【判例読み解き】東大ポポロ事件(学生の自治はどこまで許されるのか/大学の自治という制度的保障)
大学の自治という制度的保障とその限界について争われた東大ポポロ事件についてわかりやすく解説します。
基本情報
最高裁昭和38年5月22日大法廷判決
(昭和31年(あ)第2973号:暴力行為等処罰ニ関スル法律違反被告事件)
(刑集17巻4号370頁)
事実の概要
この事件はある大学の学校祭で学生が運営するサークルの劇団の演劇発表会中に起こったものです。内容としては反植民地闘争デーや松川事件、渋谷事件などに絡むもので、政治的な主張が含まれるものでした。この会場には、学生や教員だけではなく、入場券を購入した上で来場した一般客も含まれていました。
警察官2名はこの会場に他の客と同様に入場券を購入した上で来場していましたが、上映中に学生らによって発見されました。警察官の所持品であるメモなどからこの警察官が学生運動や劇団員を監視していたことが明らかになりました。このことに激昂した学生らは警察官に対して暴行を加え、手帳などを奪取しました。
この行為が暴力行為等処罰ニ関スル法律違反などの罪で起訴されました。第一審および控訴審判決は大学自治の原則上本件警察官の立入を違法としたため、検察が最高裁に上告しました。
判旨
最高裁の判決文全文はこちらから検索できます。(事件番号に「昭和31年(あ)第2973号」を入力してください。)
破棄差戻し。
解説
本件の主な争点は、
①学生の集会・活動も「大学の自治」として警察の介入から守られるのか、
②大学内への警察の立入は許されるのか
でした。
まず、①については、最高裁は本件の集会は学問的な研究やその発表のために行われたものではなく、実際の社会の中での政治的な主張を持つ活動、すなわち「政治的社会的活動」であったと判断しました。また、入場券を販売し、それを購入することで一般客も来場が可能だったことからも、「公開の集会」と判断しており、公開の集会である以上、「大学の学問の自由と自治は、これを享有しない」と判示しています。
②については、警察官は「大学関係者ではない一般人が入場券を買って入場することが可能な集会」に「他の入場客と同様に入場券を買って」立ち入ったため、「大学の学問の自由と自治を犯すものではな」く、本件立入については許されると判断しています。
この判例は大学の学問の自由とそれを保障するための大学の自治の限界を示したものであり、これについては、具体的には学問の研究および発表に関するものではなく、かつ一般人が来場可能な物を指す際には大学の自治の範疇の外にあるものと示したのです。
※「」内は判決文から引用。
参考文献
最高裁判決文(昭和31年(あ)第2973号)
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