【#創作大賞感想】紅の中にヒカリを求めて
昨年の「バンビィガール」以来、オガワヒカリさんの文章のファンです。電子書籍「なんのはなしですか(どうとしているとしか編)」で、嬉しいことにご一緒させてもらってます。それに載っているエッセイの軽妙洒脱さに舌を巻いております。絶妙なユーモアがもうね、脱帽です。思わず笑みと脱力(?)がこぼれる文章にたまらない魅力を感じます。
ちなみに私は「なんのはなしですか」版「骨皮筋衛門」で参加。読み返したのですが、
「どうしてこんな話を思いついたのだろう」
と不思議な気持ちになりました。ここでしか読めない「骨皮筋衛門」が気になる方はぜひポチっとしてみてください!ねずみ様と化け物ちゃんの「なんのはなしですか」バージョンもありますよ♪
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昨年に「バンビィガール」を読み、もっと早く出会いたかったと思わせてくださったオガワヒカリさんは、今年も創作大賞に4作品で挑戦されています。
Talesには「ジジドル☆ババドル」(完結)「バックヤーード!!」(連載中)
noteでは「神楽坂、スカートは紅し」(完結)「モストマスキュラー!」(連載中)
今回私が感想文を書かせていただくのは「神楽坂、スカートは紅し」です。
オガワヒカリさんの文章が肌に合っているらしく、どれも楽しく読ませていただいているのですが、この神楽坂は魂が震えてしまったため、早いうちから「感想文を書かせてください!」と直接申し出ていました。
前置きが長くなりましたが、感想文、始めさせていただきます。
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赤いスカート、いつぐらいから履いてないかなと神楽坂を読みながら、ぼんやりと考えました。赤いスカートを無邪気に履きこなせるのは親の保護下にいる小学生くらいまでではないでしょうか。赤いスカートを見ても「綺麗だな」「可愛いな」程度で気軽に履いていたと思います。
では「紅」は?「紅」はそこまで気軽に履けるでしょうか?赤より少し暗めの赤、いや紅というべきでしょうか。社会人2~3年目で暗めの赤、紅色の夏物のツーピースを買いました。ちょっと自分を励ますために買ったと記憶しています。それは新人と呼ばれなくなった私にとって、選ぶ必要がある色でした。このツーピースを身に着ける日は、仕事で勇気が必要な時だったと思います。モノトーンの服からは得られないようなエネルギーを私は「紅い」ツーピースから得ていたのです。「紅」の中に自分だけのヒカリを見つける儀式のようなものでした。
神楽坂の主人公茉侑は、未来のパートナーを予感させる航大の後押しもあり、紅いスカートを身に着けられるまでになります。
神楽坂にたどり着いた時、茉侑は「紅」を選択できる力はなかったのですから、すごい成長です。悲しく苦しい過去が、たどり着いた神楽坂で少しずつ癒され「紅い」スカートを手にできるまで回復します。出会った人から、動物から、町が持つ空気から。偶然や奇跡、運命が重ならなければ茉侑は「紅」に中に自分だけのヒカリを見つけらなかったでしょう。
人は生きて行く上で、多種多様な喜怒哀楽を経験します。誰も避けて通れません。その経験は生きる力にも、奪い取る力にもなるのです。その影響は百人百様で、どう影響するのかはわからず、重さは誰とも比べられません。辛さを克服するには自分自身が強くなるしかないのですが、その強さは自分だけでは得られないのです。手を差し伸べる誰かがいて初めて「自分だけの強さ」は得られます。
その差し伸べられる手は、日常の中にそっと存在します。
日常の何気ない風景の中に自分の力となる誰かがいる、
だから諦めるな。
生きることを諦めるな。
愛することを諦めるな……
この小説はそれを教えてくれるのだと感じました。
穏やかに傷を癒す雰囲気で始まったこの作品、最後の最後ですごい事件が起きます。「ぎゃあああ(゚д゚)!」と私、叫んでしまいました。おいおい、紅いスカートでジーンと来たのに事件か、とひとりツッコミもしました。結局、再び私の好きな穏やかな神楽坂に戻るんですけどね。事件の入れ方がお上手で構成の上手さに唸ってしまいました。
いやあ、魂は震えるし驚かされるし。
オガワヒカリさん、最高です。
