クトゥルフ神話TRPG オリジナルシナリオ
はじめに(このシナリオにおける注意喚起)
このシナリオは「感情トリガーのシナリオ」となっています。
「本文に書かれている順番通り」に進めてください。
KPをする人は別投稿に掲載の「NPCキャラクターシート|平偲乃」を必読でお願いします。そして「良く読み込んで」ください。
KPをする人は別投稿に掲載の「KP進行表|平偲乃」を必読してください。※そのまま使ってくださって構いません。
KPをする人は別投稿に掲載の「みあの演技に対する注意点|平偲乃」を必読してください。
情報は説明しないこと。本シナリオは、情報を“説明する”のではなく“気づかせる”構造になっています。
KPは情報を補足しすぎないよう注意してください。間を怖がらないこと。演出において“間”は非常に重要です。
無理に喋り続けず、沈黙を恐れないでください。みあを“怖くし過ぎない”。みあは“恐怖の存在”ではなく“感情を揺らす存在”です。
不気味さよりも無邪気さを優先してください。クロを“説明役にしない”。クロは全てを語る存在ではありません。
情報を語りすぎるとシナリオの構造が崩れるため注意してください。正解を決めない。本シナリオに“正解ルート”はありません。
プレイヤーの選択そのものが体験になります。本作品は「どれを選んでも正しい」が前提のシナリオとなっております。
クトゥルフ神話TRPG オリジナルシナリオ
「ねぇ、くろ」
~あなたが救ったのは、本当に“その子”ですか?~
推奨人数
1人~3人
推奨時間
2時間~3時間
クリア条件
生きてシナリオクリアすること
バットエンド
ロストすること
推奨技能
【目星】
【聞き耳】
【図書館】
※技能の上限値は85
準推奨技能
【コンピューター】
【精神分析】
【説得】
【心理学】
※技能の上限値は85
判定
クリティカル1~5
ファンブル96~100
導入
最近、奇妙な依頼が舞い込んだ。
「娘の様子がおかしいんです」
依頼人は、どこにでもいるような母親だった。
ただ一つ違っていたのは——
娘が、“誰もいないはずの誰か”と話していること。
「くろがね、いっしょにあそんでくれるの」
——その言葉を聞いた時、
なぜか“視線”を感じた気がした。
そしてその言葉を境に、日常は少しずつ歪みはじめる。
見えないはずのもの。
触れられないはずの存在。
そして——
“こちらを見ている何か”。
気がつけば、あなたたちはそこに立っている。
来た覚えがないのに、帰ろうとも思えない。
逃げ場のない、小さな世界。
ようこそ。
ハコニワへ。
本編
君達は、顔に落ちてくる冷たい感覚に違和感を覚え、目を覚ます。
目を開けた先には、鮮やかな緑が広がっていた。
ゆっくりと身体を起こすと、目の前には巨大な大木がそびえ立っている。
その周囲には木々が生い茂り、ここが森の中であることが分かるだろう。
ぽつり、ぽつりと顔に落ちてくる水滴。
どうやら、小雨が降っているらしい。
——しかし。
どうしてここにいるのか、その記憶が曖昧だ。
気づけば、ここに立っていた。
君達は見知らぬ場所にいることに不安を覚え、0/1D3のSANチェック。
成功→なんとか落ち着くことができた。
失敗→少々パニックになる。
(精神分析もちがいればふらせるのもあり)
RP(自己紹介をしてください)
ガサリと近くの草むらが音を立てて揺れた。
【目星】
成功→黒い影が横切った……気がする。
失敗→何も気づかなかった。
【聞き耳】
成功→「にゃぁ」という鳴き声が聞こえる。
失敗→何も聞こえない。
情報共有RP(技能を振って分かったことをRPで情報共有させてください)
あなた達は猫がいるのでは?(何かいるのでは?)と思われる方向へ進むことにした。
鳴き声が聞こえた方へ(影が見えた方へ)歩いていくと、歩いていくと、1つの大きな家が見えてきた。
——森の中にあるには、不自然なほど整った建物だ。
黒い小さな影が一度探索者達の方向を振り返り家の中にスルリと入っていくのが見える。
→似たような案内ができれば文章を変えても構いません。
大きな家に目星をさせてください。
※KPさんの采配によっては目星なしで情報を開示してもいいです。
成功→情報提供
失敗→情報提供なし
【大きな家の情報】
・木でできた落ち着いた雰囲気の建物。
・童話などで出てきそうな印象。
・ずっしりと重たく、温かみのあるアンティーク風の扉がある。
・玄関窓から何か光っているものが見える。
扉を開けると、目の前に現れたのは冷たく光る銀の切っ先。
——それは、あまりにも自然にそこにあった。
【回避】【DEX対抗】(代替え【幸運】)
成功→回避
失敗→1D6SANチェック。
成功した人への描写
あなた達は間一髪でそのことに気づき、足を止めることができた。
失敗した人への描写
そのまま進んでいたら切っ先があなたの目を貫いていただろうという事実にあなた達は身をすくませ恐怖を抱くだろう。(SANチェックをさせる)
RPタイム(上記のことを踏まえて、家の中に入るまでのRPを行ってください)
君たちは向けられた切っ先をよけて何とか家の中に入る。
後ろを振り返れば、切っ先を向けていたのは一人の剣士の鎧だった。
よくドラマなどで見るような鎧の置物である。
そのことに内心安堵しつつ君たちは廊下を進む。
トイレ
扉の前で目星、聞き耳を振らせてもよい
・小さな少女と黒い猫の写真が飾ってある。(※持ち出し可能なので必要なら持っていていい)
扉を開けると、そこはごく普通のトイレだった。
生活感のある空間に、わずかな安心感すら覚える。
だが――
壁に、一枚の写真が飾られている。
ブランコに乗る小さな少女と、黒い猫。
楽しそうに笑う少女の足元に、黒い猫が寄り添っている。
……どこにでもある、微笑ましい写真のはずだった。
だが。
その猫は、こちらを見ていた。
——いや。
最初からこちらを見ていたのではない。
“今、目が合った”。
ほんの一瞬前まで、
確かに“違う方向”を見ていた気がするのに。
カメラではなく——
まるで、“写真の外にいる何か”を見つめるように。
そして、気づく。
この写真は——
“誰が撮ったのか分からない”構図をしている。
(0/1 SANチェック)
※「見られている」ことを認識したため
廊下奥
廊下の奥へ進んでいくと、3つの扉がある。
廊下の真ん中にはテーブルが1つ置いてあり、テーブルの上には1枚の紙が置いてある。
技能無しで情報開示していい。
『紙の内容』
ようこそ!君達のことを歓迎する!見事ここから脱出してみたまえ!!
3つの扉は下記の様に分かれている。
正面の扉→リビング
右の扉→子供部屋
左の扉→寝室
正面の扉は最後に全員で入ることをおすすめする。
右の扉には私からのプレゼントがある。君達の脱出の助けになるだろう。
左の扉にはヒントを沢山散りばめておいた。全部探し出せるかな?
探索フェーズ(時間制限なし)
ソロの場合
・失敗した場所は他の判定に成功→時間経過したと考え、もう一度判定を行うことができる。
※なお、この場合他の部屋を移動し調べ、また失敗した部屋に戻ってくることも時間経過をしたと考えもう一度判定することがきる。
複数人の場合
・時間経過で他の判定に成功したらもう一度判定を行うことができる。
・なお、同じ判定を複数人で行い、成功者が居れば情報開示をしていいものとする。
・ただしRPでしかPCの情報共有はできないものとする。※PLは情報をそのまま知っててもよい。
子供部屋
技能無しでわかる調べられる所
・ベッド
・本棚
・机
・クローゼット
それぞれの判定
ベッド
沢山のぬいぐるみが置いてある。
【目星】
成功→メモを発見
失敗→ぬいぐるみが多くて可愛いと思う
『メモ1』
このメモを読んでいるということは、君もこの不思議な空間に迷い込んでしまったのだろう。
この部屋には少女がいるはずだ。少女を探せ。
本棚
【図書館】
成功→1冊の日記を見つける
失敗→猫の写真集や絵本が多いと感じる
『誰かの日記』(少女の日記)
7がつ20にち
きょうは、くろといっしょにたくさんあそんだ!
くろがよつばのクローバーをみつけたんだ!
くろすごい!えらい!
8がつ13にち
きょうは、くろとそとであそべなかった。くろごめんね。
でも、おうちのなかでいっしょにおにんぎょうあそびしたよ!
8がつ28にち
ぼくは、なおらないびょうきにかかちゃったんだって。
おとうさんとおかあさんがおはなししてるのきいちゃった。
くろにはないしょ。くろがかなしいってなっちゃうから。
ここから先のページは破られていて見れなかった。
机
【目星】
成功→引き出しが少し空いているのに気づき、メモを見つけた
失敗→子供用の机だなと思う
『メモ2』
あおはいいこ
あかは……いいこ?
クロ―ゼット(最後に判定することをおすすめ)
少女用の服がいっぱいある。
【目星】
成功→クローゼットの中に小さな人間だったら入れそうな空間があることに気付く
失敗→何かありそうだと感じる
KPさんはここで「開けますか?」と聞いてもいいですし、RPで開ける宣言を受けたらそのままRPをしてもらっていいです。
RP(情報共有を行ってください※クローゼットからそのまま繋げてもいいです)
6版
みあ(みあ) - いあきゃら
https://iachara.com/view/13960790
7版
みあ(みあ) - いあきゃら
https://iachara.com/view/13960823
みあ「お兄ちゃんたち、だぁれ?」
NPC:みあ
PC達に協力してくれる少女。
トイレに飾ってあった写真の少女だと気付いてよい。
みあセリフ一覧(ベースのセリフのみ掲載。KPによっては多少変えてもいい)
クローゼットで見つかったところから↓
「きゃあ!みつかっちゃった~!あれぇ?くろじゃないねぇ?」
「おにいちゃんたち、だぁれ?」(ソロの人は「おにいちゃん」「おねえちゃん」で断定的でいい)
「ぼく?ぼくね、みあだよ!」
「かくれんぼしてあそんでたの!」
「おにいちゃんたちはどうしたの?」
「かえりたいの?そっか!」
「みあはわかんないけど、くろならしってるとおもう!」
「くろ、(かくれんぼの)おにさんなのに、どこいったのかな?」
「くろさがしにいくの?」
「みあもいっしょにいく!!」
「あ、そーだ!くろさがすなら、これ!あげる!!」
みあが机の引き出しを漁り、君達に見せてきたのは持ち手の部分が猫の頭の形をしている鍵だった。
猫の目の部分は青目と赤目で分かれており、笑っている猫の顔なのだが、何故だか赤目の顔と青目の顔で印象が変わっているように感じる。
寝室
扉を開けると、そこは寝室だった。
整えられたベッド。
小さな机。
子供用の本棚。
どこにでもありそうな、普通の部屋。
――のはずなのに。
なぜか、空気が重い。
誰もいないはずなのに、
“誰かがいた気配”だけが、残っている。
机(目星なしで発見)
机の上に、一冊のノートが置かれている。
表紙は擦り切れており、何度も開かれた形跡がある。
中を開くと、日記のようだ。
母親(れんか)の日記
○○月△△日
今日は、みあがはじめて笑った日。
小さな手で私の指を握って、
くすぐったそうに笑っていた。
本当に、かわいい子。
この子のためなら、なんだってできると思った。
7月20日
最近、みあが変なことを言う。
「くろがね、おはなししてくれるの」
最初は、空想の友達だと思っていた。
子供にはよくあることだって。
でも――
あの子は、“いないもの”を見るような顔をする。
8月13日
今日も「くろ」と話していた。
誰もいない部屋で。
声に出して、ちゃんと会話している。
「それはだめだよ、くろ」
「うん、わかった」
……誰と?
○○月△△日
みあが、笑うようになった。
でも、それは前と違う。
何もないところを見て笑う。
「くろはね、やさしいの」
そう言って、私を見る。
まるで、私が間違っているみたいに。
その先は――
無理やり破り取られている。
【目星】
成功→破られたと思われるページの切れ端を見つける。
失敗→何も見つけられなかった。
破られたページの切れ端が、机の下に落ちている。
ただし、読めるのはほんの一部だけだ。
……夜中に起きて
誰かと話している
「いいこだよね?」
……誰が?
【心理学】
成功:以下のことが分かる。
この文章を書いた人物は、
少なくとも最初は“正常”だったように思える。
誇張や妄想ではなく、
本気で異常を恐れている記録だ。
本棚
【目星】or【図書館】
成功→メモ3を見つける。
『メモ3』
猫ノ部屋ニ入レバ戻レナイ
床 自動成功
床に、紙が一枚落ちている。
乱暴に書かれたメモのようだ。
元探索者メモ
これは……記録だ。
あの少女は「みあ」と名乗った。
青い目の時は、普通の子供だ。
無邪気で、よく笑う。
だが――
時々、目が赤くなる。
その時のあの子は、別人だ。
妙に落ち着いていて、
こちらを“観察”している。
ぬいぐるみの扱いも違う。
青の時は遊ぶ。
赤の時は――集めている。
……何のために?
ベッド
【目星】
成功→枕の下にメモの端が見えていることに気付く。
失敗→何も見つけられなかった。
『メモ4』
猫はずっと見ている。
RP(情報を共有してください)
情報共有後のみあのセリフ↓
みあ「それ、おもしろかった?」
猫の部屋
みあ「それ、おもしろかった?」
日記の内容を確認し合った君達は、みあの声に反応し、顔を上げる。
その時、ふと、みあに渡された猫の鍵が熱を持った気がした。
……気が付けば君達の視界には赤目のぬいぐるみがあった。
ぬいぐるみ達の視線が、こちらに向いている。
——いや。
その少し後ろ。
みあ「くろ、いたー!」
一拍遅れて、
足音が後ろから聞こえた。
みあ「くろ、……クロ?」
みあ「あれ?まあいっか!」
君達の近くにいたみあが、何かを見つけ駆け出していく。
みあの姿を追うように日記から顔を上げた君達が見たのは、床、壁に所狭しと積み重なった赤目のぬいぐるみ。
そして、気付いてしまう。
ぬいぐるみ達が密かに動き、体の向きや顔の向きを変えて、「ずっとみあを目で追っている」ということを。
“見られている”という確信を得てしまった君達はゾッとするような感覚を覚えた。
(0/1SANチェック)
ぬいぐるみ達に気を取られていた視線をみあに戻すと、みあの足元に一匹の黒猫がいることに気付く。
君達がみあと黒猫に近づくと、黒猫も君達に気付いたのか、君達に視線を向けた。
——視線が、増えた気がした。
ぬいぐるみではない。
“それ以外の何か”が、こちらを見ている。
クロ「あれ?もういいの?」
みあ「んえ?」
黒猫がみあに視線を戻し、みあに話しかける。
黒猫が喋ったという非現実的現象に君達は驚きを隠せない。
(0/1SANチェック)
君達が驚いていることには気づかず、みあはクロに話しかける。
みあ「おにいちゃんたち、かえりたいんだって!くろ、どうやってかえるかしってる?」
クロ「もちろん知っているとも」
みあ「ほんと?やったぁ!おにいちゃんたち、よかったねぇ!」
クロ「ただし、まだ早いなぁ。みあもまだ遊びたいだろう?」
みあ「まだあそべるの?やったぁ!!」
クロ「僕は少しお客とお喋りしてくるから、みあは皆と遊ぼうね」
みあ「はーい!ねぇ!あおめのぬいぐるみであそんでいい?」
クロ「はいはい。好きにしなよ」
みあはクロの返事を聞くと、目をキラキラとさせ、部屋の真ん中にある祭壇の様な場所に並べられている青目のぬいぐるみを手に取り遊び始めた。
みあの近くにある赤目のぬいぐるみが若干動いて、みあのぬいぐるみ遊びに付き合っている……様に見える。
そんな光景を遠目に、クロと呼ばれた黒猫が君達に近づいてきた。
クロ「ねぇ君たちさ」
クロ「“どこから見てた?”」
みあには聞こえない位置まで近づいてきたクロが、何の前触れもなく君達に話しかけてくる。
その瞬間、ぬいぐるみ達の動きがぴたりと止まった。
クロ「あは♪あの子のこと、どう思ってるの?」
クロ「大事?それとも、壊したくなる?」
RP(クロと会話をしてください)
RPが信じる系だった場合
「守りたい」
「いい子だと思う」
「優しい」
クロの反応集↓(状況に近いセリフを使ってください。もしくはアドリブで近いセリフにしてもいいです)
「へぇ……優しいねぇ」
「壊れやすいものほど、面白いのに」
「いい子か、ま……そうだねぇ。本当にいい子だよね」
「君にはそう見えたんだ?」
上記のセリフの後
「じゃあさ、壊れたらどうするの?」
RPが疑う系だった場合
「何かおかしい」
「信用できない」
「正常な人間か分からない」
クロの反応集↓(状況に近いセリフを使ってください。もしくはアドリブで近いセリフにしてもいいです)
「あぁ、いいねぇ」
「ちゃんと見てるじゃないか」
「面白いじゃないか」
「おやおや、これはこれは……」
上記のセリフの後
「壊す覚悟、あるんだ?」
(「じゃあさ、壊れたらどうするの?」「壊す覚悟、あるんだ?」の後)
君達の返答を聞いて満足そうなクロは、君達の表情をぐるりと見渡すと、ニヤリと口元を歪めた。
……何も起きない。
安堵しかけた瞬間、君達にはクロの姿が一瞬ぶれたように見えた。
しかし、もう一度クロを見た時には先程と変わらず、クロがただそこにいるだけ。
ただの勘違いかと感じたその時__
クロの影がゆらゆらと揺らめき、段々と歪んでいく。
影が歪むのと同時に、クロの体は崩れていき、得体の知れない「何か」へと変貌していく。
黒い靄(もや)の様な姿になったと思えば、赤い光がギラギラとこちらを照らす。
赤い照明に当たっているわけではない。
君達は気付てしまった。沢山の赤い光は、「クロの目」であると。
クロ「あははははははは!!」
何重にも重なって聞こえる笑い声。
邪悪で毒々しい赤の視線。
シルエットしか見えないが、そこには確かに、鋭い爪を持った「化け物」が存在していた。
この世のものでは無い禍々しい姿を見てしまった君達は言い表せぬ恐怖と吐き気を覚える。
現実に存在してはいけない“観測者そのもの”を認識した君達は本能的に恐怖を覚えた。
(3/1D6+3のSANチェック)
SANチェック後のクロのセリフ↓
クロ「君たちは選んでいるつもりだろう?」
クロ「でもね……」
クロ「最初から全部、見てるよ」
クロ「……まだ、全部じゃないけどね」
クロ「だって君たち、最初に“会ってる”じゃないか」
クロは無数の目を細めて笑いながら、面白おかしいという様な口調で告げる。
しかし、次の瞬間にはみあの方向に振り返って歩き出しており、禍々しい姿も黒い靄も徐々に黒猫の姿へと戻っていく。
クロ「壊すのも、守るのも」
クロ「どっちもいいよ」
クロ「だって……どっちも、同じくらい綺麗だから」
クロ「君達がここに来るのは早すぎたね。もう少しみあと遊ぶといい」
振り返らずに告げたクロはそのままみあの方へと進んでいく。
その際、完全に戻り切っていない黒い靄からスルリと何かが君達の前に落ちる。
それは破られた様な跡(あと)がある紙だった。
内容は下記の様になっている。
9がつ27にち
くろとやくそくしたの。ずっといっしょにいるって。
9がつ28にち
くろがずっといっしょにいれるよっておしえてくれた!
うれしい!!
内容を理解した時、黒猫の姿に戻ったクロは既にみあの近くまで辿り着いていた。
【聞き耳】
成功→すぐ後ろから耳元へ、確かに聞こえた。何重にも重なったおぞましい声が。
クロ「壊すのも、守るのも」
「どっちが面白いか、見せてよ」
失敗→何かが耳元でノイズを奏でた。
その光景を見たとき、言葉にできない違和感が胸に残る。
小さな引っかかりかもしれないし、はっきりとした不安かもしれない。
けれど、それは確かにそこにあった。
RP(——あなたは、何を感じただろうか。)
※注意※
特殊エンド:戦闘ロスト
この部屋は唯一戦闘ロストが想定される部屋です。
戦闘ロスト条件:「みあ」を殺そうとすること。
もしこの部屋で発狂し殺人癖を引き、殺人癖の対象が「みあ」だった場合クロによる戦闘ロストになる。
発狂しなくても、「みあ」に手を出すようなRPをした探索者がいた場合、強制的に戦闘ロストになります。
クロ「この子、お気に入りなんだ。……勝手に介入しないでくれる?」
クロ「壊すなら——僕がやる」
記憶の部屋
クロ「みあ、遊びは終わりだ。お客ともう少し遊んでおいで」
みあ「はーい!」
青い目のぬいぐるみで遊んでいたみあは、クロに呼ばれると、それを元の位置へ丁寧に戻した。
その瞬間。
世界が、途切れた。
――気付けば、見知らぬ部屋に立っていた。
やけに静かなその部屋には、驚くほど何もない。
中央にぽつんと置かれた机と、その上に置かれた数枚の紙だけが、異様に目を引いた。
一歩、踏み出す。
その瞬間、視界が黒く塗り潰される。
次に見えたのは、見覚えのない廊下だった。
だが――
体が、動かない。
視線も、手足も、自分の意思では一切制御できない。
声も出せない。
(1/1D3 SANチェック)
※自分ではない誰かの記憶を“体験している”ため
それでも、体は勝手に動き出す。
ゆっくりと、廊下を進んでいく。
――まるで、自分ではない誰かの記憶をなぞるように。
「みあ~?入るわよ~?」
自分の口が、勝手に動いた。
みあ「まま!まま!みて!!おはようしたら、くましゃんとうさぎしゃんいた!!」
扉の先。
そこには、まだ幼いみあがいた。
無邪気な笑顔で、ぬいぐるみを抱えてこちらに駆け寄ってくる。
「あらあら、ふふ。みあがいい子にしてたから、サンタさんがプレゼントをくれたのね」
――違う。
これは、自分の言葉じゃない。
言葉は、止まらない。
みあ「しゃんたしゃ!!あいあーと!!」
制御できない手が、幼いみあに伸びていき、そのまま頭を撫でる。
みあは一度首を傾げたが、頭を撫でられて気分が上がったようで、えへへと無邪気に笑った。
視界にノイズが走る。
一瞬だけ、
“今の部屋とは違う何か”が映り込んだ気がした。
だが、すぐにそれは消える。
次に見えたのは自分達も知る背丈のみあだ。
みあは子供部屋のベッドの上でぬいぐるみ達を使い1人で遊んでいた。
「みあ、1人で遊ぶのは寂しくない?」
心配そうな声で言葉は紡がれた。
みあ「だいじょうぶだよ!くろがね、おはなししてくれるの!」
みあはそう言って、何もない空間を見上げる。
――まるで、そこに誰かが“立っている”かのように。
視界に、砂嵐のようなノイズが走る。
気付けば、手にはペンが握られていた。
紙の上には、“れんか”と書かれている。
7月20日
最近、みあが変なことを言う。
「くろがね、おはなししてくれるの」
最初は、空想の友達だと思っていた。
子供にはよくあることだと思いたい。
……そう思わないと、落ち着かない。
でも――
あの子は、“いないもの”を見るような顔をする。
視界にノイズが走る。
……だが、消えない。
数秒遅れて、ようやく視界が元に戻る。
開けた視界の先には完全に閉まっていない子供部屋の扉。
子供部屋からは「くろ、すごーい!」とみあのきゃらきゃらとした笑い声が聞こえる。
開いている隙間からそっと部屋を覗き込めば、みあが無邪気な笑顔を“何もない空間”に向けている。
その光景を、見てはいけないもののように感じた。
みあ「んふふ、それはだめだよ?くろ」
みあ「うん!わかった!!」
みあは、何もない空間を見ながら、言葉を返している。
――返事が、ほんのわずかに早い。
まるで、
“相手の言葉を聞く前に答えている”かのように。
ふと、みあがこちらを見た。
みあ「……?まま?」
心臓が、ひどく跳ねた。思わず扉から体を仰け反らせてしまった。
とてとてと可愛らしい足音を立てて、少しだけ開いていた扉が開かれる。
みあは扉の前に立っている自分を見上げ、「まま?どうしたの?」と聞いてくる。
「ご、ごめんなさいね。みあが楽しそうにお喋りしてるなぁって思ったら、入るタイミングを見失っちゃったわ」
みあ「そっかぁ!んふふ、ままもみあとおしゃべりしたかったの?」
「そうねぇ。ままもみあとお喋りしていいかしら?」
みあ「んふふ、やったー!!ままとおしゃべり~!!」
テンションが上がったみあは嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねると、自分の手を取り、子供部屋に引っ張った。
視界にノイズが走る――その奥に、一瞬だけ“何かの輪郭”が混ざった。
いつの間にか震える手でペンを持っていた。
文字がぶれない様に、慎重にペンを紙に滑らせた。
8月13日
今日も「くろ」と話していた。
誰もいない部屋で。
声に出して、ちゃんと会話している。
「それはだめだよ、くろ」
「うん、わかった」
……誰と?
ノイズが走る。
……違う。
これはノイズじゃない。“何かが割り込んできている”。
開けた視界に飛び込んできたのは、圧倒的な緑。
どうやら自然豊かな場所にいるようだ。
みあは木材で作られたブランコに乗っている。
楽しそうにブランコを揺らしているみあを見ていると、違和感に気付いた。
何か、みあの足元から黒い煙のようなものが微かに見える。
自然発火でもしたのかと思い一歩踏み出した。
その瞬間、
空気が、変わった。
肌に触れる温度が、
急激に引いていく。
息を吸うたび、喉が冷える。
みあを見る。
みあの足元を見る。
みあの足元に、
何かが“ある”気がした。
うまく形は捉えられない。
ただ――
黒い靄のようなものが、
確かにそこに“滲んでいる”。
みあ「楽しいねぇ!ね!!くろ!!」
一瞬だけ、風が止んだ気がした。
――その瞬間。
黒い靄が、わずかに“揺れた”気がした。
――いや。
こちらに気付いたように、揺れた。
視界にノイズが入る。
……ノイズに視界が崩れるその一瞬。
黒の奥で、
“何かがこちらを見返した”気がした。
赤い、光で。
ペンを握る手が異常に震えている。
書き殴ったような文字には、ぽたぽたと雫が落ち、歪んでいく。
9月2--
今-見てし--た。
みあ--とな--に、何--いた。
かたち--は、わ--ない。
でも--
“いる”。
みあ----みあげ--わらっ--。
「ね、くろ」
わたし--こえ-出な--た。
でも、みあは――こたえていた。
視界に赤い色が広がったと思えば、黒いノイズが赤をかき乱す。
も--むり--し-ない。
乱暴な文字が、
あのこ--“なにか”-いっしょ--いる。
恐怖に震えた文字が、
わたし--どうす--できな-。
目の前を通り過ぎていく。
でも――
あの子は、もうひとりじゃない。
お願いだから。
【聞き耳】
成功→PCのフラグによって下記のセリフに変えてください。
失敗→つんざく様な悲鳴の声が聞こえた。
共感高い
「あの子を、ひとりにしないで」
違和感高い
「あの子を、“ちゃんと”見て」
クロ関与高い
「あの子は――まだ、間に合うの?」
ノイズの奥で、“それ”だけが輪郭を持っていた。
赤目みあ「これは記憶だ。君達は現実にお帰り頂こう」
赤と黒の混じるノイズの先に、氷のような視線で、感情のないままこちらを射抜く赤い目と目が合った。
気づけば貴方達は、入ってきた時と変わらない部屋に戻ってきていた。
みあは、君達を見上げている。
何かを待っているような、けれど何も知らないような目で。
みあ「おにいちゃんたち、ぼーっとしてどうしたの?」
その小さな存在に、あなたは何を思うだろうか。
RP(——あなたは、この子にどう接する?)
リビング
気付いたら君たちは廊下に立っており、リビングの扉の前いた。
扉を開けると、そこは見覚えのあるリビングだった。
柔らかい照明、整えられたソファ、生活感のあるテーブル。
つい先ほどまで、誰かと話していたような空気が残っている。
——そうだ。
ここは、あの母親と話をした場所だ。
……本当に?
記憶が、少しだけ遅れている気がする。
しかし、よく見ると妙な点に気づく。
テーブルの上にはカップが一つしかない。
自分は確か、誰かと向かい合って座っていたはずなのに。
壁に飾られた写真に目が留まる。
そこには、母親と——小さな少女が写っていた。
だが、その少女の顔には見覚えがない。
ふと、ソファを見る。
自分が座っていたはずの場所には、わずかに沈んだ跡が残っている。
——もう一つ。
まるで、小さな誰かが座っていたかのような跡が。
その時、不意に思い出す。
——あの時。
母親は、本当に“自分だけ”に話しかけていただろうか?
KPは下記の3つの行動によってより近いエンド分岐に持って行ってください。
※プレイヤーがどの行動を選んでも否定しないこと。
違和感や感情の“強調”によって誘導すること。
情報は“与える”のではなく、“気づかせる”ことを優先する。
1.導入を信じる行動
(=現実に寄る)
玄関を見る
母親の痕跡を探す
外に出ようとする
傾向:帰還寄り
2.みあを優先する行動
(=感情に寄る)
みあを探す
名前を呼ぶ
写真や思い出に触れる
傾向:救済 or 残留寄り
3.違和感を追う行動
(=真相に寄る)
写真を詳しく見る
“座っていた跡”を調べる
音や視線を追う
傾向:クロ介入寄り
※ただし、完全な分岐をしないでください。
A行動を多く取る → 帰還フラグ↑
B行動 → 救済・残留↑
C行動 → クロ介入↑
最後に一番多い方向へ自然に流す。
上記の流れでエンド分岐を判定してください。
調べられるもの
・写真
・カップ
・ソファー
それぞれの判定
写真
【目星】
成功↓
母親と少女。
——だが、その少女の顔ははっきりしない。
……それだけではない。
母親の表情も、どこか曖昧に見える。
まるで、“誰を見ているのか分からない”。
失敗↓
母親と少女が写っているのが分かる。
カップ
【目星】
成功↓
テーブルの上にはカップが1つ。
……いや、よく見るとコースターは2つある。
……本当に、“自分はここで話を聞いていた”のだろうか。
失敗↓
テーブルにはカップが1つ置いてある。
ソファー
【目星】
成功↓
——もう一つ。
まるで、小さな誰かが座っていたかのような跡がある。
——その跡は、
“今ついたもの”のように新しかった。
……いや。
違う。
“今まで気づかなかっただけで、
最初からそこにあった”ような気もする。
――どちらが正しい?
一瞬、思考が止まる。
——自分は、本当にここに“来た”のだろうか。
(0/1 SANチェック)
※記憶の連続性の破綻
失敗↓
座った形式が複数あるようだ。
玄関の方から、微かな気配がする。
——来た時の感覚に、似ている。
下記はランダム発生となっている。
KPの好きなタイミングで【聞き耳】を振らせ、成功したら好きなものを選んで演出してください。
※視線系のものは今回【聞き耳】で代用します。そしてできれば視線系の演出は1回は行ってください。
小さな足音
ぬいぐるみの擦れる音
かすかな笑い声
誰かに見られている気配
視線を感じて振り向くが誰もいない
失敗→耳鳴りがした。or何かが聞こえた気がした。
下記はKPの任意で演出にいれていい。
みあ「……ねぇ、おにいちゃん」
——どこから聞こえたのか、分からない。
→振り向いても誰もいない。
エンド前の導入演出
トリガー条件
リビング内で
A(現実)
B(感情)
C(違和感)
→どれかが一定以上溜まる
導入↓
ふと、空気が変わる。
さっきまで感じていた生活感が、
音もなく薄れていく。
代わりに——
“視線”だけが、残る。
どこからかではない。
最初から、ずっとあった視線。
気付いていなかっただけだ。
——今、ようやく“気付かされた”。
その瞬間。
背後で、何かが“理解した”気配がした。
目の前にあるのは、いくつかの選択。
外へ出ること。
ここに残ること。
それとも——。
どれを選んでも、きっと何かが変わる。
RP(——あなたは、どうする?)
……その選択を、
この空間は“静かに見ている”。
誰も急かさない。
誰も止めない。
——だからこそ。
その一歩は、やけに重かった。
——選んでいるつもりで、
本当にそれは“自分の意思”だろうか。
KPはここで「じゃあ、どう動く?」と聞くこと。
分岐別“入り口”
帰還寄り
玄関の向こうが、わずかに開いている。
——その先は、暗い。
だが確かに、“外”へ続いている気がする。
→進むと猫の部屋(帰還ルート前提状態)
みあ寄り
「……ねぇ」
今度は、はっきり聞こえた。
振り向くと、
廊下の奥に、小さな影が見える。
→追うと猫の部屋
違和感寄り
その瞬間、
視線が、重なる。
——気づいてしまった。
空間が、わずかに歪む。
→強制的に猫の部屋へ
共通遷移
どのルートでも最後の演出は下記の通り。
一歩、踏み出す。
——本当に、それでよかったのか。
その瞬間。
景色が、切り替わる。
【聞き耳】
成功→どこからか、クロの笑い声と共に、はっきり君の耳元で聞こえた。
クロ「君たち、嫌いじゃないよ」
帰還エンドの人のみ
笑い声が止んだかと思えば、急に君の耳元に冷たい声音が聞こえた。
クロ「……あぁ、君はそっちなんだ」
失敗→クロの不気味な笑い声が聞こえた気がした。
エンド
救済エンド
みあが、こちらの手を握る。
みあ「……ありがとう」
その手は、少しだけ冷たい。
それは、“もう生きていない温度”だった。
——いや。
最初から、温かくなかったのかもしれない。
外の光が差し込む。
みあは、少しだけ目を細める。
みあ「……まぶしいね」
その瞬間。
みあの体が、ふっと軽くなる。
——まるで。
最初から、何もなかったかのように。
……本当に?
——“あの子”は?
残留エンド
みあが笑う。
みあ「ねぇ、もっと遊ぼう?」
時間の感覚が、少しずつ曖昧になっていく。
少しだけ、眠い。
——いや。
ずっと前から、眠かった気がする。
視界の端で、
青いものが揺れた気がした。
クロ介入エンド
クロが、ゆっくりと近づく。
クロ「……見過ぎたね」
その瞬間、
体の奥から、何かが引き剥がされる感覚。
膝が崩れる。
立っていられない。
——それでも、意識だけが残る。
みあがこちらを見る。
みあ「……あれ?」
みあ「どうしたの?」
帰還エンド
みあが、小さく手を振る。
みあ「また遊んでね」
扉の向こうは、見慣れた現実だった。
——何も、変わっていない。
……本当に?
——何かを忘れている気がする。
けれど、それが何だったのかは、思い出せない。
後日談
救済エンドの場合
みあが居なくなったハコニワの猫の部屋で、黒猫が1匹、静かに佇んでいた。
赤目のぬいぐるみは黒猫のことなど見ておらず、ただ顔が向いている方向を見ているだけだ。
青目のぬいぐるみは動けはしないものの、混乱、絶望、恐怖といった感情が、黒猫には手に取るように分かる。
急に赤目のぬいぐるみ達の視線が、祭壇の真ん中にある棺桶に集中する。
静かに佇んでいた黒猫--クロはニヤリと口角を上げる。
クロ「あぁ、おかえり、みあ」
みあ「んぅ?ただいまぁ、くろ」
棺桶を開けたクロの目の前には、さっきまでのことを何も覚えていない顔で眠そうに目を擦るみあがいた。
クロは、一瞬だけ嬉しそうに目を細める。
しかし、みあには聞こえなかったのかキョトンとした顔を向けていた。
みあ「くろ!!かくれんぼしよ!!」
クロ「いいとも。鬼は僕がしよう。隠れてくるといい」
みあ「わーい!!みんな、かくれよーー!!」
赤目のぬいぐるみを複数体引き連れて、みあは猫の部屋を出ていく。
クロ「お気に入りなんだ。手放すわけないじゃないか」
——あなたは、それを知らない。
(※魂回収→ループ)
残留エンドの場合
みあ「おにいちゃんすごーい!」
猫の部屋に響く、みあの絶賛。
みあの目の前には、この世界に残ると決めた君達。
きゃらきゃらとした笑い声を聞きながら、みあと一緒に遊んでいた君は次第に眠くなってくる。
次に目を覚ました時、君は違和感に気付く。
手足が、声が、自分達では制御ができない。
視界が固定されて、動かすことができない。
しかし、目の前には先程まで見ていた猫の部屋で間違いない。
みあ「あれ?あおめのこ、ふえてる~!かわいいね~」
猫の部屋にやってきたみあは君を見て無邪気な笑顔を見せる。
みあ「くろ!!かくれんぼしよ!!」
クロ「いいとも。鬼は僕がしよう。隠れてくるといい」
みあ「わーい!!みんな、かくれよーー!!」
赤目のぬいぐるみを複数体引き連れて、みあは猫の部屋を出ていく。
クロ「よかったじゃないか。これで“ずっと一緒”になれたんだから」
——あなたは、それを知らない。
(※青目のぬいぐるみ化)
クロ介入エンドの場合
みあ「おにいちゃん(おねえちゃん)、うごかなくなっちゃった」
クロ「あっはははは!面白い人間だったケドね」
意識が朦朧とする中、みあとクロの声が嫌に明瞭に聞こえる。
みあ「くろがぷんぷんするのめずらしーねぇ」
クロ「おや、そうだったかな?」
みあは「くろおこりんぼ~」ときゃらきゃらとした笑い声を響かせ、ぽすんと近くに座った音がする。
と同時に、一斉に向けられる視線を感じる。
確信はない。
恐らく見られているのはみあであるが、視線の延長線上にいるためか、自分を見られているかのような錯覚を覚える。
みあ「くろ!!かくれんぼしよ!!」
クロ「いいとも。鬼は僕がしよう。隠れてくるといい」
みあ「わーい!!みんな、かくれよーー!!」
赤目のぬいぐるみを複数体引き連れて、みあは猫の部屋を出ていく。
薄れていく意識の中、君は不思議な浮遊感を感じながら、意識を落とした。
ガチャガチャと耳障りな音に君は目を覚ます。
しかし、君は自分の目が開いているのか閉じているのかさえも分からなかった。
目の前は暗闇だったからである。
「あ、そーだ!くろさがすなら、これ!あげる!!」
急に目の前が光に包まれたと思えば、見えたのは小さな手。
その手が自分を掴み上げ、今度は知らない顔が見えた。
そして思い出す。
これは最初にみあを見つけた時に見た光景……。
——視線の高さが、少し違う。
では、今の自分は……?
クロ「知りすぎは身を亡ぼすってやつさ」
——あなたは、それを知らない。
(※猫の鍵化)
帰還エンドの場合
みあ「おにいちゃんたちかえっちゃったね」
赤目のぬいぐるみ達を撫でながら、みあは落ち込んだように視線を落とす。
まだまだ遊び足りなかったらしい。
赤目のぬいぐるみ達がみあの周りをぐるぐると忙しなく動きながら、まるで励ましているかのように動く。
クロ「寂しい?」
みあ「んー?さびしい、かなぁ?くろがいるから、さびしいはないないだねぇ」
クロ「はいはい」
呆れた様な口調の割に、クロは存外上機嫌なのをみあは知っている。
どうやら今回のお客さんはクロを楽しませたようだった。
みあ「くろ!!かくれんぼしよ!!」
クロ「いいとも。鬼は僕がしよう。隠れてくるといい」
みあ「わーい!!みんな、かくれよーー!!」
赤目のぬいぐるみを複数体引き連れて、みあは猫の部屋を出ていく。
クロ「見つからないように、ね」
クロ「さて、僕も新たな客人を招くとしようか」
みあが部屋を出て暫く待ったクロは、恍惚と姿を消した。
のを、赤と青の目が捉えていた。
クロ「ヨウコソ、ワタシノハコニワへ」
——その声を、
どこかで聞いた気がした。
そして、もう思い出せない。
——あなたは、それを知らない。
(※新たな探索者お迎え)
