【創作BL】ネコ耳おじさんと金の鈴【後編】※R18
※前編および本編からご覧ください。
訳のわからないまま、桃治は久しぶりのプレイルームに連れ込まれた。
ここを使ったのはSwichの状態だったとき、キャストが足りないときにごくまれにだったが、至とは一度も使ったことがなかったっけ、と思い出す。
単純に、いつもと違う場所でしたくなっただけならよいが、先ほどは鈴女まで圧倒するほどのグレアを発していた至である。その可能性は著しく低く、自分が何か怒らせるようなことをしただろうか、と胸に手を当て目を閉じた。
「……桃治さん?」
「ん?」
「何してんですか?」
胸に手を当てて考えてみた、という回答に至はにこりとも笑わなかった。いつも自分の芝居では、笑ってくれるのに。
「なあ、俺、怒らせるようなことしたっけ?」
今日はちゃんとおはようのメッセージに返事もした。ちゃんと自炊して食事を摂った。酒も煙草も、身体に障らないように適度に控えている。水商売をこれからも続けるにあたって、至と約束をしたことは全部守っている。店に来て怒られる筋合いはまったくないのだが……と、思っていると、「跪いてください」と、いつもとは違う声音で言われる。途端に桃治の身体は、自分のコントロール下でなくなる。
丁寧な言葉による懇願の形をしているが、それは紛うことなき「命令」である。桃治の身体に刻まれたSubの因子が、自分だけの主人の命令に従う。抗うことなど、最初から許されていない。
床の上に膝をつくと、自然と至を見上げることになる。彼は桃治の頭に手をやった。まだ簡単な命令をひとつ聞いただけだから、「いい子」の報酬はもらえないはずだ。至は頭を撫でてくれるわけでなく、桃治の頭についていたネコの耳を模したカチューシャを取り去っただけだ。
「僕の前以外で、可愛い格好しないでください」
「可愛いってお前……俺のこといくつだと思って」
三十六、と即答された。七月で三十七、と誕生日も覚えてますアピールをされて、満更でもなくなってしまうあたり、我ながら単純である。
「年なんて関係ないでしょう。可愛いものは可愛いんです。あ、ほら、尻尾も取りますよ。『こっちにお尻向けてください』」
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