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アドラー心理学で解く悩み相談 /AIの普及で人は考えなくなるのではと悩む


青年は悩んでいました。それは、AIの普及によって、人間が考えなくなるのではないかという悩みにでした。

今や至るところにAIが普及し、人間がモノを考えなくても、その代わりをAIが代行する時代になって来ました。

このままでは、人は、世界はどうなってしまうのか、私たちは幸せに暮らせるのかと、そこで人生の師である哲人に、その答えを求めたのです。


AIの普及に悩む青年

【青年】
先生、私は恐ろしいのです。最近のAIの進化は凄まじい。文章も、芸術も、仕事の最適解も、すべてAIが身代わりになって考えてくれる。

このままいけば、人間はみずから「考えること」をやめてしまうのではないですか?

思考を放棄した人間など、もはや抜け殻です。この時代の潮流を、私たちはどう受け止めればいいのでしょうか!

【哲人】
なるほど。急速に発展するテクノロジーを前に、人間の尊厳が失われるのではないかと不安に駆られているのですね。

しかし、私は少しも恐れていません。アドラー心理学の観点から見れば、AIの登場によって、人間の本質が脅かされることはないのです。

【青年】
何故そんなに楽観的なのですか!

現に、多くの人が自分で調べず、自分で悩まず、AIの出した答えを鵜呑みにし始めています。これは人間の退化ですよ!

人はなぜ考えるのか?

【哲人】
では、お聞きします。なぜ人間は「考える」のでしょうか?

【青年】
それは……生存のためであり、より良い選択をするため、そして真理を追い求めるためでしょう。

【哲人】
アドラーは「すべての悩みは、人間関係の悩みである」と断言しました。

これを裏返せば、「人間のあらゆる営みは、他者を意識することから始まる」と言うことです。

私たちが深く悩み、思考を巡らせるのは、社会の中で他者と関わり、自分の居場所を見つけようとするからに他なりません。

【青年】……それがAIと、どう関係するのですか?

AIが出来るのは、データに基づいた最適な回答

【哲人】
AIは「データに基づいた最適な回答」を提示することは出来ます。しかし、それはどこまでいっても「客観的な事実や確率」に過ぎません。

一方で、人間の思考とは、他者との関係性の中で「自分はどう生きるか」「他者にどう貢献するか」と言う主観的な意味づけなのです。これはAIには代替できません。

【青年】
しかし、人々がその「意味づけ」すら、AIに委ねてしまったら?

「私はどう生きるべきか」すらAIに尋ね、その通りに動く人間ばかりになったらどうするのですか!

【哲人】
それはAIの問題ではなく、その人の「勇気」の問題です。

【青年】勇気、ですか……?

【哲人】
ええ。アドラー心理学でいう「人生のタスク(仕事・交友・愛)」から逃避するために、AIを言い訳にしているに過ぎません。

「AIがこう言ったから」と、自分の人生の決定権を委ねることは、一見楽に見えます。

失敗した時に、AIのせいに出来ますからね。しかしそれは、自らの人生の責任から逃れる「人生の嘘」です。

責任逃れのためにAIを使っている?

【青年】
つまり、AIのせいで人間が考えなくなるのではなく、人間が責任を逃れるために、AIを利用しているだけだと?

【哲人】
その通りです。課題を分離して考えねばなりません。

AIがどれほど賢くなろうとも、それは「道具の進化」と言う時代の変化であり、あなたの課題ではない。

「AIという便利な道具がある世界で、自分はどう生きるか」。それこそが、あなたの課題なのです。

【青年】……。

「作業としての思考」をAIに任す

【哲人】
むしろ、私はAIの普及を歓迎していますよ。

何故なら、単なる情報の処理や知識の詰め込みと言った「作業としての思考」を、AIが引き受けてくれることで、人間はもっと本質的な問いに向き合えるようになるからです。

【青年】本質的な問い、とは?

【哲人】
「共同体感覚」です。目の前の他者を仲間だと見なし、そこに自分の居場所があると感じること。
AIには心も、他者と結びつきたいと言う欲求もありません。

人間が「考えること」の根底には、常に「他者への関心」があります。

AIが答えを出した後に、「これをどう使えば、目の前の人が喜んでくれるだろうか」「どうすれば社会に貢献できるだろうか」と他者を想うこと。

これこそが、人間にしか出来ない本当の「思考」であり、自由への道なのです。

【青年】
……先生は、人間を信じているのですね。どれだけ便利な道具が現れても、私たちが他者を想い、自ら考える強さを持っていると。

【哲人】
ええ。問われているのはAIの進化ではありません。

あなた自身が、自分の足で立ち、他者を愛し、自らの人生を生きる「勇気」を持っているかどうかなのです。


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