くのが上手になっても、

その子を見ていた先生の代わりにはなれません。

だから、

見るのは、保育者。
整えるのは、AI。
最後に確かめるのは、保育者。

そんな役割分担が、保育記録にAIを取り入れる一つの方法ではないでしょうか。


最後に

明日の保育で、

「あとで記録に残しておきたいな」

と思う場面があったら、

きれいな文章を書こうとしなくても構いません。

まずは、そのとき見えたことを短く残してみてください。

そのメモを文章にするところは、AIに手伝ってもらえます。

でも、

何を残したいと思ったのか。

そこには、先生がその子を見ていた時間があります。

AIに保育記録を書いてもらうのではなく、

先生が見つけた子どもの姿を、AIと一緒に記録にする。

保育AI実践室では、そんなAIの使い方を考えていきたいと思います。


保育AI実践室 編集部
保育AI実践室は、AIを使うこと自体を目的としたメディアではありません。
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