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社会科は45分で考えるな。次期学習指導要領が突きつける単元設計の話

社会科の授業を考えるとき、つい一時間単位で考えてしまう。

今日の導入はどうするか。

今日の資料は何を見せるか。

今日の発問はどうするか。

今日のまとめは何を書かせるか。

もちろん、それは大切である。

45分の授業が雑でいいわけではない。

しかし、最近改めて思う。

社会科は45分で考えてはいけない。

社会科は単元で考える教科である。

むしろ、次期学習指導要領に向けて、ますますそこが問われていくのではないかと思っている。

今回の講演で印象に残ったのは、社会科における問題解決的な学習の重要性である。

人口減少。

少子高齢化。

国際化。

AIの進展。

社会は大きく変化している。

そうした社会の中で、子どもたちに必要なのは、ただ知識を覚えることだけではない。

社会的な見方・考え方を働かせながら、問いをもち、調べ、考え、根拠をもって説明し、社会との関わり方を選択・判断する力である。

そのためには、授業を一時間ごとのイベントとして考えるのでは足りない。

単元全体を貫く問いが必要なのである。

社会科の授業は「主要な問い」で決まる

社会科で一番大事なのは、資料を見せることではない。

活動を盛り上げることでもない。

もちろん、良い資料は大切である。

子どもが「えっ」と驚く資料。

違和感をもつ資料。

問いが生まれる資料。

そういう教材には力がある。

しかし、資料が良ければ授業が成立するわけではない。

大切なのは、その資料からどんな学習問題につなげるかである。

そして、その学習問題が単元全体を貫いているかである。

一時間目で問いを作る。

二時間目で調べる。

三時間目で別のことをする。

四時間目でまた違う活動をする。

最後に何となくまとめる。

これでは、子どもの学びは散らばってしまう。

社会科の単元には、軸が必要である。

この単元で、子どもたちは何を追究するのか。

何を明らかにするのか。

何を根拠に考えを変えていくのか。

最後に、何を選択・判断するのか。

そこが見えていなければ、どれだけ資料がよくても授業は弱くなる。

子どもは問いを見つけられる。でも見通しが弱い

今の子どもたちは、資料から問いを見つけることは意外とできる。

写真を見る。

グラフを見る。

地図を見る。

年表を見る。

そこで、

「なんでこうなっているの」

「どうしてここだけ違うの」

「昔と今で何が変わったの」

と問いを出すことはできる。

これはとてもよいことである。

ただし、そこから先が難しい。

問いを出した後に、どう調べるのか。

何を根拠に予想するのか。

どんな順番で調べれば解決に近づくのか。

どの資料を見ればよいのか。

この見通しを立てることが弱い。

問いは出せる。

でも、学習計画につながらない。

ここが今の社会科の大きな課題なのだと思う。

つまり、入口で止まっているのである。

「問いが出たからよかった」

ではない。

問いが出た後に、子どもたちが自分たちで学びの道筋を考えられるか。

そこまで育てる必要がある。

見通しは、子ども任せにしすぎない

「主体的な学び」という言葉がある。

しかし、主体的な学びは、子どもに丸投げすることではない。

子どもに、

「さあ、自由に調べましょう」

と言えば、主体的になるわけではない。

むしろ、見通しの立て方を知らない子どもに自由だけを渡すと、学びは迷子になる。

だから、教師の支援が必要である。

何をもとに予想するのか。

前の時間に学んだことか。

提示された資料か。

生活経験か。

既習事項か。

そこを明確にする。

子どもが出した問いをそのまま放置するのではなく、教師と子どもで学習問題を練り上げる。

子どもの言葉を生かしながら、単元を貫く問いへと整えていく。

ここに教師の仕事がある。

社会科の授業づくりとは、子どもの問いを大切にしながら、その問いを学びの筋道に変えていく仕事なのだと思う。

まとめを書いて終わりにしない

もう一つ大事なのは、単元の出口である。

社会科では、最後にまとめを書かせることが多い。

今日分かったことを書きましょう。

自分の考えを書きましょう。

学習問題に対する答えを書きましょう。

これはもちろん大切である。

しかし、書いて終わりになっていないだろうか。

子どもがノートに考えを書く。

先生が見る。

赤を入れる。

それで終わる。

これでは、社会科として少し弱い。

これから求められるのは、学んだことを根拠に語ることである。

自分の考えを説明する。

友達と議論する。

なぜそう考えたのかを言う。

資料のどこを根拠にしたのかを示す。

そして、社会への関わり方を選択・判断する。

ここまで行って、社会科の学びが出口に向かう。

「考えを書いたから終わり」ではない。

考えを人に伝える。

根拠をもって説明する。

違う考えに出会う。

その中で、自分の考えを磨く。

この出口を意識しなければならない。

国語で学んだ力を社会科で使う

社会科のまとめや討論で大切になるのは、実は国語の力でもある。

主張を書く。

理由を書く。

根拠を示す。

結論をまとめる。

これは国語で学ぶことである。

しかし、それを国語の時間だけで終わらせてはいけない。

社会科でこそ使うべきである。

たとえば、

私は〇〇だと考える。

なぜなら、資料から△△が分かるからである。

つまり、□□と言える。

このような型を使えば、子どもは自分の考えを根拠と結びつけやすくなる。

討論も同じである。

ただ感想を言い合うのではない。

「私はこう思います」

「理由はこの資料です」

「友達の考えと比べると、ここが違います」

このように、根拠をもって語る。

社会科は、社会のことを学ぶ教科であると同時に、言葉で社会を考える教科でもある。

だから、国語で身につけた言葉の力を社会科で使わせる必要がある。

教師がまとめを与えすぎない

社会科の授業でやってしまいがちなのが、教師がきれいなまとめを提示することである。

子どもの意見を聞く。

少し話し合う。

最後に教師が黒板にまとめを書く。

子どもはそれを写す。

この流れは、とても安心感がある。

授業としては整って見える。

ノートもきれいに残る。

しかし、それで子どもは本当に考えたのだろうか。

教師が抽象的なまとめを出して、それを写して終わる授業では、子どもの思考は見えにくい。

大切なのは、子ども自身が学習したことを根拠に、自分の言葉でまとめることである。

もちろん、最初から完璧にはできない。

だから型を示す。

使う言葉を示す。

資料に戻らせる。

友達と説明し合う時間を取る。

そうやって少しずつ、子どもが自分の言葉で社会を説明できるようにしていく。

教師がまとめる授業から、子どもが語る授業へ。

ここが、これからの社会科でさらに大切になるのではないか。

単元の入口・途中・出口を設計する

今回の話を聞いて、社会科の単元設計は三つの場面で考えると分かりやすいと思った。

入口。

途中。

出口。

入口では、社会的事象と出会い、問いをつくる。

そして、問いを出すだけでなく、予想し、見通しを立て、学習計画をつくる。

途中では、資料を調べ、分かったことを持ち寄り、特色や意味を説明する。

ただ調べるだけではない。

自分の言葉で説明し、友達と考えを比べる。

出口では、学習問題に対する自分の考えをもち、根拠をもって説明し、社会への関わり方を選択・判断する。

この流れが見えている単元は強い。

逆に、入口だけ盛り上がって、途中が作業になり、出口が写して終わりになる単元は弱い。

社会科の授業改善は、45分の発問を磨くことだけではない。

単元全体の学習プロセスを設計することなのである。

香川の社会科に求められていること

今回の講演では、香川県の社会科への期待にも触れられていた。

単元を通した授業設計の充実。

調査結果の課題を意識した授業改善。

そして、全国大会に向けた研究の深化。

これは、かなり大きなメッセージだと思う。

香川の社会科は、地域教材に恵まれている。

水。

うどん。

ため池。

瀬戸内海。

産業。

交通。

地域の変化。

人口減少。

観光。

国際化。

教材になりうる社会的事象はたくさんある。

しかし、良い地域教材があるだけでは足りない。

その教材を通して、子どもにどんな問いをもたせるのか。

どんな見通しを立てさせるのか。

どんな資料で追究させるのか。

最後に何を根拠に語らせるのか。

そこまで設計する必要がある。

地域教材を使うことが目的ではない。

地域教材を通して、子どもが社会を見つめる力を育てることが目的である。

社会科は、子どもが社会を語る教科である

社会科は、知識を覚える教科だと思われがちである。

都道府県を覚える。

産業を覚える。

歴史上の人物を覚える。

制度を覚える。

もちろん知識は必要である。

知識がなければ考えられない。

しかし、知識を覚えるだけでは社会科は終わらない。

大切なのは、その知識を使って社会を語ることである。

なぜそうなっているのか。

誰にとってよいのか。

どんな課題があるのか。

自分たちはどう関わるのか。

そこまで考えるから社会科である。

次期学習指導要領に向けて、社会科はさらに問題解決的な学習を求められていく。

問いを立てる。

見通しをもつ。

追究する。

根拠をもって説明する。

議論する。

選択・判断する。

この流れを、単元全体で設計する。

社会科は45分で考えるな。

単元で考えろ。

そして、子どもが社会を自分の言葉で語れる授業をつくる。

これが、これからの社会科に求められていることなのだと思う。

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