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まさかの快進撃! ── オシュデ氏、財政危機を脱出?

📘 このシリーズでは、『五郎さんがえらくこだわってるモネと後妻アリスの関係、👉 深掘りしてみたら… 当時のブルジョワ社会の解像度が格段に上がった!』というテーマを軸に、モネをとりまく人間関係・経済・社会構造を多角的に読み解いています。

🖼️ 第4回目です。モネのパトロン・オシュデ氏がふたたび美術コレクションを競売にかけます。前回の出品とは打って変わって、今回は「見せ方」や選定にも工夫を凝らし、時流にかなった作品を揃えた様子。果たして、名だたる巨匠たちの力を借りて、オシュデ氏は財政を立て直せたのでしょうか?



初回とは異なる競売品の”プレゼン”が映す、当時の絵画の価値基準

初回のコレクション売却から約15カ月後の1875年4月20日、オシュデ氏は新たに絵画68点と彫刻1点を競売にかけました。会場は前回と同じパリの競売所オテル・ドルオーで、競売人や補佐役も前回と同じピレ氏と画商デュラン=リュエル氏が務めています。

今回は出品数こそ少ないものの、競売前の展示方法が大きく変わりました。前回は1日4時間の一般展示のみだったのに対し、今回は一般展示日と個別展示日が設けられ、それぞれ3時間45分と、より多くの鑑賞時間が確保されています。

1875年4月20日に開催されたオシュデ氏コレクション第2回オークションのカタログ中表紙。
エルネスト・シェノー氏がこのカタログの序文を12ページにわたり執筆しています。前年の序文がわずか1ページに留まっていたことを考えると、「名だたる巨匠の作品」のみで構成された今回の競売に対する並々ならぬ意気込みが伝わってきます。

カタログのタイトルも「H氏の近代絵画コレクション」と変更され、前回は伏せられていたオシュデ氏の名前がイニシャルで登場。また、カタログ序文も前回より大幅にボリュームアップされました。

序文を執筆したのは、前回と同じエルネスト・シェノー氏。前回は「E. C.」のイニシャルのみの表記でしたが、今回はフルネームが記されています。

この序文では、H氏が長年にわたり審美眼を磨き、時間をかけて厳選したコレクションであることが強調されています。そして、今回の競売には「名だたる巨匠の作品」のみが並び、技術や完成度に焦点を当てた内容となっていました。

曰く、「絵具の層の強さやパレットナイフの使い方、色彩の調和や表現力など、確かな技術を備えた画家のみが真に『画家』と呼ばれるにふさわしい」という論調が貫かれています。さらに、「技術だけでは不十分であり、主題や知的構想が伴ってこそ、芸術作品は意味を持つ」と付け加えられています。

まるで、前回の競売でオシュデ氏が蒐集していた「若いアーティストたちの作品」を否定するかのような書きぶりです。しかし、当時の市場では「名だたる巨匠の作品」こそが確実に高値で取引される美術品だったのです。

オシュデ氏が2回目の競売で出品した58点の中には、ジャン=フランソワ・ミレーの
有名な「落穂拾い」(1857、オルセー美術館) の別バージョンも含まれていました。

オシュデ氏、「名だたる巨匠作品」売却で財政再建なるか?

実際、今回の競売に出品されたラインナップは、前回とは大きく異なります。現役作家の作品に加え、故人となったばかりのコローミレーの作品、さらにはドラクロワの貴重な作品も含まれていました。

特に目を引くのは、16点ものコローの作品です。シェノー氏はカタログ内でコローの業績を熱心に称賛しており、コローの弟子であるシャントルイユの作品も5点出品されています。

さらに、サロンで話題となった名作のバリエーションや習作も競売にかけられました。例えば、ミレーの「落穂拾い」のヴァリエーションや、ドラクロワがブルボン宮図書館のために描いた「アキレウスの教育」の準備習作などです。

11点を数えるクールベやステヴァンスといった、当時評価の高かった画家の作品も含まれ、シェノー氏は「今回の展覧会の驚きのひとつ」としてステヴァンスを称賛しています。

アルフレッド・ステヴァンス《入浴》(1873/1874年、オルセー美術館蔵)。
シェノー氏は、ステヴァンスを「長らくパリで作品を展示していなかった偉大な画家」と紹介し、本作を含む2点のステヴァンス作品が出品されていることを「この展覧会の驚きのひとつ」として称賛しています。


このように、今回の競売は非常に豪華なラインナップで構成されていました。その結果、大成功を収め、オシュデ氏は20万フランを超える売却益を得たようです。この資金で商業債務を清算したと伝えられています。


次回は、モネがアリスと出会うきっかけとなる、大サロン用の絵画受注の経緯を探ります。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。



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