夜職保育士さんと僕⑦ 長身アピール不発
この物語はたぶんフィクションです
ミキさんと僕もたぶん空想上の誰かです
でも、空想上でも良いから、2人のかけがえのない時間を残せたら良いなと思います
ミキさんは背が高い
172センチあるから僕とはたったの10センチしか違わない
なんなら夜職用のヒールを履くと目線が一緒になってしまう
一緒に生活していても、高いところのものを取って欲しいとお願いされた事も、天井の電球の交換も頼まれたことがない
長身男子のアピールポイントを、完全に殺しているのだ
家事は僕の担当だから、頼まれなくてもやるのだけれど、何か損した気分になる
さらに、ミキさんは僕の服を着てもちょっと大きめの服を着てる位にしかならない
オーバーサイズのダボダボ服を着てて可愛い!的な事もない
普通に着こなしてしまうのだ
何なら僕のシャツを保育園に着ていってしまう事もある
本人は自分の身長にコンプレックスを感じた事がないって言ってたし、二人で長身あるあるで盛り上がる事もあった
ある日ミキさんが
「背、高いですね。て言われるのって一番答えに困らない?」
って聞いてきた
僕は
「確かに困る。正直どうでも良いもん。そうですよ、だから?って聞き返したくなるよね」
と答える
「でも、男の子は背が高いとポイントアップするらしいよ」
「いやいや、その恩恵受けた経験全くないよ。ミキさんだって、それで僕のポイントアップしないでしょ?」
「うーん、あんまり考えた事なかったなー。私は身長求めてないから、どっちでも良いな」
「私も高身長が好きだな」
なんて答えを期待してはいない
期待してはいないけど
「背が高いと良いと思うよ」
位は言って欲しかった
少し黙ってしまった僕に
「君は待ち合わせ場所になれるじゃない。駅前で待ち合わせしててもすぐ見つけられて便利だよ」
ミキさんはそう言って僕の頭を撫でる
「なんかあんまり褒められてる気がしない」
と言うと
「あと、寝る時に抱き心地がいい」
とミキさんはニッコリ笑って席を立った
ミキさんに少しでも必要として欲しかったのは覚えてる
『助け』じゃなくて『必要』になりたかった
でも、それを確かめる勇気を、その時の僕は持っていなかった
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