「変わりたい」のに変われないのは何故?『嫌われる勇気』の耳の痛い真実
人との関係に悩んでいませんか? 気に入らない相手に対して、
「相手が変わってくれれば上手くいくのに」「考えを変えるのは相手の方だ」「相手がこの状況を改善すれば、関係は修復するのに」と…
それはあなたの考えですが、それは間違っています。
アドラー心理学の『嫌われる勇気』
『嫌われる勇気』は、日本におけるアルフレッド・アドラー心理学の第一人者(日本アドラー心理学会顧問)で、
アドラーの著作も多数翻訳している岸見一郎さんと、ライターの古賀史健さんの共著で、2013年に刊行されると、100万部を超えるベストセラーになりました。
それは、世界的にはフロイト、ユングと並ぶ、心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内ではほとんど、無名に近い存在のアルフレッド・アドラーに光を当てた作品でした。
上司が言った「嫌われる勇気」
私はこの『嫌われる勇気』の題名に惹かれました。
「嫌われる勇気」この言葉を聞いたのは、私が30代前半の頃で、この本が刊行されるよりも、ずっと以前のことです。
それは、私の上司が飲んだ席で、よく言っていた言葉だったのです。
その上司は私たちが、何日も掛けて仕上げた稟議書を、5分ほど見て決裁すると、決裁ケースに入れ、また、読み掛けの新聞に目を通していました。
一日の大半をデスクにいて、お客さまの元に訪問する事もありません。
お客さま組織化のための「ゴルフ会」と言う会員組織があって、地域の有力者が名を連ねていますが、
「俺はヘルニアで腰が悪いんだ。ゴルフはお前たちに任すから上手く遣ってくれ」と、応じません。
「これじゃ、お客さまが離れてしまうのではないか」と、心配した程です。
そんな上司が、終業時間が近づくと、私のところにやって来て、「早く仕事を切り上げろ、これから飲みに行くぞ」と、頻繁に言うのです。
それを無視して仕事を続けていると、今度は飲み屋から電話が掛かって来て「いつまで仕事をしているんだ。早く来い!」と。
仕方がないので、同僚たちに「仕事を終ろう」と告げ、呑んべいの待つ居酒屋に向かうのです。
そんな上司が、飲むと必ず言っていたのが、「人から良い人間だと見られるのは大変なこと、俺は、俺のことを好きな人が半分、嫌いな人が半分いると思って仕事をしているんだ。」
「60%の人が好きだと思ってくれれば、残りの40%の人に嫌われたっていいんじゃないか、あまり、良い人でいるのは大変なことだ、嫌われる勇気も必要だぞ」と、度々言っていたのです。
そんな時「嫌われる勇気」も、人生では少しは必要な事かなと、意識し出したのです。
上司になった時、優しすぎて、部下に注意が出来ないようでは、仕事になりません。いつも良い人でいるのは難しいことです。
岸見一郎『嫌われる勇気』
『嫌われる勇気』では、アルフレッド・アドラーの理論を、平易かつドラマチックに伝えるため、哲学者(哲人)と青年との、対話篇形式の会話によって、その思想を解き明かしています。
「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための、具体的な方策を提示し解説しています。
哲人と青年との会話問答は、古代ギリシャのソクラテスやプラトン、アリストテレスが現代の日本に於いて、当時と同じように、
「人間の幸福とは何か」
「どうすれば人は幸せに生きることが出来るか」を、問答しているようにさえ見えるのです。
〈会話問答〉
かって、1000年の都と謳われた古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる、と説く哲学者が住んでいた。
看過しがたい理想論を唱える哲学者に、納得のいかない青年は、哲学者のもとを訪ね、その真意を問いただそうとしていた。
悩み多き青年の目には、世界は矛盾に満ちた混沌としか映らず、ましてや幸福など有り得なかった。
世界はどこまでもシンプルである
青年が哲人に質問します。
「世界はどこまでもシンプルである、と言うのが先生のご持論なんですね?」
それに対して哲人は、「世界は信じがたいほどにシンプルで、誰もが幸福になれる。人生もまた同じ」と答えます。
すると青年は、その看過しがたい理想論を、撤回して欲しいと唱えます。
これに対して哲人は、
「自分自身が変われば、世界はシンプルな姿をとり戻す、問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、世界を直視するその勇気があるのか」と、勇気の問題だと言うのです。
人は変われます。幸せになれます。
更に哲人は、
「人は変われます。のみならず幸福になることも出来ます。例外なく。」と語るのでした。そして、青年は哲人の書斎に招き入れられるのでした。
青年は幼い頃から自分に自信が持てず、出自や学歴、容姿に強い劣等感があり、過剰なほどに他者の視線を気にし、他者の幸福について心から祝福できず、それが、自己嫌悪となっていました。
この本の中では、過去の出来事がトラウマになって、外出することが出来なくなった人の話が出て来ます。
それに対して哲人は、「外出が出来なくなったのは、過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考える事だ」と言います。
それは “外に出たくないから、不安と言う感情を作り出している”、我々は原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めないと言うのです。
そして、「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示します。
人生には色々な苦しみがやって来ます。そのすべての悩みの原因は、対人関係だとマドラーは言い切るのです。
アルフレッド・アドラーの理論
アルフレッド・アドラーの理論では、
「他の人から認めて貰いたいと言う、承認欲求を充たすために、嫌われないように立ち回る生き方は、不自由極まりない、その開放のために、嫌われる勇気を持ちなさい」と。
そして、性格や気質を「ライフスタイル」と呼び、10歳頃に自分が選んだものとして定着すると言います。
しかし、これはもう一度選び直すことも可能だとしています。しかし、人は今のままのほうが楽で、変わるのは不安なのです。
人の悩みのすべては、対人関係の悩みであり、宇宙に人がいなくなり、自分一人になれば、あらゆる悩みは消えるだろうとしています。
人と比較してしまうから、競争になり、他人を敵だと思う、恐ろしい世界になると言うのです。
「人生の目標」を持つこと
これを解決するには、「人生の目標」を持つことを挙げていて、人の行動面と心理面の在り方に言及します。
(行動面)1.自立すること。2.社会に調和して暮らせること。
(心理面)1.私には能力があると言う意識。2.人々は私の仲間であると言う意識。 これが重要だとしています。
「承認欲求」を否定するものとして、人は他人の期待を満たすために生きているのではない。
他人の課題に介入しない
そしてもう一つ「課題への分離」として、他人と自分の課題を分離し、相互介入しないとしています。
他人の課題に介入しない。これには、「馬を水辺に連れてゆくことはできるが、水を飲ませることは出来ない」としています。
また、自分の課題に介入させない事が重要だとしています。
そして「何のために生きるのか」の命題に対して「…つまり人は、いろいろと不満があったとしても、「このままのわたし」でいることの方が、楽であり安心なのです」と、
「健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるものではなく「理想の自分」との比較から生まれるもの」だと、しています。
「嫌われる勇気」の有効手段
では、「嫌われる勇気」には、何をしなければならないのでしょう。それには、こんな事が有効なのではないかとしています。
(1)今、現在抱えている問題のみに集中する。
(2)他の人と、自分を比べない。
(3)人をコントロールしようとしない。
(4)自分に何が出来るか棚卸してみる。
きっと、若い頃「嫌われる勇気を出せ!」と言った、呑んべいの上司は、人と比べない生き方をしていたんだと思いますが、
毎晩のように、酒の席へ私を誘っていた事は、「人をコントロールしない」と言う趣旨に反するように思えてなりません。
先ずは、自分に自信が持てる事が見つけられれば、それを磨き、自分を高める事で、他人の意見や、他人の動向に一喜一憂しないで、生きてゆく術を探し出せと言っているように思えます。
自分の考え方、持ち方一つで、世界は変えられるのでしょうか。
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