中国の「台湾包囲演習」から、現実の台湾有事を考える
中国軍は2025年4月1日から2日。いわゆる台湾包囲演習を行った。台湾の頼政権に対する圧力だと考えられる。台湾包囲演習の報道から、一部の人は直ぐに武力侵攻という意味での台湾有事を考える。包囲演習の狙いは、ライフラインを封鎖する能力があることを台湾側に示すことにあり、武力侵攻の意思は中国側にないといった指摘があるが、演習の目的に関して私もそう考える。
とはいえ、この演習に際して、台湾の領海、領空を侵犯することで、中国側は台湾の統治権を繰り返し犯す形で、台湾に対する統治権を力で示そうとしている。これは「グレーゾーン作戦gray zone tactics」と呼ばれている。他方、アメリカ、日本、カナダ、ドイツ、オーストラリアなどもまた、艦船を台湾海峡を通過させる「自由航行作戦freedom of navigation operations: FONO)で、中国に対抗している。そうした意味では、台湾そして台湾海峡をめぐっては、この間、国際的にらみ合いが現実に続いている。
よく台湾有事など起こるはずはないと根拠を示さず話す人がいるが、台湾の海と空からの補給ライン=ライフラインを封鎖する作戦であれば、中国が実施する可能性はなくはない。事実、包囲演習はライフライン封鎖の一歩手前である。演習開始後に中国軍が海と空の「封鎖」を宣言すれば、台湾は現実に孤立化する。
他方、武力侵攻の可能性が低いという指摘はその通りだ。仮に台湾に武力侵攻すれば、中国と台湾の双方に多大な人的犠牲が生ずることが予想される。その後の統治の困難、経済的ダメージも考えると、確かに武力侵攻の可能性は低い。いくら台湾を統一する必要があっても、多大な人的犠牲、巨大な経済的損失を避ける理性は、中国側に残っていると感じる。しかしライフライン封鎖に中国側が打って出て、台湾に圧力を一段と高める可能性は一定あり、繰り返される「台湾包囲演習」はそのことを示している。その意味で、中国が全く何もしないという人は、目の前の事実とは異なることを言っている。台湾有事に関して極度に楽観視するのも間違いだ。
包囲演習は直近では2024年10月14日、そして2024年5月23日ー24日にも行われている。2024年10月14日の演習では、空母遼寧が参加したが、2025年4月1日から2日の演習では、空母山東が参加している。
Taiwan Today 2025/04/05
中国、台湾包囲訓練終了 livedoor news 2025/04/03
中国軍が台湾包囲訓練 chosun online 2025/04/02
中国、台湾近海で実弾を使用した軍事演習 BBC 2024/10/22
台湾を完全包囲した中国の軍事演習 JBPress 2024/10/16
中国軍が台湾包囲演習 Reuters 2024/10/14
台湾周辺での演習 米政府 中国に自制求める Bloomberg 2024/05/25
中国軍 台湾周辺で模擬攻撃で米を牽制か NHK 2024/05/24
中国は台湾新総統が本当に嫌い BBC 2024/05/24
中国は台湾とのグレーゾーンでどう戦っているのか BBC 2023/10/06
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