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「真珠女」19話【教師】

【教師】

どんなに酒鬱で心を病んでも、客への連絡を疎かにできない。愛されず、仕事も出来ない人間になってしまったら、本当に私は生きている価値の無い人間になってしまう。寝ている間に溜まっていたメール全てに鼻を啜りながら返信をする。
昨日の記憶が所々抜けてる感じがするのは気のせいで、粗相は無かったと確認したくて葵に「昨日の私大丈夫だった?」と送信する。すると直ぐに着信が鳴り、やっぱり何かしてしまったのでは無いかと通話ボタンのスライドを一瞬躊躇った。でも聞くしかない、もし昨日一緒に飲んでいた誰かに迷惑をかけていたなら、謝らないと。

「もしもし」
「泣いてる?また振られたの?」
「振られてない、ねぇ昨日何も無かったよね?」
「何も無かったよ、ミオさんが1番しっかりしてたじゃん」
「ほんとに?何も無かった?」
「何も無かったよ。でも元セフレの香水こっそり撫でてるの見た時は引いたよ、こいつメンヘラ拗らせすぎだろって」
「関係ないでしょ、引いたなんて言わないでよ」
「見られて恥ずかしかったでしょ?」

人の心の傷に触れて、こんなに楽しそうにする人間と話すのは初めてだ。

「私今からゲームしなきゃいけないから切るね、昨日はありがとね、また大野さんと飲みに行くね、ありがとね、またね」
「ねぇちょっと待って、今日ミオさん休みでしょ?ちょっと飲もうよ」

お風呂に入って、髪の毛乾かして、化粧しなきゃいけないから2時間くらいかかるけどいい?と聞くと「駄目1時間半で仕上げて」と言われ1時間半後に居酒屋で待ち合わせた。
急いでシャワーを浴び、最低限の化粧をして、髪の毛を乾かしている途中でもう少し化粧を濃くしたいと思い化粧を直し、着替えて、もう出ないと間に合わないのに、やっぱりパンツよりスカートがいいと思ってもう一度着替えて、バタバタと家を出た。葵から誘ってきたのに、なんで私がこんなに急いで支度をしなきゃいけないんだ。

「で、何でセフレと別れたの?」
「別れたっていうか、何日も連絡無くて、もう会えないんだって思ったの。そしたら返信したと思ってたけどできてなかったって。女の子と旅行いってたくせに。くだらない、安い嘘つかれて。それで」
「嫌になったの?」
「うん、勢いでブロック削除した」
「連絡すればいいじゃん、そいつのアカウントまだ残ってるんでしょ?ミオさんも実はあの時、元彼に監禁されてて連絡できなかったとか適当に嘘ついてさ、会いたいって言えばいいのに」
「また絶対死にたくなるのに?」
「死にたくなるくらい辛い思いさせてきた男の事がまだ好きなんでしょ?ミオさんはどうしたいの?」

どうしたいの?と聞かれて、答えられずにいた。

「その男がもう死んだと思えばいいじゃん。ミオさんがその男を忘れられないのは、その男を好きだからじゃないよ。」
「どういう意味?」
「騙されてる振りを続けてまで守りたかった場所に、そんな価値無いって自分で気が付いて、自分からブロックしたけど、その男から拒絶された事実が無いから思い出オナニーが止められなくて依存してるんだよ、香水なんか持ち歩くんだよ、向こうからブロックされてたら今頃吹っ切れて違う恋愛してたと思うよ」

どうして葵は少し怒ってるんだろう、思い出オナニーと言われてイラッとしたけど、その通りだと思った。

「今も香水持って来てるなら今日ここに置いて帰ろ、一回手放して、それでも辛いんならまた買えばいいでしょ」



#創作大賞2024
#恋愛小説部門


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