見出し画像

平均0.6%は安心のはずだった。30代の私が知らずに摂っていた「隠れトランス脂肪酸」の正体

忙しい朝、コンビニで買ったパンに手が伸びる。仕事帰り、疲れ果てて惣菜やフライドポテトで夕食を済ませる。子どものおやつにクッキーやドーナツを買い置きしておく。

そんな毎日を送っている方、実はとても多いのではないでしょうか。私も3人の子どもを育てながら働く37歳の父として、正直に言うと心当たりがありすぎます。

そんな私がある日ふと疑問に思ったのは「このパン、なんでこんなに長持ちするんだろう」ということでした。調べていくうちに出会ったのが「トランス脂肪酸」という油の存在です。聞いたことはあるけれど、何がどう体に悪いのか分からない。そんな方のために、今日は最新のデータを踏まえてこの油の正体を整理してみたいと思います。

参考: 農林水産省「トランス脂肪酸に関する情報」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、WHO「REPLACE行動計画」をもとに作成しました。


トランス脂肪酸とは何か?身近な食品に潜む人工の油

ふわふわのパン、何日経ってもカリッとした揚げ物、サクサクのクッキー。どれも美味しいものばかりですが、これらの食感や日持ちの良さを支えている原料のひとつがトランス脂肪酸です。

植物油が「腐りにくい油」に変わる理由

トランス脂肪酸とは、植物油に水素を添加して作られる人工的な油のことです。植物油脂はもともと酸化しやすく、劣化が早いという特徴があります。オリーブオイルなどを使ったことがある方は、開封後はなるべく早く使い切る必要があることをご存じかと思います。

ところが植物油に水素を添加することで、酸化しにくく劣化しにくい油に変化します。コストも抑えられるため、加工食品の世界では非常に重宝されてきた油なのです。

こんな食品にも使われています

トランス脂肪酸が使われている代表的な食品を挙げてみます。

・マーガリンやショートニング ・インスタント食品やレトルト食品 ・フライドポテトなどの揚げ物 ・冷凍食品 ・ドーナツやクッキーなどの焼き菓子 ・ケーキなどの洋菓子 ・サラダのドレッシング ・コーヒー用のミルク ・アイスクリーム ・チョコレート

こうして並べてみると、私たちの暮らしの中に当たり前のように入り込んでいることが分かります。

なぜコンビニのパンは長期間品質が変わらないのか

特にトランス脂肪酸が多く使われているのが、コンビニやファストフードの食品です。劣化しにくく酸化しにくい油だからこそ、長期間品質を保つことができるのです。

厳しい安全基準が生んだ「腐らない食品」

コンビニで販売される食品には、食中毒を絶対に出さないための厳しい安全基準が設けられています。具体的には、30度で48時間置いた状態でも一般生菌数が一定の基準値以下であることが求められます。つまり真夏の気温の中に2日間置いても傷まないレベルの食品でなければ、店頭に並べることができないということです。

この基準を満たすために便利に活用されているのが、食品添加物や保存料、そしてトランス脂肪酸です。便利な暮らしを支えてくれている存在である一方で、人体への影響が懸念されているのも事実なのです。

体と脳に静かに積み重なる影響

悪玉コレステロールと生活習慣病のリスク

トランス脂肪酸を摂りすぎると、悪玉コレステロールが増加し、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まるとされています。トランス脂肪酸の過剰摂取により心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされ、肥満やアレルギー性疾患との関連も認められています。さらに排出する際にビタミンやミネラルを多く消費してしまうため、栄養不足を招きやすくなる点も見逃せません。

脳の60%は脂質、細胞膜への影響

私たちの体は約37兆個の細胞からできているとされ、その一つひとつを覆う細胞膜は脂質、つまり油から作られています。良質な油であるオメガ3脂肪酸は細胞膜の重要な構成要素ですが、トランス脂肪酸はこの位置に入り込んでしまうと考えられています。

トランス脂肪酸は非常に硬い油であるため、細胞膜が硬くなり、本来の機能が損なわれてしまう恐れがあります。脳は60%が脂質で構成されているため、特に脳への影響が心配されており、情緒不安定や集中力の低下との関連を指摘する声もあります。

妊娠中・小さなお子さんへの影響

妊娠中の方や乳幼児期の子どもへの影響は、特に注意が必要とされています。発育の途中にある脳がトランス脂肪酸の影響を受けることで、知性や人格形成に影響が及ぶ可能性が懸念されているのです。3人の子を持つ親として、この点は私自身も強く意識するようになりました。

WHOが鳴らす警鐘と、世界の規制の現状

年間最大50万人という数字の重さ

工業由来のトランス脂肪酸は、毎年最大50万人の早期死亡、主に冠動脈疾患に関連しているとされ、WHOは世界からの排除を各国に勧告しています。最近ではアルツハイマー病などの認知症との関連を指摘する研究も増えてきました。

WHOは生活習慣病を防ぐ目標として、トランス脂肪酸からの摂取エネルギー量を総摂取エネルギー量の1%未満に抑えることを示しています。また油脂加工の際にできるトランス脂肪酸を減らす行動計画「REPLACE」を公表し、各国政府にトランス脂肪酸の低減を呼びかけてきましたが、当初の目標であった2023年から2025年までに期限が延長されています。

各国はすでに動き出している

世界では規制の動きが加速しています。

・アメリカの一部の州やカナダ、台湾、タイでは食品への使用を禁止 ・EU加盟27カ国では2021年から食品中の上限値を施行 ・WHO米州地域事務局も2025年までに上限値設定や部分水素添加油脂の使用規制導入を計画 ・韓国や中国、香港では含有量の表示を義務化

なお食品への含有を完全に禁止している国や地域はなく、多くの場合は天然由来のトランス脂肪酸は規制の対象外となっています。

なぜ日本だけ規制がゆるいのか

平均0.6%という数字の罠

日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、総エネルギー摂取量のおよそ0.6%程度とされ、WHOが示す1%未満の基準を下回っています。厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」においても、トランス脂肪酸については健康影響に関する報告がいまだ十分でないとして、目標量の基準は定めていません。

ただこの0.6%という数値は、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢の方までを含めた全世代の平均値である点に注意が必要です。

30〜40代だけ見ると1%を超えるという報告

民間の調査では、30代から40代に限定したデータを見るとトランス脂肪酸の摂取量がWHOの基準である1%を超えているという報告もあります。まさに働き世代や子育て世代こそ、知らないうちにリスクを抱えている可能性があるということです。

2011年に消費者庁が出したガイドラインでは表示の義務化は見送られ、現在もその状態が続いています。食品100gあたりの含有量が0.3g未満であればトランス脂肪酸フリーと表示できる点も、知っておきたいポイントです。一方で消費者庁は食品メーカーに対して情報の自主的な開示を要請しており、含有量を削減する動きを見せる企業も出てきています。

今日からできる、家庭でのトランス脂肪酸対策

加工食品を選ぶときに意識したいポイント

完全に加工食品や外食を避けることは現実的ではありません。だからこそ、できる範囲で意識を向けることが大切だと感じています。

・マーガリンやショートニングの代わりにバターやオリーブオイルを選ぶ ・揚げ物やスナック菓子の頻度を見直す ・原材料表示に「マーガリン」「ショートニング」「植物油脂」の記載がないか確認する ・コーヒー用のミルクやドレッシングも添加物の少ないものを選ぶ

自炊が最大の防御策になる理由

加工食品を頼らない生活を意識するだけで、トランス脂肪酸の摂取量を大幅に減らすことができます。すべてを完璧にこなす必要はありません。私自身も、子どもたちと食べるおやつや日々の食事を選ぶときに、少しだけ気をつけるようになりました。健康への影響はすぐに表面化するものではなく、気づかぬうちに積み重なっていくものだからこそ、日々の小さな選択が大切なのだと感じています。

まとめ

トランス脂肪酸は植物油に水素を加えた人工の油で、劣化しにくく加工食品の品質を保つのに便利な存在です。一方で細胞膜への影響や生活習慣病、脳への影響が懸念されており、WHOは年間最大50万人の早期死亡との関連を指摘し、世界各国で規制が進んでいます。

日本は平均摂取量が基準を下回っているとして規制が緩やかですが、30〜40代に限ると基準を超えるという報告もあります。完璧を目指す必要はありませんが、知っておくことで日々の食品選びの選択肢が広がるはずです。



最後まで読んでいただきありがとうございます。
スキ」押して頂けると今後の励みになります!
フォローもいただけるとタイムラインに「知ってるだけで得する」をテーマに新しい記事が毎日届きます。
よろしお願いします!


次に読むなら以下👇️の記事もおすすめです。

#食の安全 #食品添加物 #脳の健康 #子育て世代 #妊娠中の食事 #コンビニ飯 #自炊生活 #栄養学 #食生活改善 #ヘルシーライフ

いいなと思ったら応援しよう!