なぜ来てくれなかったの?
( #ショートショート 本文:948文字)
思い出す。絶対に思い出す。思い出さなくちゃいけない。こんなに大切なことを忘れてしまうなんて俺は大馬鹿者だ。
話は少し前に戻る。
俺は会社帰りに健康のため、ひとつ前のバス停で降りて、ぶらぶらと歩いていた。すると、コンビニから出てきた女性が俺に声をかけてきた。
「こんにちは。会社帰りですか」
「こんにちは。はい、そうです」
俺は彼女のことをどこかで見たような気がしたが、どうも思い出せない。
「お仕事忙しいのかな。でも先週、約束の時間に来てくれなかったでしょ」
(え? 誰? この人と約束してたの、俺? この人、俺の彼女?)
「申し訳ない。急な残業で行けなったんだ」
(適当な言い訳をしとけば納得してくれるかな。それより、彼女は誰?)
「もう。連絡してくれないから、ずっと待ってたのよ」彼女は腕を組み、頬を膨らませて、ぷんすか怒っている。
(彼女、かわいい。でも、まずい。彼女に振られちまう。適当にごまかさなくちゃ)
「いや、実は俺、前に君と別れたあと、交通事故にあって頭を打ったらしくて記憶が欠けているんだ」俺は頭に手をやる。
「またまた。冗談ばっかり。そんなドラマみたいなことないでしょ。忘れてたんだったら素直に忘れてたって言ってよ。怒らないから」
(怒らないんだったら、忘れたことにしよう。でも、ほんと、彼女、誰?)
「すまない。実を言うと忘れてたんだ。こんなことはもう二度としないから赦してほしい」俺は頭を下げる。
「大げさね。次の約束をしてくれたら、それでいいの」
(単純なんだ。よかった。約束をすっぽかしたくらいで別れるのはイヤだし……って、彼女と付き合ってるの、俺?)
「今週は予定がいっぱいだから、来週の水曜日、18:00だったら大丈夫だわ」彼女はスマホの予定表を見ながら言う。
「じゃ、その時間で。今度こそ忘れないから」
(その前に彼女が誰かわからないんですけど~)
「で、待合せ場所はどこだっけ?」恐る恐る俺は聞いてみた。
(それに、もう少しヒントがほしい)
「おもしろい~! 待合せって……きゃははは」彼女はお腹を抱えて笑う。
(ウケた……じゃない、約束の時間にどこに行けばいいのか教えて~)
ひとしきり笑ったあと、彼女はトゥースと人差し指を立てて「中島歯科!」と答えた。
あ、そうだ。彼女、歯医者の受付の人だった!


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
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小牧幸助さん、いつもありがとうございます。
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主宰: #小牧幸助さん
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お題: #思い出す
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彼女が出てくるお話はこちら。彼女は、元・都市伝説の人です。
思い出せないこと、私もよくあります。適当に話を合わせていると、そのうち思い出すこともありますが、最後まで誰だったかわからなかったこともちょくちょくあります。ちょっとヤバいかも。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

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