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【家庭の事情で転勤を断る方法】人事歴約10年が教える“拒否できる異動命令”と、合理的配慮の使い方

「転勤を拒否したい。転勤を断ることはできないの?子どもがまだ小さいのに、いきなり地方への転勤を命じられた」
「転勤を拒否できないのだろうか。転勤を断ることができないと厳しい。親の介護が必要な時期なのに、家から通えない職場に異動しろと言われた」
「転勤を拒否したら評価が下がると言われた。断りたいのだけど。。。」

転勤や異動に関する悩みは、誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう人が多くいます。
なぜなら、多くの人がこう思い込んでいるからです。

「会社が決めた以上、従うしかない」
「就業規則に“転勤あり”って書いてあるし…」
「拒否したらクビになるかも」

でも、ちょっと待ってください。
実は、“家庭の事情がある場合には、会社にも“義務”がある”って、知っていましたか?

僕はこれまで、約10年間にわたって人事の仕事をしてきました。
育児・介護など、さまざまな背景を持つ社員と向き合ってきました。
そしてその中には、「異動を拒否しようとして潰れかけた人」もいれば、
“ちゃんと冷静に動いて、異動命令を取り下げさせた人”も確かに存在したのです。

このnoteでは、
・家庭の事情を理由に異動を断ることは可能なのか?
・実際に異動を止めさせた人たちは、どう動いたのか?
を、人事側の視点+実務ノウハウの両方から具体的にお伝えします。

この先も読み進めていただければ、
「会社には勝てない」という思い込みから少しずつ解放されていくはずです。
あなた自身、そしてあなたの家族を守るための“言葉と行動の武器”を、ここで持ち帰ってください。

こちらのnoteは母艦noteに統合済です。

第1章|結論:転勤は原則として拒否できない。ただし断れるケースや交渉の余地はある

「転勤を命じられたら、絶対に従わなければならないのでしょうか?」

人事として働いていたときにも、社員からこうした相談を受けることがありました。

最初に結論からお伝えすると、会社に転勤命令を出す権限があり、その命令が有効なものであれば、原則として従業員が自由に拒否できるものではありません。

たとえば、就業規則に「業務上の必要に応じて転勤を命じることがある」と定められており、勤務地を限定する個別の合意もない場合です。

「転勤したくありません」

という本人の希望だけで、一方的に転勤命令を無視してよいわけではありません。

ただし、ここで非常に重要なことがあります。

会社の転勤命令権は、無制限ではありません。

勤務地を限定した労働契約になっている場合もあれば、転勤そのものに業務上の必要性が乏しい場合、不当な目的で行われている場合、転勤によって本人に通常受け入れる範囲を著しく超える不利益が生じる場合などもあります。

さらに、育児や介護をしている従業員については、会社側にも家庭事情への配慮が求められます。

だから、

「転勤を命じられた=もう何もできない」

と考える必要はありません。

そして、ここからが約10年間人事をしてきた私が特に伝えたいことです。

「法律上、その転勤命令を拒否できるか」という問題と、「会社と話し合った結果、転勤そのものを回避できるか」という問題は、必ずしも同じではありません。

裁判で転勤命令が無効になるほどの事情がなかったとしても、本人から家庭事情を聞いた人事が、配置を再検討することはあります。

実際に私自身、人事として育児や介護などの事情を確認し、結果として異動を見送ったケースを見てきました。

だからこそ、いきなり会社と対立するのではなく、まず確認してほしいことがあります。

それが、現在の転勤の話がどの段階にあるのかです。

転勤の「打診・内示」と正式な「辞令」は分けて考える

「来年度、○○支店に行ってもらうかもしれない」

上司からこんな話をされたとき、すぐに、

「絶対に嫌です。拒否します」

と答える必要はありません。

まず、それが単なる打診なのか、内示なのか、すでに会社として正式決定した転勤命令なのかを確認してください。

人事の立場からすると、正式な辞令を出した後より、その前の方が調整しやすいからです。

人事異動というのは、本人と人事だけで決めているわけではありません。

異動元の部署、異動先の部署、それぞれの管理職、人員計画、後任者など、さまざまな事情を調整して決定しています。

正式決定して社内外の調整まで進んだ後に、

「実は親の介護があって転勤できません」

と言われるよりも、打診や内示の段階で、

「現在、要介護状態の親を私が中心となって介護しています。遠方へ転勤すると介護を継続できなくなるため、一度相談させていただけないでしょうか」

と伝えてもらった方が、人事としても検討しやすいのです。

これは育児でも同じです。

「子どもがいるから嫌です」

ではなく、

「共働きで、私が毎日保育園のお迎えを担当しています。配偶者の勤務時間の関係から私が転勤すると現在の保育体制を維持できません」

と具体的に説明する。

「断る」より先に「事情を伝えて相談する」。

転勤を回避したいのであれば、まずここから始めてください。

第2章:転勤を断ることができる可能性がある4つのケース

それでは、どのような場合なら転勤を断ることができる可能性があるのでしょうか。

ここで注意してほしいのは、以下に当てはまったからといって、必ず転勤を拒否できるわけではないことです。

労働契約の内容や就業規則、転勤の目的、本人の具体的事情などによって判断は変わります。

その前提で、代表的なケースを整理してみましょう。

転勤を断れるケース①勤務地を限定して採用されている

最初に確認してほしいのが、雇用契約書や労働条件通知書です。

たとえば、

「勤務地:京都本社」

などと勤務地が限定され、将来的な変更についても限定する合意がある場合と、

「会社の定める事業所」

などと幅広く定められている場合では話が変わります。

特に2024年4月からは、労働契約の締結・更新時に「就業場所・業務の変更の範囲」を明示するルールが導入されています。

そのため、

「自分はどの範囲まで勤務地が変わる可能性のある契約なのか」

を改めて確認してください。

会社から転勤の話をされた瞬間に「拒否します」と言うのではなく、まず自分が会社とどのような労働条件で合意しているのかを確認することが先です。

転勤を断れるケース②転勤させる業務上の必要性が乏しい

会社が転勤を命じる以上、通常は何らかの業務上の理由があります。

欠員補充、人材育成、新しい拠点への配置、組織の活性化など、その理由はさまざまです。

逆に言えば、

「なぜ自分がそこへ転勤する必要があるのか」

という点も重要になります。

ただし、

「自分じゃなくてもいいじゃないか」

と思っただけで転勤を拒否できるわけではありません。

会社の人員配置には一定の裁量があります。

大切なのは、感情的に「納得できない」と主張することではなく、その転勤がどのような目的で行われるのかを確認することです。

転勤を断れるケース③嫌がらせ・退職強要など不当な目的がある

転勤という制度を、嫌がらせや退職へ追い込むための道具として使ってよいわけではありません。

たとえば、

「上司と揉めた直後に、突然遠方への転勤を命じられた」

「退職勧奨を断ったところ、それまで一度も話に出ていなかった転勤を命じられた」

など、不自然な経緯がある場合です。

もちろん、タイミングが重なっただけで不当な転勤だと断定することはできません。

だからこそ、疑問がある場合には、

いつ、誰から、何を言われたのか

を記録しておいてください。

メールや社内チャットなどがある場合も、後から経緯を確認できるようにしておくことが大切です。

転勤を断れるケース④通常受け入れる範囲を著しく超える不利益がある

転勤すれば、生活に何らかの不利益が生じることは珍しくありません。

通勤時間が長くなる。

家族と離れることになる。

住み慣れた土地から引っ越さなければならない。

こうした負担があるからといって、すべての転勤を拒否できるわけではありません。

重要なのは、一般的な転勤に伴う負担を超えるほど重大な事情があるのかという点です。

たとえば、

  • 重い介護が必要な家族を本人が中心となって支えている

  • 本人や家族に重大な病気がある

  • 共働きで、転勤によって現在の育児体制を維持できなくなる

などです。

ここでも、

「大変だから」

だけではなく、

転勤によって具体的に何ができなくなるのか

まで説明できることが重要になります。

第3章:家庭の事情があっても“転勤は拒否できない”と思い込んでいませんか?

「いや、うちの就業規則に“転勤あり”って書いてあるし」

「会社の命令に逆らったらクビになるって聞いた」

「断ったら評価を下げられる。そんなのリスクしかない」

──こう思って、転勤命令を受け入れた人を、僕は何人も見てきました。

確かに、日本の会社には「人事権」があります。

そして、その中には異動や転勤を命じる権限も含まれます。

しかし、ここまで説明してきた通り、

「転勤ありと書いてある=家庭事情を一切考慮せず、どんな転勤でも命じられる」

というほど単純な話ではありません。

特に育児や介護を抱えている場合には、その事情を会社へ具体的に伝えることが重要です。

子どもが小さい・育児中なら転勤を断れる?

「子どもが産まれたばかりなので転勤できません」

これだけで、必ず転勤を拒否できるとは限りません。

重要なのは、実際にどのような育児を担っていて、転勤すると何が起きるのかです。

たとえば、

  • 共働きである

  • 保育園への送迎を本人が担当している

  • 配偶者の勤務時間上、本人以外の送迎が難しい

  • 近隣に育児を頼める親族がいない

などです。

同じ「小さい子どもがいる」という家庭でも、状況はまったく違います。

だから会社へ伝えるときも、

「子どもが小さいので無理です」

で終わらせないことが大切です。

親の介護を理由に転勤を断れる?

介護についても同様です。

「高齢の親がいる」というだけではなく、

  • 要介護度

  • 誰が日常的に介護しているのか

  • 同居しているのか

  • 他に介護できる家族がいるのか

  • 介護サービスをどの程度利用しているのか

  • 本人が転勤すると何ができなくなるのか

などによって事情は大きく変わります。

だからこそ、介護を理由に会社へ相談するときには、要介護認定など客観的に説明できる資料が重要になることがあります。

これは後ほど、私が実際に人事として経験したケースも紹介します。

持ち家があることを理由に転勤を断れる?

これも非常に多い悩みです。

「35年ローンで家を買ったばかりなのに転勤を命じられた」

となれば、納得できない気持ちは当然あるでしょう。

ただし、持ち家があるという事情だけで、当然に転勤を拒否できるとは限りません。

会社によっては単身赴任制度、社宅、住宅補助、帰省旅費などを用意している場合もあります。

一方で、

「持ち家+小さい子ども+共働き+近隣に頼れる親族がいない」

というように複数の事情が重なっていることもあります。

ですから「家を買ったから行けません」だけではなく、家庭全体として転勤によってどのような問題が発生するのかを整理して伝えることが大切です。

第4章:実は企業に課せられている「配慮義務」とは何か

では、育児や介護をしている社員に対して、会社は何を考えなければならないのでしょうか。

重要になるのが、育児・介護休業法第26条です。

同条では、事業主が就業場所の変更を伴う配置の変更をしようとする場合、その変更によって育児や介護が困難になる労働者について、その状況に配慮しなければならない旨が定められています。

ここで非常に重要なのは、

「配慮義務がある=育児・介護中の社員は転勤させられない」ではない

ということです。

会社に求められているのは、社員の家庭事情を無視して機械的に判断するのではなく、育児や介護の状況を踏まえて検討することです。

だからこそ、社員側も会社が判断できるだけの情報を伝える必要があります。

「介護が大変です」

だけでは、会社側も状況を正確に判断できません。

要介護認定を受けているのか。

誰が介護しているのか。

転勤するとどのような支障が生じるのか。

育児なら、子どもの年齢や保育園の時間、配偶者の勤務状況なども関係します。

家庭事情を具体的に言語化し、必要に応じて客観的な資料で説明する。

ここが重要です。

そして、人事として働いていた私の感覚では、このような配慮は法律があるから仕方なく行うものでもありませんでした。

私が働いていた大企業では、家庭事情に配慮した異動調整は普通に行われていました。

保育園の送迎がある社員には無理な距離への配置を避けたり、親の介護をしている社員について転勤時期を検討したりする。

会社にとっても、社員の生活を完全に壊してまで無理に転勤させ、その結果として休職や退職につながることが必ずしも得策とは限りません。

だから、

「会社には命令する権利がある。自分には何も言う権利がない」

と思い込まないでください。

ただし、会社と話し合うためには、感情ではなく具体的な事情が必要です。

第5章|人事は“揉めそうな異動”を最も嫌がる──だからチャンスはある

会社の人事は、なんでも命令できるほど万能ではありません。
異動だって、転勤だって、現場との調整、管理職との交渉、家庭事情の把握など、実はかなり神経を使う仕事なんです。

そして、僕が約10年人事をやってきて痛感したのは──

“揉めそうな異動”ほど、絶対に避けたい。

というのが、本音だということです。

たとえば、「育児中です」「妻が妊娠しています」「要介護の親がいます」という社員に対して、会社側が一方的に「来月から他県で勤務ね」と命じたとします。

本人が何も言わずに従えば、会社にとってはスムーズです。

でも、きちんと理由を明示して、冷静に家庭の事情を伝えてくる人がいた場合、人事は慎重になります。

なぜなら、そこで無理に押し切った結果、

  • 労働組合やユニオンから団体交渉を申し入れられる

  • 弁護士から会社宛てに書面が届く

  • 労働局の総合労働相談コーナーに相談され、助言・指導やあっせんの問題になる

  • 転勤命令そのものの有効性を争われる

  • 社内で「家庭事情を一切考慮しない会社」という不信感が広がる

といった形で、単なる一人の人事異動では済まなくなる可能性があるからです。

実際、労働局の総合労働相談コーナーでは「配置転換」も相談対象になっています。配置転換をめぐる紛争について、あっせんが利用された事例も公表されています。

人事からすると、ここまで話が大きくなるのは避けたい。

弁護士から書面が来れば、会社側も顧問弁護士に相談します。

ユニオンから団体交渉の申入書が届けば、人事だけで勝手に処理するわけにはいかなくなります。

労働局への相談やあっせんまで進めば、これまでの経緯や、なぜその社員を転勤させる必要があったのか、家庭事情をどの程度確認したのかといった点も改めて整理する必要が出てきます。

つまり、

「○○さんに転勤してもらえば終わり」

だったはずの話が、

人事部長、現場責任者、顧問弁護士まで巻き込む案件

になる可能性がある。

人事としては、できればそこまで行く前に解決したいわけです。

ただし、ここで勘違いしないでほしいことがあります。

いきなり、

「ユニオンに言いますよ」
「弁護士を入れますよ」
「訴えますよ」

と会社を脅せばいい、という話ではありません。

むしろ最初から喧嘩腰になると、会社側も態度を硬化させることがあります。

まずやるべきなのは、自分の事情を冷静に伝えることです。

「親が要介護3で、私が週4日介護をしています」

「妻が治療中で、現在は私が子どもの送迎と家事の大半を担当しています」

「私が転勤すると、現在利用している介護サービスだけでは生活を維持できません」

というように、会社が判断できる材料を出す。

必要であれば、診断書、要介護認定証、保育園の利用時間など、客観的な資料も用意する。

そのうえで会社が事情を一切考慮せず、

「そんなものは知らない。とにかく行け」

という対応を続けるのであれば、そこで初めて、労働組合やユニオン、弁護士、労働局など外部の力を借りることを検討すればいいのです。

育児・介護休業法26条でも、就業場所の変更によって育児・介護が困難になる労働者がいる場合、事業主にはその状況への配慮が求められています。

だからこそ、人事も「家庭事情を聞いていませんでした」では済ませにくい。

つまり、あなたが会社に「無理です」と伝えたときに、それがただの感情的な拒否ではなく、

「具体的な家庭事情」と「客観的な資料」に基づく冷静な相談

であれば、人事はその話を簡単には無視できなくなるのです。

実際に僕は、人事としてこんなケースを何度も経験してきました。

  • 育児中の女性社員に転勤辞令が出されたが、保育園の送り迎えに必要な時間帯を明記した資料が提出され、異動は見送りに

  • 妻が産後うつで通院中だと診断書を添えてきた男性社員の転勤を保留に

  • 要介護認定証をコピーして出してきた社員を、異動対象から外したケース

これ、いずれも本人がきちんと自分の状況を言語化していたから実現できたことです。

異動命令は、感情だけで押し返そうとすると難しい。

でも、事情を整理し、証拠を用意し、必要であれば外部機関にも相談できる状態まで整えると、人事側も「この異動は本当にこのまま進めていいのか」と再検討せざるを得なくなることがあります。

だからこそ、家庭の事情があるなら、その背景を冷静に、戦略的に伝えることが大切です。

その具体的な方法を、次の章からお伝えしていきます。

第6章:転勤を断ったらクビ・退職になる?人事経験者が現実を解説

おそらく、転勤を断ろうとしている人が一番怖いのはここでしょう。

「転勤を断ったら会社をクビになるのではないか?」

結論から言えば、「転勤を断った=その場で即解雇」と単純に考える必要はありません。

ただし、だからといって何のリスクもないわけではありません。

転勤を断っただけで即クビになるとは限らない

まず確認しなければならないのは、その転勤命令自体が有効なのかという点です。

勤務地限定の合意はないか。

就業規則はどうなっているか。

業務上の必要性はあるか。

不当な目的はないか。

本人に著しい不利益が生じないか。

育児・介護など配慮すべき事情はないか。

こうした事情によって判断は変わります。

一方で、会社に正当な転勤命令権があり、その命令を正当な理由なく拒否し続ければ、業務命令違反として問題になる可能性があります。

だからこそ、

「とにかく嫌なので行きません」

という対応はおすすめできません。

まず事情を説明し、会社と話し合うことが重要です。

転勤を断ると退職勧奨される可能性はある

会社との話し合いがまとまらなければ、

「現在の雇用区分では全国転勤が前提なので、今後について話し合いたい」

などと、退職を含めた話をされる可能性もあります。

ただし、会社から退職を勧められることと、自分から退職することは同じではありません。

その場の勢いで退職届を書いたり、

「じゃあ辞めます」

と即答したりする必要はありません。

人生に大きく関わる判断です。

転勤を受け入れるのか、会社とさらに交渉するのか、別の働き方を相談するのか、それとも転職するのか。

冷静に考える時間を確保してください。

転勤を断ると出世・昇進に影響する?

これは、人事経験者として現実的な話もしておきます。

全国転勤を前提として人材育成をしている会社の場合、転勤を断ることで、将来の配置やキャリア形成に影響が出る可能性はあります。

たとえば、

「管理職になるためには複数拠点での勤務経験が必要」

という会社なら、転勤できないことで経験できる仕事が限られることもあります。

ただし、

「転勤を断った社員だから嫌がらせで評価を下げてよい」

という話ではありません。

会社の人事制度やキャリアコース上、転勤可能な社員と勤務地を限定する社員では、経験できるポストや役割が異なることがある、という話です。

ここは家庭と仕事のどちらが正しいという問題でもありません。

子どもが小さい数年間は家庭を優先したい。

親の介護が終わるまでは転勤できない。

昇進より家族との生活を優先したい。

そういう選択もあります。

大切なのは、何を守るために何を諦める可能性があるのかを、自分で理解した上で選ぶことです。

地域限定社員・勤務地限定の働き方へ変更する選択肢もある

会社によっては、

  • 地域限定正社員

  • エリア職

  • 勤務地限定社員

  • 転勤のない職種

などが用意されている場合があります。

全国転勤型からこうした雇用区分へ変更することで、会社を辞めずに働き続けられる可能性もあります。

ただし、雇用区分を変更すると、

給与、昇進、手当、担当できる仕事などの条件が変わる可能性があります。

制度の有無と変更後の労働条件を必ず確認してください。

「転勤するか退職するか」

の二択だと思っていたけれど、実際には第三の選択肢があることもあります。

第7章:転勤を断る場合によくある質問

最後に、転勤を断りたい人からよく出てくる疑問について、人事経験者の視点から整理します。

Q. 転勤の打診は断れますか?

打診段階であれば、まず家庭事情を説明して相談してください。

「拒否します」と即答するよりも、転勤によって生じる具体的な問題を伝え、配置変更や赴任時期の変更などができないか相談する方が現実的です。

特に正式な辞令が出る前は、人事側としても調整できる余地が残っている場合があります。

Q. 子どもが産まれたばかりなら転勤を断れますか?

子どもが産まれたばかりという事情だけで、必ず転勤を拒否できるとは限りません。

ただし、配偶者の就労状況、保育園、送迎、周囲の支援状況などを含め、転勤によって育児にどの程度の支障が生じるのかは重要です。

「子どもがいる」だけではなく、具体的に何ができなくなるのかを会社へ説明してください。

Q. 親の介護を理由に転勤を断れますか?

介護も重要な家庭事情の一つです。

要介護度、本人が担っている介護内容、他に介護できる家族がいるかなどによって状況は変わります。

要介護認定証など、客観的に状況を説明できる資料も準備しておくとよいでしょう。

Q. 持ち家がある場合は転勤を断れますか?

持ち家があることだけで、当然に転勤を拒否できるとは限りません。

ただし、育児・介護・配偶者の仕事など他の家庭事情もある場合には、それらを含めて生活への影響を整理してください。

Q. 単身赴任を拒否できますか?

「家族と離れたくない」という理由だけで、当然に転勤命令を拒否できるとは限りません。

一方で、単身赴任によって育児や介護が事実上成り立たなくなるなど、重大な事情がある場合は、その具体的な影響を会社へ伝えることが重要です。

Q. 転勤を断ったらクビになりますか?

転勤を断っただけで必ず即解雇になるわけではありません。

ただし、有効な転勤命令を正当な理由なく拒否し続ければ、業務命令違反として問題になる可能性があります。

「拒否するか、従うか」の二択にしてしまわず、まず雇用契約や就業規則を確認し、家庭事情を説明して会社と話し合ってください。

Q. 転勤を断ると出世できなくなりますか?

会社の人事制度によります。

複数拠点での勤務経験を管理職登用の重要な経験としている会社では、転勤しないことで将来経験できるポストが限定される可能性があります。

一方で、家庭を優先すること自体が間違っているわけではありません。

出世、収入、仕事内容、家族との生活のうち、自分が何を優先するのか。

そこまで含めて判断してください。

ここまで、転勤を断ることができるケースや、家庭事情がある場合の考え方、転勤を断ったのちに起こる可能性のある出来事について説明してきました。

ただ、おそらく本当に知りたいのはここからだと思います。

「自分の場合、実際に何をすれば転勤を止められる可能性があるのか?」

転勤の打診を受けた直後に何をするのか。

誰に相談するのか。

家庭事情をどのように説明するのか。

どんな資料を準備するのか。

会社が取り合ってくれなかった場合、次にどうするのか。

ここから先は、私が約10年間人事として実際に見てきた経験をもとに、家庭の事情で異動を止めるための具体的な5つのステップを解説します。

※ここから先は有料パートです。

※なお、この内容は母艦noteに統合済です。追記更新型でより最新版の内容になっております※

第8章:家庭の事情で異動を止めた5つのステップ

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