【#マスクド★note2副賞②】骨皮筋衛門の青春小説作家アージ救出大作戦
こちらはアージ|arjiさんに捧げる#マスクドnote2の「はそやm賞」です。くだらなさを追求しています。広い心で笑ってお読みください。副賞発表の順番はコメント欄の記載順となっております。
「なに?青春が盗まれただと?」
令和の万能ヒーロー骨皮筋衛門が眉根をひそめる。
「正確には青春小説の第一人者アージさんの行方がわからないです」
部下がやわらかに筋衛門の言葉を補足する。しかし、彼の声色には筋衛門への尊敬がみっちりとつまっていた。部下にとって筋衛門はこの世の正義そのものだからだ。尊敬して止まない相手である筋衛門へ発言をする時、部下は崇拝の念を忘れたことがない。
「ええ!私アージさんの描く柔らかな世界が大好きなのに!」
「あの優しさにいつも癒されているんですよ!」
「もうすぐ発売の新刊、どうなるのかしら?」
署内に動揺が走る。普段は優秀な女性陣も今を時めく作家アージの行方がわからないと聞き、悲鳴が止まらない。
「大丈夫だ……安心したまえ」
筋衛門は悲しむ女性陣に慈愛溢れる笑顔を向けるとすっと闇と同化した。
「筋衛門さんが闇に潜られた」
筋衛門スマイルに悩殺された女性陣のかわりに、部下が潜入捜査に入ったことを告げた。
☆彡☆彡☆彡
「はっ!ここはどこだ!」
作家アージが気づいたその場所は薄暗い洞窟のようなところ。パソコンが置かれた机の前に座らせられている。いったいここは、と立ち上がろうとして動けないことに気づく。椅子にがっちりと縛り付けられた状態に気づき、作家アージは愕然とした。
「これは……いったい」
不思議なシチュエーションに作家魂を揺さぶられ、アージは周囲を観察する。すると目の前にある高い壇に気づく。壇上には男が1人ふんぞりかえって座っている。下卑だ笑みをたたえた男は全身に傷を負っていた。
「どうしたんです?その傷?」
「これは骨か……そんなことはどーでもいい!」
甲高い声で男は叫ぶ。
「いや、どうでもいいってことでは。あれ?今骨皮って言いかけました?」
「うわあああ!五月蠅い五月蠅い!」
ボリュームアップした甲高い声に作家アージは耳を塞いだ。色々と気になるが今は黙っているのが得策のようだ。
作家が黙ると壇上の男が再び口を開く。
「俺の偉業を宣伝するお仕事小説を書け。青春味もたっぷりそえた内容で」
「?」
初めて会ったのに偉業を宣伝?しかも椅子に縛り付けられた状態で、冴えない風体の傷だらけの中年男性の青春味たっぷりのお仕事小説を書けだって?
アージの脳内は「?」で埋め尽くされた。
下っ端の部下が恐る恐る話しかける。
「ボス……青春というにはあまりにお年を召されていらっしゃるのではと」
「五月蠅い五月蠅い五月蠅~い!!!」
癇癪を起し顔を真っ赤にし手足をジタバタさせるボスと呼ばれる男。感情に任せて怒ってみたが、傷が相当痛むのだろう。すぐに顔を青ざめさせ、痛い痛いと大騒ぎ。間抜けそうな周囲の人間が「ボス大丈夫ですか」とワラワラと駆け寄る。
この間抜けっぷり
そして薄暗い洞窟
作家ならでは鋭い洞察力を発揮したアージはここは悪の組織イービル・フラワーの秘密基地、壇上の男はそのボスだと判断した。しかし、なぜイービル・フラワーは自分を誘拐したのだろう?
「つべこべ言わずに女のハートを鷲掴みにする小説を書け!」
信号のように顔色を赤青と変えながらボスはアージに命令する。
「無理です」
即座に断る作家アージ。いくら創作の世界とはいえ、デタラメすぎる内容は書けない。それにボスでは青春小説を書く気になれないし、悪の組織を舞台としたお仕事小説だなんて。
「作家としての矜持は曲げられません!」
神々しいまでの信念で断るアージにボスは少したじろいだが、すぐにニヤりとする。
「そこまで強情を張るなら、こちらにも考えがある」
クイっと部下に向けて顎を動かす。頷いた部下が大きな機械を持ってきた。
「!」
ドラマでしかみたことのない、大型のパーマ器のようなものがアージの後ろに置かれた。
「ふっふっふ。これをかぶると俺への賛辞がお前の脳に流れ込む。お前の意思とは関係なくその賛辞はお前のゴールデンアームを動かし柔らかな文体で女性のハートを鷲掴みにする小説を書き出すのさ」
その本が出版されれば俺を恋い慕う女性が世の中に溢れ、筋衛門の人気など……ここまで呟いたときだった。
「そうはさせない!」
涼やかな声と共にふくよかなボディラインが洞窟の闇から浮かび上がる。
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン!
電光石火の勢いで秘技は繰り出され、イービル・フラワーの部下達が次々と倒れていく。
「ほ、骨皮筋衛門さん!」
驚くアージの横で筋衛門が柔らかな秘技を披露した。
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン♪
気づいた時にはアージは骨皮筋衛門にお姫様だっこをされ、救出されていた。
「アージさん、遅くなって申し訳ない」
優しく作家アージを地面に下ろした筋衛門は、丸みを帯びた優美な身体を宙に浮かばせ壇上のボスの元へ。
ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン!!!
「救出ボタンでも秘技でも飛ばされるのはイヤダァァ」
ボスは遥か彼方へと飛んで行った。
☆彡☆彡☆彡
「筋衛門さん、ありがとうございます。なんとお礼を言ったら」
「礼など要りません。新刊を出版し、世の女性の心を癒してください」
涼やかな声を残し、骨皮筋衛門は闇に同化した。
「筋衛門さん……」
作家アージの脳内で、新作のプロットが動き出した。
☆彡☆彡☆彡
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アージ|arjiさん!全身全霊でふざける機会をくださり、ありがとうございました!
素晴らしい企画を仕切ってくれたすのう工場長と波さん、ありがとうございました!
