水彩詩集 私の本棚は誰かの…◆AIの進歩で人は思考力を放棄するのか
私の本棚は、誰かの孤独と繋がっている。
その書物は、誰かに読まれることを待っているのか?
【※この詩と絵は『嫌われる勇気』に登場する、哲人と青年の対話からインスパイアして、その世界観を形にしたものです。】
青年は悩んでいました。それは、AIの普及によって、人が思考しなくなるのではないかという悩みでした。
AIの青い光と、ひと筋の灯火
【青年】
冷徹な夜の底で、AIが囁(ささや)いている
膨大な光の海が、言葉の代わりに答えを紡ぐ
「もう、考えなくていい」と、銀の歌が聴こえる
尊師よ、わたしは恐ろしいのです。
私たちは奪われていく
みずから悩む力を、迷い、歩む、
その尊厳を 人間はただの抜け殻に、
なってしまうのではないか。
【哲人】
恐れることはありません、若き友よ、
眼(まなこ)を開きなさい
あのAIの青い光が映し出すのは、
世界の終わりではない。
あれはただの道具、
夜を照らすかつての松明(たいまつ)と同じもの。
彼らが差し出すのは、数式の中の最適解(こたえ)
私たちが紡ぐのは、他者と生きるための意味
人間の思考は、冷たいデータの中にはない。
【青年】
いいえ、人々はすでに、その灯火に身を委ねている!
「どう生きるか」さえも、AIの告げる声に従う
それは楽園ですか、それとも、魂の放棄ですか?
自分で決める痛みを忘れ、操り人形となった人間に
いったい何が残るというのです、教えてください!
【哲人】
残るのではない、私たちが選ぶのです。
責任を恐れ、機械の背に隠れるのは「人生の嘘」
問われているのは、機械の知性ではない。
あなたのなかの、歩み出す「勇気」だ。
課題を分離しなさい、
時代がどう変わろうとも あなたの人生の手綱は、
あなたの手の中にしかないのだから。
【青年】
それでも、心は震える あの圧倒的な知の前に、
私に考える意味はあるのかと。
【哲人】
大いにある、
なぜなら彼らには「隣人」がいない。
誰かのために涙を流し、誰かのために手をつなぐ
その「共同体感覚」こそが、
人間の思考の泉(いずみ)なのだ。
作業としての思考を、
機械が肩代わりしてくれるなら
私たちはもっと深く、目の前の人を愛せるだろう。
本当の思考とは、他者を想う、その心に他ならない。
【青年】
他者を想うこと……それが、残された自由……
【哲人】
さあ、AIの青い光の向こう側へ、
一歩を踏み出しなさい 問うべきは、
世界の行方ではなく 今、ここにある、
あなたの生きる勇気なのだから。
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