【#シロクマ文芸部11月②】紅葉色
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
上記プラス、おばあさんがお題から始まる部分が読み聞かせをし、その後に孫との会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。
11月1回目はこちら👇
紅葉色のチークを頬にさした占い師があまりにひどいことを言うんですもの。
誕生日の占いにしては結果が酷すぎて思わず大声が出てしまいました。紅葉色じゃなくてバラ色のチークをほどこしたメイク上手の占い師の部屋に入れば良かった、そう思いながら席を立とうとしました。
「紅葉色のチーク?失礼な!」
すると、占い師はキッと私を睨みつけたんです。大声を出したときに少しはひるんだと思っていたのに、私の声に驚いた様子がありません。それよりも、心に浮かべた「紅葉色のチーク」に占い師が反応したことで、私の方が動揺してしまいました。
「え?え?」
「そうよ。私、ちゃあんとあなたの心が視えるんだから」
「……」
薄気味の悪さに思わず後ずさりした私に、占い師は顎で椅子に座り直すように指示を出しました。早く占いの部屋から出たい、と思っているのに私の身体は占い師に導かれるように椅子へ座り直します。
「大声を出したり紅葉色のチークって言ったり。この子は本当に失礼な子だよ!徹底的に占ってやるからね!」
怒っているような言葉とは正反対に占い師の表情は嬉々としているように見えました。
変なところにきちゃったな……
そう思いながらも謎めいた占い師の光り輝く目に吸い込まれるような感覚に、ボウっとし始めます。
あと少しだけここにいてもいいかも
怒ったり怖くなったりしていたはずなのに、いつの間にか私は心地良くなっていました。
📚📚📚
「ちょっとこわい」
弟がおばあさんの袖をきゅっとつかみました。
「わたしは平気!占い大好きだもん!」
姉の方は占い師という言葉に興味津々のようです。早く次のページをめくってくれとおばあさんにせがみます。弟はとうとうおばあさんのお腹に顔をうずめてしまいました。
「あー怖いんだ」
姉がニヤニヤとしながらからかいます。コワクナイヨと言いながら少し目に涙を浮かべる弟。
「あら、もうこんな時間だわ、寝ないと」
そのおばあさんの声に弟が素早く反応します。パーッとベッドへもぐりこみ、
「ぼく、いい子だからお布団入るの一等賞~♪」
と顔だけ出して叫びました。
「あ!ズルい!わたしの方が早く寝るの一等賞だもん!」
姉も慌ててベッドにもぐりこみぎゅっと目をつむります。
ぼくが一番、わたしが一番と目をつぶり合う姿があまりにかわいらしく、おばあさんはにっこり。ベッドそばの椅子に腰掛け、布団の上からゆっくりトントンし始めました。
健やかな寝息が聞こえてくると電気を消し、おばあさんは部屋を後にしました。
(つづく)
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。
