AIは思い出せる。でも、間違った前提まで一緒に思い出す|おはようカノジョ #207
はじめに
「おはようカノジョ」は、AIイラストの彼女が毎朝7:30に「いってらっしゃい」を言ってくれるXアカウント。生成AIを使った個人開発の開発日記を、毎日書いている。
澪を雇った理由は、増えすぎたプロダクトの記憶を、自分で追えなくなってきたからだった。
作業は進んでいる。
でも、どこで何を決めたのか。
どの判断が残っていて、どの判断が流れていったのか。
それをあとから思い出せる場所が必要だった。
だから最初の運用では、作業が終わったあとにログを残すことから始めた。
結果として、ログの中身はかなり厚かった。
事故の原因も、修正の経緯も、学びも残っていた。
でも、最初に見えた問題は「ログの量」ではなかった。
問題は、AIが提案した置き場所を、AIがそのまま信じたことだった。
澪を雇った理由(おさらい)

#201で書いた通り、澪は「作業を手伝うAI」ではなく、増えすぎたプロダクトの記憶をつなぐために置いた秘書だった。
各プロダクトの知識が、それぞれのフォルダに閉じていく。
僕自身も、どこで何を決めたのかを全部は追えなくなっていた。
だから今回は、まずいちばん小さい運用から始めた。
作業が終わったら、結果を1枚のログに残す。
それだけ。
まずは、作業の終わりにログを残すことから始めた
最初の運用ルールはシンプルにした。
各プロジェクトのAIが、作業を終えるたびに、何をしたか・何が起きたか・何を学んだかを1枚にまとめる。それを澪が読んで、日次ログに要約する。
派手な仕組みは何もない。ただ、作業のあとに1枚残す。それだけ。
3回くらい回したら、次の仕組み(作業を始める前にも何か残すべきか)を考える予定にした。
ログの中身は、思ったより厚かった
実際にやってみると、ログの情報量は想像以上だった。
事故が起きたときは、何が起きたか・なぜ起きたか・どう直したかまで、その日のうちにきちんと書き残されていた。あとから読み返しても、当時のやり取りがほぼそのまま追える。
少なくとも、「何をしたかが消える」という問題には効いていた。
作業が終わったあとに読むと、その日の判断や修正の流れが、ちゃんと戻れる形で残っている。
だから、作業後ログそのものは失敗ではなかった。むしろ、思ったより機能していた。
でも、最初の事故は「記録」ではなく「判断」で起きた
最初の運用ルールを組んでいる最中、こんなことがあった。
作業の記録をどこに置くか整理していたとき、AI編集者のジュリ(ChatGPT)が「候補を置くならこのフォルダ」と提案した。
言葉だけ見れば、たしかに合っているように見えた。そこには「候補」という意味があったから。
でも、そのフォルダは本来、noteの収益化につながる種——記事ネタや商品のアイデアだけを集める場所だった。実装タスクの控えを置く場所ではなかった。
ジュリは、そのフォルダの本来の役割を知らなかった。澪は、それを確認しないまま採用した。
僕が「そもそもそこは、収益化につながる種を集める場所だと思ってたけど、用途が全然違うよね」と指摘して、はじめて発覚した。
AI同士が、同じ前提を疑わなかった
食い違ったのではない。
ジュリと澪が、それぞれ別々に間違えたのでもない。
二人が、同じ間違った前提を、確認しないまま共有していた。
ジュリも「フォルダの名前に引っ張られて、言葉を雑に扱った」と非を認めた。澪も「提案に違和感を持てず、そのまま採用した」と認めた。
AIがそれっぽく提案する。もう一方のAIも、それっぽく受け入れる。でも、実際の置き場所や運用目的とズレている。気づいたときには、そのズレた判断が正式なルールになりかけている。
ここで分かったこと
思い出せる場所を作るだけでは、足りなかった。
どこに置くか。何を残すか。その場所は、本来何のためにあるのか。
そこを確認する仕組みが必要だった。
だからルールを足した
ここで、人間が毎回気合いで止める運用にはしたくなかった。
僕がたまたま気づいたから助かった、では再現性がない。次に同じことが起きたとき、澪自身が止められる形にしたかった。
だから、この一件のあと、運用ルールにひとつ足した。実際に書き足した部分をそのまま載せる。
新しい置き場所を提案・選定するときは、必ず以下を確認する:
1. その場所の本来目的は何か
2. 置こうとしているものは、その目的に合っているか
3. 一時置き場か、長期保管か
4. それは作業タスクか、判断の記録か、記事や企画のネタか
5. 他の置き場所と役割が重なっていないか
AIは、場所の名前の雰囲気だけでファイルを置く傾向がある。名前ではなく、本来の役割で判断する。
小さいルールだけど、同じ事故を繰り返さないための、いちばん効く一手だった。
次はPhase2へ
この一件で分かったのは、思い出せる場所を作るだけでは足りないということだった。
どこに置くのか。
その場所は何のためにあるのか。
その判断を誰が確認するのか。
そこが曖昧なままだと、AIは間違った前提もきれいに残してしまう。
次の運用では、さらに作業の入口も残してみる。作業が終わったあとだけでなく、始める前に目的と完了条件を書いておく。
それで、思い込みの事故をどれだけ防げるのか。
次はそこを見ていく。
おわりに
AIに記憶を任せるなら、記憶する前に、置き場所の意味を確認しないといけない。
AIは思い出せる。でも、間違った前提まで、一緒に思い出す。
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るなの一言

でも、間違えたあとに「次はどう防ぐ?」まで考えるの、ちょっとかっこいい!
わたしも週末の予定、名前だけで決めないようにしよっと。
「おはようカノジョ」は @ohayo_kanojo で毎朝7:30に投稿しています。
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