水彩詩集 私の本棚は誰か◆エルニーニョ現象に引き裂かれる青年の心配
私の本棚は、誰かの孤独と繋がっている。
その書物は、誰かに読まれることを待っているのか?
青年は悩んでいました。それは、「エルニーニョ現象」のことです。それが原因で、大型の台風が発生し、日本は台風の直撃に遭っているからです。
このままでは、日本は、世界はどうなってしまうのか、国民の暮らしはどうなるのかと。そこで人生の師である哲人に、その答えを求めたのです。
【※この詩と絵は『嫌われる勇気』に登場する、哲人と青年の対話からインスパイアして、その世界観を形にしたものです。】
嵐の夜の幸福論 “青年と哲人の往復詩”
【第1連:青年の慟哭(どうこく)】
見てください、先生 窓の外で渦巻く、
あの暗雲を 遠い海の熱が 牙を剥(む)き
エルニーニョという理不尽が、
日本を、私の家を、
そして平穏な日々を 根こそぎ引き裂いていく。
あなたは言った。
「すべての悩みは人間関係だ」と 笑わせないで欲しい!
この怒りは、この恐怖は、
自然の猛威に向けられたものだ。
目に見えぬ気象の前に、
私たちはただ怯える家畜のようだ
この絶望も 人間関係だというのか、答えてくれ!
【第2連:哲人の静寂】
激しい雨の音が、書斎の窓を叩いていますね。
しかし、あなたの心を本当に叩いているのは
雨の雫(しずく)ではなく、あなた自身の「目的」だ。
自然には意志がなく、あなたを憎みもしない
あなたが本当に怯えているのは、
天災そのものではなく、
「思い通りにならない世界」で 他者とどう関わり、
どう生きるかという、未来の足音だ。
【第3連:青年の反駁(はんばく)】
逃げ言葉だ! 私は被害者だ!
家を壊され、明日を奪われた私に、何ができる?
怒ることでしか、この理不尽に耐えられない
天災のせいで、私の人生はめちゃくちゃになった
悪いのは私ではない、あの海だ、あの台風だ!
【第4連:哲人の光(課題の分離)】
気づいてください、若い友人よ。
「エルニーニョのせい」だと叫び続ける限り
あなたは自分の人生の手綱を、嵐に明け渡したままだ。
変えられないもの(天災)を 嘆くのをやめなさい
それはあなたの課題ではない、
地球の巡り合わせだ
あなたが変えられるもの(自分の生き方)に
命を吹き込みなさい。
嵐が吹くかどうかは、世界の課題
嵐の中でどう立ち上がるかは、あなたの課題。
【第5連:青年の目覚め】
……ああ、私は「被害者」という名の盾で
これからを生きる恐怖から、身を隠していたのか。
外の嵐を理由にして、周囲の人々に心を閉ざし、
自分の人生を 諦めていただけだったのか。
不条理な海を 呪うエネルギーを 私は、
私の足元を 固めるために使わねばならない。
【第6連:二人の共鳴(平穏のありか)】
【哲人】
平穏とは、外の風が止むことではありません。
どんな暴風雨の中にあっても
「私は私の人生を生きている」という、内なる静けさです。
【青人】
窓の外はまだ、激しい雨が降っている
けれど、私の胸の嵐は、今、静かに凪いでゆく。
変えられないものを受け入れ、
変えられるものを変えてゆく
その勇気を持って、私は明日へ歩き出そう。
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