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アドラー心理学で読み解く相談/イラン攻撃の解決に悩むトランプたちの思惑


「嫌われる勇気」哲人と青年の対話

「嫌われる勇気」では、哲人と青年の対話形式の問答が出て来ます。

その中で哲人は、アドラー心理学が提唱する、「人の悩みのすべては、対人関係だ」と言い切っています。

そこで青年が哲人に尋ねます。

それはアメリカのイラン攻撃で、停戦協議が開始されましたが、未だ双方の攻撃が行われ、

アメリカもイランも戦争を止めたいと思っていながら出来ません。イランはホルムズ海峡封鎖を人質に強気でいます。

一方、トランプ氏は困っていながら強気の姿勢を崩さず、イスラエルのネタニヤフ氏は政権を追われる事を阻むために、戦闘を続ける姿勢に、

青年は哲人の解決策を求めます。

アドラー心理学の視点(すべての悩みは対人関係である、課題の分離、目的論など)を用いて、

トランプ氏、イラン、ネタニヤフ氏が絡む国際紛争の泥沼化について、青年と哲人の対話を覗いてみましょう。

「青年と哲人の対話:国際紛争と「対人関係」の闇」

青年:すべては対人関係の悩み、と言う欺瞞

【青年】
(憤慨した様子で、椅子から立ち上がりながら) 先生! 私はどうしても納得がいきません。

あなたが「人間の悩みは、すべて対人関係である」とおっしゃるのなら、この世界で起きている大惨事や、国家間の戦争もまた、単なる「対人関係の悩み」だと言うのですか!?

今、世界は緊迫しています。アメリカとイランの間で停戦協議が始まったと言いながら、裏では双方が攻撃を止められずにいる。

アメリカもイランも、本音では戦争を泥沼化させたくない筈なのに、引き下がれない。イランはホルムズ海峡の封鎖を「人質」にして強気に出ている。

それだけじゃない! トランプ氏は内心では困惑し、出口を模索しながらも、支持層の手前、強気の姿勢を崩せない。

さらにイスラエルのネタニヤフ氏は、自らの政権交代や失脚を恐れると言う、極めて個人的な保身のために、戦闘を継続しようとしている。

これが、あなたの言う「対人関係」の範疇ですか? 人命が失われ、世界経済が危機に瀕しているこの現実を前に、

アドラー心理学はどんな解決策を提示できるというのですか! 綺麗な言葉で片付けないでいただきたい!

哲人:国家もまた、個人の集まりである

【哲人】
(静かに紅茶をすすり、青年を穏やかな目で見つめる) 激しい憤りですね。

しかし、あなたが挙げられた複雑な国際情勢の構図こそ、まさにアドラーの言う「対人関係の悩み」そのものではありませんか。

【青年】
何ですって!? 国家の存亡や、地政学的な戦略が、個人の人間関係と同じだと言うのですか?

【哲人】
「国家」と言う巨大な生き物が存在して、それが勝手に意思決定をしているわけではありません。意思決定をしているのは、常に「個人」です。

トランプ氏、ネタニヤフ氏、そしてイランの指導者たち。彼らが抱えているのは、組織や国民、あるいは敵国という「他者」との関係性における、極めて人間的な葛藤です。

彼らは今、アドラー心理学で言うところの「権力争い(パワー・ゲーム)」と「復讐」のループに囚われているのです。

哲人:強気の姿勢という「安易な優越性の追求」

【青年】
権力争い、ですか……。しかし、彼らは一国のリーダーです。弱気を見せれば国が滅びるかもしれない。だから強気に振る舞うのは当然でしょう!

【哲人】
本当にそうでしょうか? イランがホルムズ海峡封鎖を人質にするのも、トランプ氏が困惑しながらも強気を崩さないのも、心理学的には「安易な優越性の追求」、あるいは「劣等感の裏返し」です。

自らの正当性を証明したい、相手に屈したと思われたくない、舐められたら終わりだ~これらはすべて、「他者からどう見られているか」と言う執着、
つまり「承認欲求」の奴隷になっている姿です。

彼らは「世界を良くしたい」という共通感覚(コモンセンス)ではなく、「自分が優位に立ちたい」と言う、私的な論理(プライベート・センス)で動いているのです。

【青年】
では、ネタニヤフ氏の姿勢はどう説明するのですか? 彼は「政権を追われたくない」と言う、明確な自己保身で動いているように見えます。これも対人関係なのですか?

【哲人】
それこそが最も顕著な例です。

彼は「政権を失った自分には価値がない」「他者から見放されるのが怖い」と言う、強烈な対人恐怖、劣等感に直面しています。

その恐怖から逃れるために、戦争という「課題」を利用して自らの権力を維持しようとしている。

アドラー心理学の「目的論」で言えば、「政権を守るために、戦争を続けるという手段を選んでいる」のです。

青年:では、どうすれば戦争を止められるのか

【青年】
(少し声を落とし、しかし鋭く詰め寄る) ……百歩譲って、彼らの動機が「対人関係の悩み」だとしましょう。

では、哲人。アドラーなら、この泥沼の戦争をどうやって解決するのですか?

彼らに「他者を信頼しなさい」とでも説得するのですか? そんな生ぬるい言葉で、銃撃が止まるはずがない!

【哲人】
解決への第一歩は、極めてシンプルです。それは「課題の分離」を行うことです。

【青年】
課題の分離? この状況で、誰の課題を分けると言うのですか?

【哲人】
今、彼らは互いの課題に土足で踏み込んでいます。

「相手が攻撃を止めたら、こちらも止める」「相手が譲歩したら、こちらも応じる」と言うのは、自分の行動の決定権を、他者に委ねてしまっている状態です。

トランプ氏やイランの指導者が成すべきことは、「相手がどう出るか(これは他者の課題)」を切り離し、「自分たちが世界の平和のために今、何が出来るか(これは自分の課題)」だけを冷徹に見つめることです。

相手が強気であろうと、復讐の連鎖を断ち切るために、まず自分が「勝敗の土俵」から降りる。これには、凄まじい「勇気」が必要です。

【青年】
勝敗の土俵から降りる……。しかし先生、先に降りた方が「負け」になり、屈辱を味わうことになるのではないですか?

【哲人】
だからこそ、アドラーは「対人関係の軸から『勝ち負け』を排除しなさい」と言ったのです。

国際政治において「譲歩=敗北」と捉える限り、戦争は永遠に終わりません。

対人関係を「競争」ではなく「仲間との協力」と捉え直す、つまり「共同体感覚」を国家規模で育むこと。これ以外に、根本的な解決策はありません。

青年:問われるのは、我々の「勇気」

【青年】
(沈黙の後、深く息を吐き出す) 他者を敵ではなく「仲間」と見なす……。

トランプ氏も、イランも、ネタニヤフ氏も、世界を敵と味方に二分して見ているからこそ、その認知の歪みが戦争を生んでいる、と言うことですか。

【哲人】
その通りです。そしてこれは、遠い国の大統領や首相だけの問題ではありません。

私たち個人が、家庭で、職場で、身近な人と「権力争い」をしてしまう構造と、全く同じなのです。

彼らに必要なのは、他者に支配されない勇気であり、嫌われることを恐れずに自らの課題を全うする「嫌われる勇気」なのです。

世界の平和を願うのであれば、まずは私たち自身が、身近な対人関係の競争から、降りる勇気を持つことから始めねばなりません。


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