【第10話】ぼくだけ例外らしい ヒラタロ店長のうちの人観察日
―ドラミンの危機管理―
ドラミンを
観察している。
わかったことがある。
ドラミンは
うちの人が近づくと
逃げる。
ほふく前進で逃げる。
なぜほふくなのかは
わからない。
そういう生き物らしい。
うちの人は
「失礼しちゃう」
と言っていた。
ぼくは思った。
危機管理は正しい。
ところで。
そのドラミンが
ぼくに近づいてくる。
しっぽをピンと立てて。
ゴロゴロ言いながら。
すり寄ってくる。
ぼくは思った。
さっきと全然違う。
ぼくは
特に何もしていない。
ただ
そこにいただけだ。
それでも来る。
ゴロゴロ言いながら来る。
しっぽは
ずっとピンのままだ。

もうひとつ
わかったことがある。
ドラミンは
ぼくのお気に入りの場所を
知っている。
なぜか
いつも先にいる。
ぼくが行くと
すでにいる。
ゴロゴロ言いながら
いる。
…そうか。
ぼくは
その場所は諦めることにした。
別の場所に行った。
ただし。
ドラミンが
いない場所に
ぼくが先にいる場合は
別である。
その場合
ドラミンが来ても
特に何もしない。
そのまま寝ている。

うちの人が
その様子を見て
大騒ぎしていた。
ぼくは思った。
なぜ騒ぐのかが、
わからない。
寝ているだけだ。
うちの人が近づいた。
ドラミンは
ほふくで逃げた。
うちの人は
また
「失礼しちゃう」
と言っていた。
ぼくは思った。
そうだな。
ドラミンの
危機管理能力は
概ね正しい。
ぼくのことは、
例外らしい。
🐱店長コメント
認めていない。
ただ
そうなっている
だけだ。
