不機嫌な人がいるだけで緊張するとき
職場に、いつも不機嫌そうに振る舞う人、いませんか。
返事がぶっきらぼう。
ため息が聞こえる。
机に物を置く音が強い。
特に、自分が何かを言われたわけではありません。
でも、その人が近くにいるだけで体がこわばってしまう。
「私が何か悪いことをしたかな」
「私に怒っているのかな」
相手の表情や声の調子が気になり、仕事をしながらも、どこかで様子をうかがい続けてしまう。
そして、
「まだ何も起きていないのに、こんなに緊張するなんて」
「このクセ、なんとか直したいんだけど…」
と、自分のことまでイヤになってしまうこともあるかもしれません。
そうした不機嫌な人に対して、私たちの心は「何を言われたか」だけに反応しているとは限りません。
表情、声の調子、ため息、動作の強さなど…。
そうした言葉以外の小さな変化も手がかりにして、
「このあと、何か起きるかもしれない」
と、心や体が先に身構えてしまうこともあるのです。
特に、過去に不機嫌な人から強く当たられたことがある場合や、相手が上司など簡単には距離を取れない人である場合。
そのときの経験が心に残っているほど、相手の機嫌の変化を早めに察知しようとしてしまうこともあるでしょう。
それは、まだ起きていないことを考えすぎてしまう「悪いクセ」といい切れるものでもありません。
見方を変えればそれは、何か起きたときに対応できるように、心と体が先に準備しようとしている反応ともいえる、自然な働きなのです。
ただ、ここで一つ、整理してみておきたいことがあります。
相手が不機嫌そうに見えること。
その機嫌を、あなたが何とかしなければならないこと。
この二つは、同じではありません。
もちろん、仕事上の確認や連絡、相談など、相手に関わる必要があることもあります。
自分に見直せる点がある場合もあるでしょう。
けれど、相手の返事が短い、ため息をついている、表情が険しい。
それだけでは、相手がなぜ不機嫌なのかも、誰に向けたものなのかも、まだ分かりません。
それでも緊張が強いと、
「私が何かしたのかもしれない」
「機嫌を悪くさせないようにしなければ」
「私が場を和ませたほうがいいのかな」
と、相手の機嫌が自分の原因で悪くなっていて、それを自分でなんとかしなければいけないのかと感じてしまうことがあるのです。
けれど、相手の機嫌には、相手の事情もあります。
忙しいのか、疲れているのか。体調が悪いのか。
ほかの仕事がうまくいかないのか。
仕事以外でなにか困りごとを抱えているのか。
あるいは、もともとの感情の表し方のクセなのか。
実際の理由を知ることはできないかもしれません。
でも「自分以外の理由も、十分にありうる」という事実を意識しておくことは、できるのではないでしょうか。
もし職場で不機嫌な人がいたら、まずは
私はいま、この人の不機嫌を感じ取って、身構えている。
と、自分の反応に気づいてみてください。
そしてそれから、
相手が不機嫌そうに見える。
でも、その理由も、私の責任かどうかも、まだ決まっていない。
と、実際に見えていることと、まだ分からないことを分けてみる。
不機嫌な人がいるだけで緊張したとき、すぐに「気にしないようにしよう」と頑張らなくてもよいのだと思います。
これを意識しても、緊張がすぐにゼロになるわけではありません。
それでも、必要以上に自分のせいにしてしまうときよりは、きっと緊張は少し和らぐと思います。
不機嫌の気配に反応した自分を責めそうになったときには、相手の機嫌まで全部背負おうとしていないかを、少しだけ見直してみてください。
相手が不機嫌であることと、あなたがその機嫌を引き受けることは、同じではありませんからね。
相手の不機嫌に気づくだけでなく、その機嫌によって自分の行動や一日の評価まで左右されてしまうときについては、こちらの記事でさらに詳しく扱っています。
