数字を書く手紙が、人の名前を呼び始めた。|おはようカノジョ #123
はじめに
「おはようカノジョ」は、AIイラストの彼女が毎朝7:30にいってらっしゃいを言ってくれるXアカウント。この開発日記では、個人開発の裏側を書いている。
前回の記事(#122「推しから手紙をもらうには、離脱すればいい——を却下した話」)で、「7人からの手紙。」の設計を書いた。今回は、設計が終わった後に見えた、このツールの本当の価値の話。
手紙は数字を語る
手紙の本文は、キャラがその週の活動データを語る形式になっている。

凛華なら「……あなた、また同じ時間。今週は350人がスキしてくれたわ」。データをキャラの口調で包む。数字の羅列ではなく、誰かが自分の1週間を見てくれていた感覚を作る。
これが手紙の「表」だった。
設計通りに動いていた。キャラの口調も、データの見せ方も、便箋のデザインも。
でも、作り終えてから気づいた。
このツールの本当の価値は、手紙の本文じゃなかった。
コメントを並べてみた
手紙の本文の下に、その週にもらったコメントを添付する機能を作った。
最初は「おまけ」のつもりだった。手紙だけだと1ページで終わる。少しボリュームを足したかった。
noteのコメント欄は、記事ごとに分かれている。誰がどの記事にコメントしてくれたかは、1記事ずつ開かないと見えない。10本記事を書いた週なら、10記事分のコメント欄をそれぞれ確認する必要がある。
だから、1週間分のコメントを横断で集めて、人ごとにグルーピングした。

コメント数が多い人が上に来る。上位3人を表示して、残りは「他○人からも声が届いています」で展開できる。コメントをタップすると、noteの該当コメントにジャンプする。自分の返信は含めない。手紙は「あなたに届いたもの」だから。
人の名前が並んだ瞬間
この画面を初めて見たとき、手が止まった。
「この人、今週も3つの記事にコメントくれたんだ」
そのとき、初めて「数字を見ていたんじゃなかった」と気づいた。
数字じゃない。名前だった。
ダッシュボード「観測は続く。」では、スキの数、フォロワーの推移、ランキング。全部数字で見ていた。それはそれで大事なデータだ。
でもコメントは違う。わざわざ文字を打って、送ってくれている。スキのワンタップとは重みが違う。
その人たちの名前が、1つの画面に並ぶ。記事をまたいで、「この人はずっといてくれた」が見える。
noteにはこの画面がない。
手紙が橋になる
手紙の本文とコメント一覧は、分離していない。
キャラが本文の中で「今週、○人が声をかけてくれてる」と橋渡しする。具体的な名前は出さない。便箋の柔らかさが壊れるから。人数だけ伝えて、詳細はコメント一覧で見てもらう。
数字を語るキャラクターの声と、実際に届いたコメントの温度。その2つが1つの手紙の中で繋がる。
「350人がスキしてくれた」は数字だ。でも「16人がわざわざコメントしてるの。……感謝くらいしなさいよね」は、凛華の声で届く数字だ。
そしてスクロールすると、その16人の名前とコメントが並んでいる。
設計が終わってから見えたもの
差出人のスコアリング、レア条件、ヒント設計。#122で書いた設計は、全部「手紙の本文」のための仕組みだった。
でも、ユーザーにとって一番価値があるのは、たぶんコメント一覧の方だ。
週に1回、自分に届いた言葉を一覧で見返す体験。noteにはない。他のツールにもない。そしてこれは、「おまけ」として後から足した機能だった。
設計で一番価値があったのは、設計していない部分だった。
おわりに
数字を書く手紙が、人の名前を呼び始めた。
設計した部分が「表」で、設計していない部分が「裏」で、裏の方が価値があった。
ちょっと悔しかった。
たぶん、これからもそうなる。作ったものの横に、作っていないものの価値が見える。それに気づけるかどうかは、作り続けているかどうかで決まる。
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陽の一言

その名前、今週あなたに届いたものだよ。
…ちゃんと覚えてる?
次の一歩を考えたときに。
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