無料の法律相談はどこが正解?法テラスも弁護士会もぜんぶ回った話
ある日突然、知らない番号から電話がかかってきた。出ると、相手はポイポイ銀行の担当者だった。
「カードローンで270万円の債務があります」
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。頭の中で数字だけが反響して、思考が止まる。
270万円?僕が?そんな金額、借りた覚えはない。
確認するように聞き返すと、相手は淡々と事実を告げた。利用履歴、契約情報、返済状況。どれも僕の名前で進んでいる。電話口で、じわじわと現実が形を持ち始めた。
調べていくうちに分かった。なりすましによるネット詐欺だった。
それを悪用していたのは、元不動産会社の営業の知人だった。
信じた相手の名前が、最悪の形で浮かび上がる。
怒りよりも先に来たのは、強い不安だった。
「これ、どうすればいい?」
警察に行けば何とかなる。正直、そう思っていた。
詐欺被害なら、被害届を出せば前に進むと思っていた。
でも現実は、思ったよりずっと冷たかった。被害届は受理されず、僕はそのまま警察署を出た。帰り道、世界にひとり取り残された気がした。このまま一人で抱えたら、たぶん壊れる。そう直感した。
こうして、僕の最悪ながらも、光を探す旅が始まった。正義の剣も、完璧な知識もない。
あるのは、スマホと、「検索するしかない」という覚悟だけだった。
法律相談や弁護士相談という言葉を、必死に打ち込んだ。
第1章|被害届が受理されなかった夜。ひとりじゃ無理だと悟った
警察署を出た瞬間、体の奥が一気に冷えた気がした。被害届は受理されなかった。理由は説明されたけれど、正直、ほとんど頭に残っていない。
歩きながら、ポイポイ銀行の担当者の声だけが、何度も脳内で再生されていた。
詐欺被害として警察に相談したはずなのに、現実は動かなかった。
「カードローンで270万円の債務があります」
あの一文が、現実として体にまとわりついて離れなかった。怒りと悔しさと虚しさが、体の中で渋滞していた。
交差点の信号が青に変わっても、すぐに足が出ない。このまま立ち止まりたい気持ちと、それでも家には帰らなきゃいけないという思いが、せめぎ合っていた。
途中でコンビニに立ち寄り、甘いものを一つ買った。完全に自暴自棄だったと思う。体が糖分を求めていたのかもしれない。
家に着いて、靴も脱がずにスマホを開いた。もう一人で考えるのは無理だと、ようやく認めた。
検索窓に打ち込んだ言葉は、どれも切実だった。
「被害届 断られた」
「詐欺 警察 動かない」
「弁護士 相談 無料」
「法律相談 法テラス」
正直、怪しそうな情報も多かった。ネット詐欺やなりすましの体験談も、玉石混交だった。希望だけを煽る文章も、いくらでも出てきた。
それでも、その中にひとつだけ、やけにまっすぐな一文があった。
「できるだけ早く、弁護士に相談を」
当たり前の言葉なのに、その時の僕には必要だった。結論じゃなくて、次にやることが欲しかったんだと思う。
こうして僕は、ようやく一歩だけ前に進んだ。本格的なトラブル対応は、ここから始まった。
検索履歴が、僕を救った。あと、あの甘いものも。
第2章|無料の法律相談はどこが正解?RPGすぎた現実
弁護士を探そう。そう決めて検索を始めたものの、すぐに壁にぶつかった。「無料相談」と書かれた窓口が、想像以上に多かったからだ。
法律相談や弁護士相談の入り口が、あまりにも多すぎた。画面に並ぶ選択肢を見て、頭が追いつかなくなった。どれも正しそうで、どれもよく分からない。
・法テラス
・弁護士会の法律相談センター
・なぜか出てくる、共産党の法律相談
ありがたいはずなのに、逆に混乱した。無料にも種類があるらしい。条件が違う。守備範囲が違う。予約方法も違う。詐欺被害や債務トラブルに強い弁護士なのかどうかも分からない。
この時点で、僕の頭の中は完全にRPGだった。正義の剣を探して旅に出たプレイヤー状態。法テラス村、弁護士会の町、共産党の塔。でも、どの村に入ればイベントが進むのかが分からない。
少しずつ調べていくうちに、ようやく輪郭が見えてきた。法テラスは、収入や資産に一定の条件がある代わりに、30分×3回まで無料で相談できる仕組みだった。債務整理などの案件も扱っていると知った。
弁護士会の法律相談センターは、予約の時点で相談内容を選べる。債務整理、離婚や親族、労働、刑事、消費者トラブル。ジャンル分けがはっきりしている分、入り口は分かりやすい。トラブル対応の窓口としては、選びやすかった。
共産党の法律相談は、制度というより「生活相談」に近い空気感があった。困っている市民の話を、まず聞く。そんな姿勢が前に出ている場所だった。後日、「しんぶん赤旗」の日曜版を勧められたけれど、それは断っても問題なかった。
調べれば調べるほど、「どれが正解か」を選ぶ話ではないことが分かってきた。それぞれに使いどころが違うだけだった。分からないなら、全部当たればいい。完璧な一手を探すより、今の自分で開けられる扉を、片っ端から叩く。
この時期の僕は、勇者というより雑草魂の旅人だった。
正解ルートなんて分からない。でも、立ち止まり続けるよりは、一歩でも動く方がマシだった。
ざっくり、まとめると!
●法テラス:30分×3回まで無料
→対象者は、自己申告で、概ね手取り18万円以下。貯金180万円以下。
●弁護士会の法律相談センター:債務整理は無料、それ以外は5,500円
→電話予約時に相談内容を選べる。債務整理、離婚親族、労働相談、刑事事件、消費者相談(ネット銀行などの対企業)など。
●共産党の法律相談:なぜか無料
→共産党:生活相談に長けていて、「困っている市民にやさしい」空気感がある。
後日、「しんぶん赤旗」日曜日版・月額:930円を求められるが、スルーして大丈夫。
わからなくても、とにかく片っ端から当たる。
この時期の僕は、勇者というより雑草魂の旅人だった。
第3章|法テラスも弁護士会も回った。再起のスタンプラリー
もう、行けるところはぜんぶ行こう。そう腹をくくった。
法テラスに電話して、予約を取って、法律相談を受けた。
共産党の議員事務所にメールを送り、紹介してもらって相談した。
弁護士会の法律相談センターに足を運び、受付で状況を説明して、ジャンル分けされて相談した。
詐欺被害と債務の経緯を、何度も話した。
最後は、地元の弁護士事務所だった。
「〇〇市 弁護士 初回無料」
そんな言葉で検索して、上から順に連絡した。断られることもあったし、「それはうちでは難しい」と言われることもあった。
それでも、使える窓口は、ぜんぶ使った。
弁護士相談という名のトラブル対応を、片っ端から回った。
気づけば僕は、再起のスタンプラリーをしていた。
被害届は断られたままだった。制度の中では、相変わらず無力だったと思う。でも、話を聞いてくれる人は、確実に増えていった。きっと、警察や司法を動かしてくれる弁護士がいるはずだと、そう思えた。
それがすぐに解決につながらなくても、自分の中では、ちゃんと意味があった。「誰か助けてくれないかな」と待つだけの状態から、「この手で扉を叩く」側に、ようやく立てた気がした。
完璧な正義は、どこにもなかった。一発で状況をひっくり返す答えも、なかった。それでも、法テラス、弁護士会、共産党、地元の法律事務所。どの場所にも、声を聞こうとする人はいた。
あの日、泣きそうな帰り道で、僕は立ち止まらずに「検索する」という一歩を踏み出していた。なりすましによるネット詐欺と向き合うための、小さな一歩だった。
それが、再起の地図に打たれた、最初の点だったんだ。

さいごに
もし今、何から手をつければいいか分からず、一人で抱え込んでいるなら、伝えたいことがある。完璧な選択肢を、最初から見つけなくていい。
正解のルートを、一発で踏まなくていい。僕も、そうだった。
法テラス、弁護士会、共産党、地元の法律事務所。
それぞれに役割があって、得意なことが違う。
どこが「正解」かは、最初からは分からない。でも、扉は一つじゃない。
話を聞こうとする人は、ちゃんといる。
検索する。
電話をかける。
メールを送る。
足を運ぶ。
それだけでも、状況は少しずつ変わっていく。
ロマンス詐欺も、なりすましも、手口は違っても「信じた気持ちを利用する」という構造は同じだと思った。だからこそ、一人で抱え込まなくていい。
小さな一歩かもしれないけれど、
それは確実に、再起の地図に点を打つ行為だ。
法テラス、弁護士会、共産党、地元の法律事務所。
この中には、きっとあなたを助けてくれる弁護士がいるはずだ。
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