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夜勤明け、2歳の子どもに火傷を負わせてしまった日/人生の転機⑯


このお話は「人生の転機シリーズ」の続きで。

前回のお話はこちらから読めます☟



ガタンッ

突然、大きな音がした。
振り返ると―
熱湯の入ったやかんが、ひっくり返っていた。

え…?なんで…?

理性が追いつかないまま、
子供の泣き声が一気に大きくなる。

気づいたときには、
子供に熱湯がかかっていた。



新しい生活が始まった頃の話です。

私は仕事と家事、育児。
夫は仕事と学校。

お互いに余裕なんてなくて、
毎日を回すだけで精一杯だった。

朝は、夫と私、2人分のお弁当作りから始まる。

ご飯を食べて、子どもを保育園へ送って、
そのまま仕事。
仕事が終われば、また保育園へお迎え。

夜勤の日は、夫が学校終わりに
実家へ迎えに行き、
そのまま寝かせてくれていた。



夜は、ほとんど毎日ワンオペ。

家事を済ませて、
子どもと2人でご飯を食べて、
お風呂に入って、
少し遊んで寝かせる。


夫が帰ってくるのは、子どもが寝たあと。


気づけば、2人とも寝るのはいつも夜中の1時頃
だった。



そんなバタバタの毎日でも、

夫の休みと、私の夜勤明けが重なる日は、
公園や動物園に出かけるようにしていた。

少しでも、家族の時間を作りたくて。


子どもが2歳を過ぎた頃。


ワンオペの最中に、
あの出来事が起きた。



夜勤明けで、体は限界だった。

それでも外食する余裕はなくて、
いつものように自炊をしていた。


ガタンッ

突然、大きな音がした。

振り返ると——
熱湯の入ったやかんが、ひっくり返っていた。

頭が真っ白になった。

でも、とにかく冷やさないといけない。

必死で抱きかかえて、浴室へ。
服のまま、シャワーで水をかけ続けた。



泣き続ける子ども。
焦りで手が震えて、
うまく抱きかかえることもできなかった。



そのあとも、アイスノンでひたすら冷やした。

今思えば完全にパニックで、
救急車という選択肢すら思い浮かばなかった。



どうしたらいいのか分からず、
震える手で実家に電話をした。

兄がすぐに来てくれた。


「火傷の治療が上手な病院があるから行こう」


その一言に、
どれだけ救われたか分からない。



病院で診てもらった結果、

頭から熱湯を浴びたわりには、
冷やしたことが良かったのか、

火傷は脇の一箇所だけで済んでいた。



先生や看護師さんに言われた。

「服はすぐ切った方がよかったかもしれませんね」


私は看護師なのに。

毎日、患者さんには冷静に対応しているのに。
自分の子どもの前では、何もできなかった。



情けなさと、後悔と、怖さ。

いろんな感情が一気に押し寄せた。



家に帰って、眠る子どもの顔を見ながら、

ただ、ただ、申し訳ない気持ちでいっぱい
だった。



夫に電話で伝えると、

「なんでそうなったの?」と驚いていた。



その言葉に、

「私のせいだ」という気持ちが、
さらに強くなった。



その後は、夫と交代しながら通院。


日が経つにつれて、傷は少しずつ良くなり、
最終的には、跡も分からないくらいにきれいに
治った。



それでも——



私はずっと思っていた。


ただでさえ、一緒にいる時間が少ないのに。


家で火傷までさせてしまった私は、
母親としてどうなんだろう。

「全然、いいお母さんじゃない」


子どもの寝顔を見るたびに、
心の中で何度も謝った。


あの出来事は、今でも忘れられない。


そして同時
“当たり前の日常は、当たり前じゃない”と
強く感じた出来事でもあった。

あの出来事があってから、

私は、
子供と過ごす時間を
少しずつ大切にするようになった。

完璧じゃなくていい。


ただ一緒にいられる時間を、
ちゃんと感じたいと思うようになった。



あなたは、今の毎日を
当たり前だと思っていませんか?


何気ない今日が、
本当はとても大切な時間かもしれません。


同じように悩んでいる方に届いたら嬉しいです。



わたしは「人生の転機シリーズ」を書いています。
これまでの経験を、順番に綴っています。
よければ他のお話も読んでみてください。


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