日本が失われないために

ずっと難解な気配がただよって触れられずにいた折口信夫氏の入り口としてぴったりな一冊と出会った。
はじめて100分de名著シリーズを手に取ったけれど、わかりやすくて読み切りサイズ感もとてもよかった。
まれびとの概念、実感としての理解に力点をおいた創作者としての口訳万葉集への取り組みなど、民俗学、国文学、芸能まで幅広く研究幅を持つだけでなく、歌人としての側面もあったことに驚く。
ただその幅広い活動の源泉には、時代背景として、敗戦後、めまぐるしい変化の中で、日本が、日本文化が、日本人が失われること、わるくなってしまうことへの危機感が強くあったこと。そしてその危機に果敢に立ち向かっていったこと。
その姿勢は現代を生きる私たちにとって、今こそ必要な視点だと感じた。
