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推しから手紙をもらうには、離脱すればいい——を却下した話|おはようカノジョ #122

はじめに

「おはようカノジョ」は、AIイラストの彼女が毎朝7:30にいってらっしゃいを言ってくれるXアカウント。この開発日記では、個人開発の裏側を書いている。

前回の記事(#121「Spotify Wrappedを週次で作ろうとして、やめた。」)で、メンバーシップの第2ツール「7人からの手紙。」のコンセプトを書いた。今回は、その設計で何を捨てたかの話。


7人に条件を割り当てる

毎週日曜20時に、7人のうち1人から手紙が届く。誰が届くかは、その週の活動データで決まる。

最初に決めたのは、キャラと条件の対応だった。7人それぞれに、違う条件を割り当てた。投稿の頻度、スキの伸び、フォロワーの変化。活動データのどこを見るかで、届くキャラが変わる。

条件を決めるのは簡単だった。問題は、この設計が最初から壊れていたことだ。


毎週月子しか来ない

自分でテストして、すぐに気づいた。

自分は毎日投稿している。つまり「連続投稿」の条件を毎週満たす。月子が永遠に来る。

条件を1つずつ評価して、最初にマッチしたキャラを選ぶ設計だった。優先順位が上のキャラが勝ち続ける。毎日投稿しているクリエイターには、月子以外の手紙が届かない。

1人しか来ないなら、7人いる意味がない。

これでは零さんしか喜ばない。


3層スコアリング

条件の優先順位を捨てた。代わりに、全条件を同時に評価するスコアリング方式に変えた。

第1層はベース条件。7人分の条件を同時に判定して、満たしたものすべてにポイントを付ける。毎日投稿していれば月子にポイントが入るが、同時にスキが伸びていれば陽にも入る。

第2層は記事特性ポイント。タイトルの長さ、コメント率、スキのバラつき。データの特徴からさらに差をつける。

第3層は直近の差出人への減点。1週前に来たキャラは-50点、2週前は-30点、3週前は-15点。同じキャラが連続しにくくなる。

結果、5週間で4キャラが登場するバランスになった。

「毎週同じキャラしか来ない」問題は、これで解決した。

……ただ、ここでやっと"普通の設計"になっただけだった。


離脱すればいい——を却下した

凛華の条件を決めるとき、最初の案は「離脱が多い週」だった。

凛華はツンデレで、叱咤激励型のキャラだ。活動が落ちた週に来て、「……サボってんじゃないでしょうね」と言ってくれる。設計としては自然に見えた。

でも、すぐに気づいた。

凛華から手紙をもらいたいユーザーが、意図的に離脱する。投稿をやめる。スキを減らす。推しに会うために、活動を止める。

ツールが離脱を推進している。

この時点で、設計としては破綻していた。

却下した。凛華の条件は「投稿時間の一貫性」に変えた。毎日同じ時間に投稿する、という地味だけど「続ける」方向の条件。凛華らしさは、手紙の文面で出せばいい。

条件設計で一番大事だったのは、「ユーザーが自分でコントロールできること」と「続ける方向に働くこと」の両立だった。


しずくだけ、条件がない

しずくは、どの条件にも当てはまらない週に届く。

レア手紙もない。他の6人にはレア条件がある。2つの条件を同時に満たすと、カードに「RARE」の文字が入り、開封演出が変わり、キャラが普段言わないことを言う。

しずくにはそれがない。しずく自身が最レアだ。

何も起きなかった週。数字が動かなかった週。投稿できなかった週。そういう週にだけ、しずくが来る。

「……大丈夫。あなたの言葉は届いてるから」

何も起きなかった週を否定しない。それがしずくの設計だった。


レア手紙はAND条件

最初、レア手紙は単独条件で出していた。「7日連続投稿で月子レア」。これだと、毎日投稿している人は毎週レアになる。

レアが毎週来たら、レアじゃない。

ジュリに指摘された。「自分でコントロールできる条件に寄せろ。でも簡単すぎたら意味がない」。

AND条件にした。単独の条件では足りない。2つの条件を同時に満たして、初めてレアになる。毎日投稿するだけでは足りない。中身も読まれた週にだけ、レアが届く。

本当にいい週だけ、特別な手紙が届く設計。


ヒントは匂わせる

誰が来るかの条件は、アプリ内で直接は教えていない。

代わりに「ヒントページ」を作った。ヘッダーにある赤い封蝋のボタンを押すと開く。7人のキャラが並んでいて、それぞれに匂わせセリフが書いてある。

ヒントページでのキャラ紹介

通常の手紙にも、さりげなくヒントが仕込まれている。締めのセリフに織り込む形だ。月子なら「来週もちゃんと書くのよ。……見てるから。」。直接は言わない。でも何となく、次に誰が来るかが匂う。

条件を全部公開する選択肢もあった。でも、推理する楽しみを残したかった。「次は誰が来るんだろう」が、日曜の夜を少しだけ楽しくする。

全部教えた瞬間、この仕組みはただの仕様になる。


おわりに

設計で一番時間をかけたのは、何を作るかではなく、何を捨てるかだった。

離脱条件を捨てた。単独レアを捨てた。条件の全公開を捨てた。

捨てたものの数だけ、このツールの輪郭がはっきりした。

次の記事では、設計が終わった後に見つけた、このツールの本当の価値について書く。


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月子の一言

捨てる基準があるなら、迷う必要はないでしょう。

あなたは何を残すか、もう決めてるの?

で、次は何やる?

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👉「おはようカノジョ」は  @ohayo_kanojo  で毎朝7:30に投稿しています


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