「働く人に安全を伝えたい」第50回(水無月)
第50回は、「水無月と大祓」
水無月
「水無月」は、6月に梅雨で雨がたくさん降るのに日本の旧暦で「水の無い月」と書く。
ちょっと不思議に思った。
「水無月」の「無」は、文字通りの意味ではなく、古語の「な(~の)」にあたり、「水の月」という意味だという説があるようだ。
水が無い月ではなく、「水の月」という。
旧暦の6月は、田んぼに水を引く「田植え」にとって非常に重要な時期で、山から引いた水で田んぼを満たすことから「水の月=水無月」と呼ばれるようになったという。
田んぼにたっぷりと水を張る大切な「水の月」という意味が込められていると考えると、なるほどと納得ができる。
夏越しの大祓(おおはらえ)
水にまつわることわざの裏話に「水に流す」という言葉がある。
日本特有の「清らかな水が、すべての汚れや過去の災いを洗い流してくれる」神道的な信仰(禊:みそぎ)から生まれた。
この言葉の根底には、「水は物理的な汚れだけでなく、人の心や過去のわだかまりといった精神的な穢(けが)れも、すべて包み込んで綺麗に洗い流してくれる」という水に対する信頼感がある。
この時期、全国の神社で「夏越しの大祓」¹ という行事がある。
これは、1年のちょうど半分(1月~6月)の間に、知らず知らずのうちに身に着いた罪や穢れをリセットし、残り半年の無病息災を願う儀式である。

「人形(ひとがた)」と呼ばれる人の形に切り抜かれた白い紙が使われ、人形を納めて大祓を行う。
これも、「水に流す」ということなのかと、ふと思った。
【人形の作法】
① 人形に名前と年齢を書く
② 祈念を込めて、人形で身体を撫でる
③ 息を3度吹きかけ、罪穢れを人形に移す

私も人形に名前と年齢を書いて、それを胸に当てて撫で、息を3回吹きかけ熊野神社に納めた。
半年間の罪や穢れを水に流し、清めていただけますように…。
機会があれば、みなさんも人形に触れ、息を吹き込んで神社に納めてみてはいかがか。日々の忙しさや、知らず知らずに溜まった心身の疲れをすっきりと「水に流す」ような心地よい節目になるかもしれない。
安全を伝えたい
この時期は、豪雨災害によるトラブルに注視する必要がる。
・のり面崩壊、地すべり
梅雨の長雨が続くと、地中に水が浸透して、斜面が滑り落ちる。
・建設機械の墜落転落、転倒
雨により地盤が軟弱になり、足元が不安定になる。
法肩が崩壊し重機が墜落転落する。
クレーンのアウトリガーが沈下して転倒する。
・増水による災害
河川工事や臨海工事では、現場周辺で雨が降っていなくても上流で発生した集中豪雨の影響により、急激な増水となり災害となる。
上記は一例であるが、その他に現場からの濁水流出により第三者に影響を及ぼすようなこともあるので留意が必要だ。
現場の「見える範囲」だけでなく、「斜面の内部(保水量)」「上流の天気」「地下水の水圧」という見えないリスクを先読みする必要がある。
過去の降雨量から、現場内の排水勾配・排水処理対策それに濁水の流出防止・土砂崩壊対策などを計画して施す事前予防対策が重要である。
災害から免れたとしても、雨が上がった直後は、土中には水分が溜まっているため「雨上がりこそリスクが高い」という認識で降雨後の点検を行うことが災害を防ぐ鉄則である。
6月は梅雨時で足元も悪く、暑さも厳しくなっていく。
安全管理が最も難しい季節の一つだ。
豪雨前に正しく「水を流す」ことを考えて、ご安全に!
追記:【和菓子 水無月】
「水無月」(ういろうに小豆が乗った三角形のお菓子)という和菓子がある。暑さを乗り切り、無病息災を願う意味が込められている。
6月30日の「夏越しの大祓」で、この和菓子を食べる習慣が、京都を中心に根付いているという。
私もいただいて、無病息災の祈願をしたい。
【和菓子 水無月】食べ比てみた の記事も読んでみてください。
¹:伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらえ)を起源としており、多くの神社で恒例神事となっている。年に二度斎行され、六月の大祓を「夏越しの大祓」と呼ぶ。人形(ひとがた)に半年間の罪穢れを移してお清めしたり、境内にある茅の輪(ちのわ)を「水無月の夏越する人は 千歳の命のぶというなり」と唱えながらくぐったりする。
半年間の罪汚れを一切残さず、大神さまに受取り願い、そのご神慮(しんりょ)の下で、暑い夏を元気に乗り越え平穏な日々を送れるように祈願する。
常に清らかな気持ちでいられるように、心身の穢れや諸々の罪穢れを祓い清めるために行われる。
6月30日に熊野神社で茅の輪くぐりをしてきたので加筆した。
茅の輪くぐり(加筆)
6月30日に半年間の息災延命と家族の繫栄を祈願するために熊野神社に行ってきた。


茅の輪が設置されており、「水無月(みなづき)の夏越(なごし)祓(はらへ)する人は千歳(ちとせ)の命のぶといふなり」と唱えながら…。
左足からまたいでくぐって左に回り、次は右足でまたいでくぐって右回り、再び左足からまたいでくぐって左に回りして、正面から左足からまたぎ進み、お参りした。
左・右・左で1回半の八の字を描いているようだった。
神社によって、作法があるようだ。

これで、半年間の罪穢れを残さず、暑い夏を元気に乗り越え、平穏な日々を送ることができる。

いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!