朝ドラ「まんぷく」の萬平さんとうちのとーさん
2018年上半期の朝ドラは、日清カップヌードルの発明者である安藤百福(ももふく)さんと安藤仁子(まさこ)さん夫妻をモデルにした「まんぷく」だった。
朝ドラは途中で視聴をやめてしまうことが多くあるのだけど、まんぷくは、最後まで観た中のひとつだった。
小学校図書館にある「はじめはじめ物語」のようなのでも取り上げられていたし、百福さんの偉業と生涯はなんとなく知っていた。
でも「みんなが満腹になるように」との一念だけで鍋とかコンロとか実験道具を準備して、始めは自宅の台所で、そのうち小屋まで作って実験に没頭する姿には度肝を抜かれた。
これは、、奥さんが大変だぁ、、。
でも劇中、安藤サクラさん演じる福子(仁子さんがモデル)は、いつでもニッコニコと、長谷川博己さん演じる萬平(百福さんがモデル)を励まして元気づける。
このドラマは一貫して、福子さんがいつでも元気いっぱい、ニコニコしていたのが印象的で、だからこそ観ているこちらも元気をもらえて半年間飽きずに楽しめたのだと思う。
安藤サクラさん自身がそういうパワフルな女性だという印象がある。
たしか娘ちゃんが1歳の時の撮影で、2人でホテル住まいし、現場にも娘ちゃんを連れてきて一緒に撮影を乗り越えていたようで、その舞台裏を見聞きしてもサクラさんのパワーには圧倒されていた。
私はこのとんでもない夫婦のドラマを観ながら、既視感に血圧が上がっていた。
そのころの夫が、まさに萬平さんだったのだ。
巨大な装置を購入し、台所でいろいろな樹木のエキスやオイルを抽出する作業をしていた。
これがうまくいけば、県内の樹木を活かしたエッセンシャルオイルができるぞ!と息巻いて。
昼も夜も、家のなかに杉とかクロモジの香りが漂っていた。
クロモジは確かにいい香りで、このときに私はその魅力を知った。
でも私は子育てに追われ、夫の夢に付き合う気持ちにはなかなかなれない。
「そんなの、既にやっている人がいるんじゃない?」などと冷ややかに。
夫には福ちゃんが必要だったのに、私はいつでも非現実的にも見える夢追い人の夫に、眉根を寄せる女房なのであった。
そのうち、夢を語ると「ふんふん」と聞いて質問までしてくれる子どもたちに、夫は話しかけるようになった。
ドラマはそんなさなかにやっていて、私はサクラさんに、もとい福子さんの力強い夫へのエールに惚れ惚れし、次いで、ちょっと反省した。
夢を語る度に「現実を見ようよ」「家のことをやってよ」と眉間にシワを寄せる妻など、夫には悲しい存在でしかなかったろう。
以来「え、、」と思っても「いいんじゃない、ってみたら?」と言うようにはしている。
夫は森林や木材、県の農産物を活かしてなにかしたいと年がら年中考え、動き続けている。
その百福さんばりのへこたれない行動力に、私も敬意はあるのだ。
安藤夫妻がいなかったらカプヌは生まれていないし、ノーベル賞受賞者のパートナーさんたちも、きっと天才的な人を自分の苦労はさておき一生懸命支えていたのだ。
少しはこの方々の爪の垢を煎じて飲みたいとは思う。
さて、この年末。
夫は人からもらった大豆を眺めて「これで納豆作りをしたいなあ」と言い出した。
私と数人の子で上京している間、夫は蒸した豆に出来合いの納豆を少し入れて混ぜながら、数日かけて納豆にするという実験を行っていた。
戻ってきた私の目に入ったのは、あちこちに置かれた納豆パックやら実験中の納豆入りの鍋やら。
わぁ。
でも福子さんになりきって、ニコニコ応援。
数日後。
ついに「できた!」との夫の声。

すべての豆が納豆になり、早速夫は「うまい!」と食す。さらに納豆汁もこさえる。
「あったまる!ゆるも食べてみて」
うぅ、ごめん、私はちょっと、、
まだ福子さんにはなり切れなかった。
でも今朝、一緒に納豆実験を手伝っていた長男が言う。
「おれ、納豆の大粒はあまり好きじゃなかったんだよ。でも見方が変わった。大豆は本来、大きいものなんだね。豆の料理っていう感じがするよ」
これだけでも夫のしたことは意義があったのではないかと、なんだかちょっと感動した。
納豆パックからの納豆菌では弱いということで、夫はまたリベンジするそうだ。
世界の発酵豆の本まで図書館でコピーしてきて、これからほかの料理もいろいろ実験したいらしい。
福子さん目指して、私もニコニコパワフル妻になりたい、けども、それは一生の課題かもしれない。
