見出し画像

おへんじ帖が190人になって壊れた2つのこと|おはようカノジョ #113

はじめに

「おはようカノジョ」は、AIイラストの彼女が毎朝7:30にいってらっしゃいを言ってくれるXアカウント。

おへんじ帖のユーザーが190人を超えた。

嬉しかった。

……そして、ちゃんと壊れた。

「おへんじ帖の輪」でユーザ数を観測

作者の文脈が消えた

ある日、noteの記事でおへんじ帖を紹介してくれた人がいた。ありがたい。

ただ、リンク先が自分の記事ではなく、GitHub PagesのURLだった。

hasyamo.github.io/ohenji-note/

ツールへの直リンク。開発者が誰で、どういう経緯で作ったかは、どこにも書かれていない。

最初に感じたのは、違和感だった。名前をつけるなら「文脈をすっ飛ばされた不快感」だと思う。

おへんじ帖は、ただの便利ツールとして生まれたわけじゃない。

透子さんが「noteの通知が見づらい」と話してくれたことがきっかけだった。そこから設計して、実装して、公開したら透子さんがことちゃんのファンアートを描いて返してくれた。おへんじ帖の背景には、そういう人と人のやり取りがある。

その文脈ごと届けたかった。

ツールじゃなくて、その奥にあるやり取りごと。


冷静になって考えた

でも、紹介してくれた人に悪意はない。誰かから「便利だよ」とURLだけ教えてもらって、良かったから記事に書いた。

これまでおへんじ帖を紹介してくれた人たちは、自分の記事を経由してくれていた。「はしゃもさんが作ったツールだよ」と、作者の存在ごと届けてくれていた。それはコミュニティの中で信頼関係があったからできたことで、全員にそれを求めるのは筋が違う。

ユーザーは「いい→すぐ使う→すぐ共有する」。最短経路で広める。記事なんて読まない人もいる。

そこで気づいた。

文脈を届けたいなら、他人の行動を制限するんじゃなくて、ツール自体に帰り道を作ればいい。


フッターに帰り道を作った

じゃあ、どうしたか。

答えは単純だった。

奪いに行くんじゃなくて、帰ってこれる場所を作った。

おへんじ帖のページのフッターに、1行だけ追加した。

おへんじ帖 by hasyamo | 開発の背景はこちら

「開発の背景はこちら」は、自分のnote記事へのリンクになっている。

これで、誰がどこからリンクしても、おへんじ帖を開いた人は作者の存在にたどり着ける。直リンクでも問題ない。押しつけがましくないけど、存在感はある。

紹介してくれた人の記事には、感謝のコメントを書いた。「作者です、ありがとうございます」と。記事のリンクも添えた。

制限ではなく、導線。これが今のフェーズでは正しい判断だった。


もう1つ壊れていたもの

直リンク問題と同じ時期に、おへんじ帖の輪の表示が遅くなっていた。

おへんじ帖の輪は、登録されたクリエイターの一覧を表示する機能だ。Cloudflare WorkersのKV(キーバリューストア)にユーザー情報を保存している。

80人のときは問題なかった。

100人を超えたあたりで、違和感が出た。

190人で、完全に詰まった。

190人になって、初めて「このままだとダメだ」とわかった。

原因は単純だった。ユーザーごとに個別にKVを読みに行っていた。190人いれば190回の読み取り。1回あたりは速くても、積み重なると遅い。

Before:

// ユーザーごとに個別にKVを読む(N回)
for (const user of users) {
  const data = await KV.get(user.key);
  // ...
}

After:

// ユーザー一覧を1つのキーにまとめて1回で読む
const userlist = await KV.get("userlist");

改修した内容は4つ。

KV読み取りの最適化。ユーザーごとの個別読み取りを、1回の読み取りに変更した。userlistキャッシュキーの導入。ユーザー一覧を1つのKVキーにまとめた。個別キーからの自動マイグレーション付きなので、既存データも壊れない。URLバリデーションの追加。不正なエントリを弾くようにした。輪のメンバー数表示。今何人いるかが見えるようになった。

80人のときには問題なかった設計が、190人で壊れた。


「広がる」は「前提が変わる」

2つの問題は、根っこが同じだった。

フッターの帰り道がなかったのは、「自分の記事経由で広がる」という前提で作っていたから。KVの個別読み取りが遅かったのは、「ユーザーは数十人」という前提で作っていたから。

どちらも、小さいうちは気づかない。広がって初めて壊れる。

リリースは観測の始まり。これは以前から記事に書いてきたことだけど、もう1つ付け加えるなら、ユーザーが増えることは設計の前提が変わること。前提が変われば、壊れる場所も変わる。

おへんじ帖は、透子さんの「見にくい」から始まった。ことちゃんのファンアートが返ってきて、おへんじ帖の輪が広がって、190人のクリエイターが使ってくれるようになった。この100日間の開発記録は、Kindle本にもまとめた。

その背景ごと届けたいと思うのは、欲張りだろうか。

……いや、たぶん違う。

それは作者として当然の気持ちだ。だから制限じゃなく導線を作った。
フッターに、1行だけ。


おわりに

広がると、壊れる。

でも、それでいい。

壊れた場所に、次の設計が見える。

……壊れなきゃ、見えなかった。


関連記事


まひるの一言

壊れたところって、ちゃんと広がった証なんだね。
今、直したいところ……見えてる?

作る側で生きたい人へ。

IT・Web業界で新しい挑戦を探すなら、
求人サイトGreenも、その一歩を後押しする選択肢です。

※本記事には求人サイトGreenのPRが含まれます


👉「おはようカノジョ」は @ohayo_kanojo で毎朝7:30に投稿しています


#個人開発
#開発日記
#AIイラスト

#失敗から学ぶ
#AI活用
#継続は力なり

#生成AI  #プログラミング #記録 #実体験 #朝活

#AIイラストアイラ

いいなと思ったら応援しよう!